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当院の「選べる」刺青除去治療

2015年03月09日(月) | カテゴリ: 刺青・傷跡修正など
今回は刺青(刺青)除去法についてです。

なお当院は、刺青除去において、
治療法の選択肢が幅広いクリニックだと自負しております。

女性患者様の多い当院ですが、
こと刺青となると男性の患者様もかなり多いと言えます。

池袋界隈では、
場所柄刺青治療の需要もかなりあるのではないかという予想の元、
治療法も患者様の様々なニーズに対応出来るようにいろいろ取りそろえております。

刺青除去法は以下の中から選んで頂いております。

1.Qスイッチヤグレーザーによる除去
2.炭酸ガスレーザーによる除去
3.グラインダーによる削り取り(アブレージョン;日本語で剥削術)
4.切除・縫合
5.皮膚移植

それぞれの治療法の特色を説明します。

1.Qスイッチ・ヤグレーザー

刺青の色素が皮膚の奥深いところにある場合、
ヤグレーザーがよく効きます。

Qスイッチにはルビー、アレキサンドライト、ヤグがありますが、
それぞれの波長が694nm, 755nm, 1064nmとヤグが一番波長が長いため、
レーザーがエネルギーを失わずに深くまで届きやすいという有利な点があります。

ただし、刺青除去に関しては単に波長だけでは効果が決まらず、
メラニンへの吸収性も重要です。

そういう意味では、Qスイッチ・ルビーを好んで用いているクリニックもあります。

ヤグレーザーの1064nmの波長は、深達度で他の二つに勝りますが
メラニンへの吸収性でルビーには若干劣るということがあり、
どちらが一概に良いとも言えません。

余裕があれば、ルビーも将来的には念の為用意しておきたいところです。

この方法の良い点は、
傷跡を残さずに入れ墨の色味を除くことが出来る点ですが、
一番よくレーザーが反応したケースで1~2回の治療、
反応がちょっとずつしか得られないケースでは10回以上の照射が必要なこともあります。
根気が必要な治療です。


2.炭酸ガスレーザー

水分に反応して組織を削り取ることのできるレーザーで、
組織を「蒸散させる」という表現を用います。

色素だけを除去するのではなく、
皮膚ごと色素を取り除くため皮膚面に傷が生じてしまいます。
したがって傷跡が残る方法です。

傷が治るのには1~2週の時間を要しますが、傷を早く治癒させる工夫として、
入れ墨を市松模様のように1cm角程度ずつ交互に皮膚を残し除去します。

全面を一度で除去すると面積が大きいため、
傷が治癒するのにかなりの時間を要することがあり、
時間をかけて治癒した傷は色や凹凸など目立つ形で残る傾向があります。

時間を掛けずに速やかに治癒させるために、1回に削りとる面積を最小限にとどめ、
2回目の除去で、1回目で残した市松模様の残った刺青のある皮膚の部分を除去します。


3.グラインダーによる削り取り

アブレージョン(Abrasion);日本語で剥削術と呼ばれる手技です。

確実に取れるので、私的には一押しです。

要は、炭酸ガスレーザーがレーザーの光で削るのに対して
ダイヤモンドのヤスリを回転させて物理的・機械的に皮膚面を削り取る方法です。

炭酸ガスレーザーの場合、組織の蒸散にともない
周囲に与えられる熱エネルギーにより軽い熱傷状態を作りますが、
機械で削れば熱傷は生じませんので組織により優しい除去法ということとなります。

レーザーよりも指先の感覚で削る深さを調節できますので、
色素の深い所は深く取り、深くない所は浅く削るなどの微調整が可能です。

まさに職人の技工に通じる指先の繊細な感覚を要求される手技です。

一方レーザーの場合、面状に機械が決められた数字通りに削りとるので
部分部分にあわせてピンポイントで削る深さを調節することは、出来ません。

一見レーザーのほうが傷跡が残りづらいようなイメージを抱いてしまいますが、
実はアブレージョンの方が傷が早く治癒するため、傷跡がより目立たないと言えます。

アブレージョンも炭酸ガスレーザーと同様に
市松模様に2回に分けて除去する方法を取ります。

当院のグラインダーです。
これを持っているクリニックは都内にあまりないようです。


4.切除・縫合

比較的サイズの小さい刺青や、幅の細長い刺青でしたら
皮膚ごと切除を行って、皮膚同士を縫合して傷を閉じることも可能です。

非常にシンプルな方法ですが、刺青のサイズによっては
一回の除去で取り切れない場合は、2回目、3回目の手術が必要だったりすることもあります。

ただ、関節部などにかかる場合は安静を保つため関節をギブスで固定したり、
また日常生活が制限されることがあるため多少わずらわしいかもしれません。

さらに、傷跡は最初は線状の傷跡一本であっても
数ヶ月かけて多少幅のある傷跡になってゆくことが多いです。

切除縫合を得意として売りにしているクリニックもあると聞きますが、
この方法が適切であるケースは実際はかなり限られてきます。

特に注意しなくてはならないのは、腕や足など局面を描いている箇所で
この方法を行うと傷跡がかなり長くなり、
さらには縫合部がへこんでしまっているように見えることがあります。
(他院の仕事でそうなったのを見たことが何回かあります)

適応をかなり慎重に選ばないと結果が非常に悪いことがしばしばあるので
慎重さが求められます。

5.皮膚移植

しばしば患者さんの側から提案される方法です。

元々形成外科医である私としては、この方法には特別の思い入れがあります。

形成外科時代、当時札幌医大は熱傷治療で有名で植皮の手術を毎日のように行っており、
植皮術は得意中の得意ですが、こと刺青除去に関しては正直ファーストチョイスには
ならないと考えています。

非常に大きな刺青を、しかも1回で除去するなら
必然的にこの方法になってしまいますが結果がキレイとは言いづらいのです。

最大の問題は、移植するための皮膚を採取する場所(太もも、おしり、背中など)に
また新たな傷跡が出来てしまう点です。

また皮膚移植をした部位は
洋服の修繕に用いるパッチを当てたような状態になってしまいます。

かなり目立ちますが、それでも刺青の柄が消えればそれでよいということで
患者さんが納得された場合にのみ行う治療法です。


さて、これらのうちどの治療が小松のお勧めかと言うと、
それぞれ、目的・用途が違い長所・短所もあり
一概にどれが一番いいとは言えないのが悩ましいところではありますが、

男性の場合、傷跡が多少残ってもいいので
確実かつ回数をかけずにスッキリ取れる方法を希望される方が多いです。

それゆえにグラインダー(アブレージョン)が男性の刺青除去にはむいていると言えます。

一方女性の場合やはり、
傷跡が残るのを気にされる方が圧倒的に多いため、
Qスイッチヤグレーザーで、回数は掛かっても
徐々に薄くしてゆく方法が一番良いのではないのでしょうか。

あるいは、Qスイッチでまず照射してみて
どうしても色抜けの悪い部分だけ要所要所で炭酸ガスレーザーで削りとり、
傷跡の大きさを最小限に抑えるなどの工夫もしております。

また絵柄の幅の細いところだけは、
思いきって切って縫うなどを上記の方法に複合的に組み合わせることで
より傷跡が少ない形での刺青除去が可能になってきます。

そういう意味では、持っている治療手技の多いクリニックの方が
刺青除去を行う上でより有利であると言えるでしょう。

刺青除去治療についてはこちらに詳しく記載しています。


監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士