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当院のQスイッチ・レーザーについて

2015年08月24日(月) | カテゴリ: しみ
当院のQスイッチレーザーは
今までQスイッチ・ヤグレーザーのみでしたが、
今月新たなレーザー機としてついに? というか今さらですが、
Qスイッチ・ルビーレーザーを導入しました。

JMECのQ-ルビー Z-1です

Qスイッチ・ルビーレーザーで取れるしみ・色素疾患は、

・日光性色素斑(加齢性色素斑、老人性色素斑)
・雀卵斑(そばかす)
・カフェオレ斑(褐色のしみ)
・脂漏性角化症
・ベッカー母斑
・太田母斑、伊藤母斑
・刺青(青、黒、茶)
・外傷性刺青

などがあります。

新たに導入した主な目的は、

1.ヤグレーザーでは充分に取れない薄い茶色の日光性色素斑をきれいに取れるため。

2.アザの治療でもっと良い結果を出すため。(保険治療も可能となります)

3.刺青除去にQヤグとQルビーを組合わせて使いたい。

などです。

その昔、レーザー機器が今ほどまだたくさん種類がなかった時代は、
形成外科としていざ開業するとなった際にはレーザーと言えば
まずはルビーレーザーと炭酸ガスレーザーの2つを買ってそろえたものです。
(もしくは、アレキと炭酸ガスレーザーの組み合わせでしょうか)

そのくらい、かつては「定番中の定番」とされたルビーですが、
最近はQスイッチはトーニング機がヤグレーザーということもあり
ルビーレーザーを購入せずにQヤグのみを置いているクリニックが多いかと思います。

しかし、今まで

・Qスイッチ・ルビー(ニーク社) 
・Qスイッチ・アレキサンドライト(キャンデラ社)
・Qスイッチ・ヤグ(コンバイオ社、サイノシュア社)

と、3つのQスイッチレーザーを
30年間の形成外科・美容外科人生において使ってきましたが、
やはりしみ、アザに対する取れ方の切れ味という意味では
ルビーが最強であるように個人的には感じます。

もちろんしみとは言っても
肝斑にはトーニングが出来るヤグ一択となりますが、
日光性色素斑・ADM・太田母斑に関して言えばルビーが一番しみの抜けが
よいという意見が一般的ではないでしょうか?

しかし、抜けが良いから一番優れているとか、
使いやすいかというと必ずしもそうとは言えません。

どのレーザーでも言えることですが
ある出力以上で照射すると、炎症後色素沈着(PIH)が生じるものですが、
それがアレキサンドライトよりルビーのほうが起こりやすい傾向にあるとされます。

それならアレキサンドライトが
一番炎症後色素沈着が起こりづらいからよいかというとそうでもありません。

ルビーでしみが取れるときには
スパーンと気持ちよいくらい鮮やかに切れ味良く取れるのに比べて、
アレキサンドライトの場合一応シミが薄くなるのですが
何だかグニャッと取れるイメージです。

擬態語が分かりづらいかもしれませんが、
要はアレキはルビーほどシミ抜けは良くないけれども
効き方がマイルドな代わりに炎症後色素沈着が起こりづらいと言えます。
(50ns というパルス幅が、メラニンの熱緩和時間に一致していることが大きいとされる)

そうは言いつつ、強く当てるとやはりアレキでもPIHが起きたことはありました。

あくまで、比較すると相対的にPIHのトラブルが少ないという印象です。
(乱暴なくらいザックリと言えばですが)

そして、ルビーを選ぶかアレキを選ぶかに
ドクターの好みとか性格が関係しているとされ、
白黒はっきりした結果を好む先生はルビーを選び、
そこそこの結果でよいから出来るだけPIHを少なくという
ディフェンシブな考え方の先生はアレキを選ぶ傾向にあるとされます。

俗に「○○先生はルビー派だけれども、△△先生はアレキ派なんだよね」などと呼び、
持っているレーザーによりどんなキャラの先生かをおしはかることができるのは
おもしろいです。

それでは、Qヤグはどうか?

理論的には、532nmの波長は他の二つよりも
一番波長が短くメラニンへの吸収性が最も高いとされるため
しみ取り(日光性色素斑)に有利と思えます。

しかし実際に使って見ると本当に濃い色のしみ(こげ茶)には
良く反応してルビーと比べて遜色のないくらいキレイに取れますが、
ちょいと薄い茶色になると反応が悪く、そこでパワーを上げて行くと
突然強いIWP(照射直後のホワイトニング現象)が生じ
PIHが起こりやすくなってまいります。

つまり、焦げ茶のような濃いしみにはかなり良く反応するけれど、
メラニンの含有量の低い薄いのものには反応が悪く、
だからといって強く当てるとルビーよりもさらにPIHが起こりやすいという
ピーキーな(気むずかしい)性格を持つレーザーと言えます。

※上は、左頬のしみに対してQヤグを照射して1ヶ月目の写真です。
なるほど切れ味は確かに良いですが、調子に乗って出力を上げすぎるのは禁物です。

そういうこともあり、Qヤグの他にもルビーかアレキのどちらかを
用意しているクリニックもあろうかと思います。

また、なんと言ってもルビーもしくはアレキがあれば
太田母斑の保険治療が可能というのも大きいです。

そしてルビーにはアレキに対するアドバンテージとして
茶アザ(扁平母斑)に対する保険適応も可能という点があります。

国内で入手可能なルビーレーザーには現在JMEC製とNiic製がありますが、
今回JMECを選択したのは、今までNiicを使ってみて決して
何ら不満があったわけではないのですが、JMECの主張する
カライドスコープという機構によるトップハット型の均一なビームが
しみ取り・アザ取りにおいてどのような効果を発揮するのか
見てみたかったということもあります。

それぞれのマシンの特性を実際に使って体感しなくては
優劣も評価することは出来ないと前々から感じており
それであえてJMECのZ-1の購入となりました。

おそらくは、理論的に言えばNiicのQルビーに比べて
均一なエネルギーで照射できる分むらなく色が抜けることが予想されますが
果たしてどうか?

また最近は同じJMECのQルビーでもZ-1よりも
1つ下のグレードのNano-Qの方ががかなり売れていると聞きました。
確かに納品されてレーザー室に置いてみると結構場所を取ります。(下図)


(デ、デカイッ!というのがまず最初の印象。
手前にちらりと見えるのが当院のQヤグ・レブライト。
主にトーニングに使用中ですが、Qヤグはコンパクトなのが一つの売りというのも分かります)

Nano-QだとZ-1よりも価格が安くサイズもコンパクトで場所を取らないので、
それが売れている理由の一つだとか。

しかしNano-QはQ-switchモードのみの打ち方しか出来ず
いわゆる短パルス(μsec)モードの打ち方が出来ないというのが少々ひっかかりました。

色が黒くて、顔中シミだらけの患者さんなどは
元々外部からの刺激に対してシミが生じやすい傾向が疑われ、
そのような時にいきなりQスイッチを打つのはシミが濃くなるリスクが大きいため、
Qではなく短パルスを打ったりします。

Qほどの切れ味はないものの、リスクを最低限に抑えて
しみ取りをするモードとして重宝するため今回はNano-Qではなく、
上位グレードのZ-1を奮発して買うことにしました。

本日早速しみ(日光性色素斑)の患者さん2名にQルビーを使用しましたが、
最低パワーで打ったにもかかわらず驚くほどクリアなホワイトニング現象の発生を見ました。

打った瞬間にこれは効いていそうだ!という確かな手ごたえがあります。

NiicのQルビーとはまた違った感触があり結果が楽しみです。

ルビーレーザーによるしみ取り治療は大きさにもよりますが、
当院では現在10,000円から実施しています。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:Qスイッチルビーレーザーによる茶あざ治療(自由診療) 費用:22,000円/1回
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ




監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士