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ADMを少ないダウンタイムで取る方法

2016年11月28日(月) | カテゴリ: しみ, その他の美容皮膚科
みずほクリニックでは、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の治療に力を入れています。

ADMはアザ性の (or アザと同じ深さにある or アザのような)しみとでもいいましょうか、
皮膚の深い層=真皮内に存在するしみのため、強めの治療が必要です。

当院ではADMに限らずしみ全般の治療を行っているということもあり、
レーザートーニング(サイノシュア社の最新機種レブライト)
光治療(サイノシュア社のicon/アイコン)などの治療によって肝斑や日光斑などが取れてくると、
最終的に残るのが、このADMです。

患者さんからは、しみがかなり取れて良くなったのは分かるけれど
逆に少しだけ取り残されているしみが気になって気になって仕方なくなってきたという
お声(不満?)の声を頂くことがあります。

そういった際にはQスイッチ・ルビーレーザーがADMには一番効果がありますが、
施術にあたっては、以下2点がデメリットとなります。

1.照射部位にカサブタが生じ、取れるまでに10日ほどかかる。
2.3週間から1ヶ月目くらいに炎症後色素沈着(しみの色が濃くなる)が生じ、
 その色が薄くなるまで、3ヶ月から6ヶ月程度を要する。

患者さん的には、カサブタはまだOKという方もいますが、
2 の炎症後色素沈着が回復するのに数ヶ月というのを聞くに及んで、
この治療に踏み切れない人も多いです。

そこで、最近私が患者さんに勧めているのは
ルビーではなくQスイッチ・ヤグレーザーによるADM治療です。

理由は、ルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーのような
炎症後色素沈着が生じるリスクが限りなく低いからです。

Qスイッチ・ヤグレーザーの場合は、1回ではそれほど薄くはなりませんが、
3~6ヶ月ごとくらいに3回から5回ほど打つとハッキリとわかるくらい薄くります。

照射にあたって間隔をあける必要があるのは、
レーザーを打ってメラノサイトが破壊されてから
真皮内で周囲組織に代謝吸収されるまでに時間がかかるからです。

真皮内にまだメラニンが残っている状態で、その後の照射を行っても
それらのメラニンに吸収されるため効率が悪いと考えられています。

ところで、当院では導入していないメドライトC6を
1064nmを高出力で打つとADMにも効くと随分前に販売元から言われたため、
何回か試してみたことはありましたが、効果は今一つでした。

目に見えた効果が出るまで数ヶ月のタイムラグがあるため、
途中で患者さんがドロップアウトしてしまうことも多かったのではないでしょうか。

当院が2年前の開業時に入れたレーザーは
メドライトC6の改良版であるレブライトSIというもので、
同じような条件で打ったところ、実は1回の照射でもADMが薄くなることがわかってきました。

この差は何なのかと販売元のサイノシュア社に尋ねたところ、
メドライトとレブライトではピークパワーが異なるので、
レブライトのほうが早く結果が出やすいとの回答を得ました。

時間と回数がかかるものの、炎症後色素沈着がほぼ起きないのが
レブライトによるADM治療の良い点ですが、全くダウンタイムがないわけではありません。

一般的に、1064nmの波長でADMに効かせようとするとかなり強い出力で当てるため、
うっすらと点状出血が出ることがあります。

この点状出血(赤い点々)が消えるまでに4~5日の時間を要しますが、
ルビーやアレキサンドライトで形成されるようなカサブタと違って
メイクで充分カバーが可能だと皆さんおっしゃいます。

もし、この赤みが気になるならパワーを少し抑えて打つことも可能ですが、
その時は効果が下がってしまうことを患者さんにご納得して頂いて照射しています。

ただ、依然としてアレキやルビーのような速効性はなく、
刺青のレーザー除去などと同じく、照射してから効果が確認出来るまで
最低2?3ヶ月かかる点は、メドライト同様であることはお伝えしておきます。

さて、当院の看護師で頬に典型的なADMがあり治療を希望したため
レブライトの1064nmの波長によりピンポイント照射を行った例を見てみます。

下が、施術前の状態。


頬骨の一番高い所を中心に、斑状の丸いしみが散在します。

しみの色調と部位、形状、分布を見ると典型的なADMです。
一部、下瞼にまで入って来ています。

下が、レブライト照射後2ヶ月目の状態です。


取り切れてはいませんが、たった1回の照射でかなり薄くなっています。

何とか短いダウンタイムでADMを取るもしくは、薄く出来ないかと思い、
実は以前デモで借りたQルビー・フラクショナルなども同じスタッフで試したことがありますが、
写真で比較すると前後でほとんど変化が見られませんでした。

そして、先日治療開始後約1年目の状態を下に示します。


上は、4ヶ月ほど間を開けて、2回照射が終了して3ヶ月目の状態です。

さすがに、Qルビーほどのクリアーな取れ方とは言えませんが
本人的には充分に薄くなったので、やってみてよかったと言っていました。

レーザーは、様々なメーカーから次々に新しい機種が出てついつい目移りしがちですが、
既存のものであっても設定を工夫したり、組み合わせを考えるなどにより、
今まで取れなかったしみが、より短いダウンタイムで取れる もしくは 薄くなるという一例です。

今後も、工夫を重ねて良い結果が得られましたらブログなどで随時紹介してゆくつもりです。
ADM治療の詳細はこちらにあります。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:Qスイッチ・ヤグレーザーによるADM治療
費用:33,000円/回 4か月で2回
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士