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みずほクリニック院長ブログBlog

刺青レーザーによる刺青除去

2017年02月06日(月) | カテゴリ: 刺青・傷跡修正など
レーザーによる刺青除去というと、一般的にはQスイッチレーザーによる
刺青除去を行っている施設が多いと思います。

昨今話題のピコレーザーについては、古いQスイッチ・アレキサンドライトレーザーや
Qスイッチ・ヤグレーザーとのハーフテストで照射比較すると、
さすがにピコレーザーのほうが早く色が取れたりするデータが出てきつつあります。

しかし、黒・青に抜群に強いQスイッチ・ルビーレーザーと
ピコレーザーの比較を行ったデータをいまだ見ていないので
どちらが優れているか、今すぐ買うべきか、今だ分からず懐疑的です。

今年さらにいくつかの施設から、「ピコレーザーの使用経験」と銘打って発表があるので
その結果をもう一度チェックしてから、買うかどうかを決めたいと思います。

新しいものでも良いものであれば積極的に取り入れてゆくスタンスですが、
確実に従来よりメリットのあるマシン以外には、手は出さないようにしています。
新しもの好きのくせに、慎重派とはなんだか矛盾していますが。。

以前に、炭酸ガスレーザーによる削り取りを行った刺青除去の症例をブログで報告しましたが、
回数を少なくして仕上げるなら炭酸ガスレーザーの方が有利と言えます。
この方法なら、治療は2回で確実に済んでしまいます。

しかし、いかにも削り取ったというヤケド跡のような傷跡は残ってしまう点がデメリットです。
男性ならそれでもOKという方が多いですが、女性の場合は躊躇する方もいます。

一方これに対し、
Qスイッチレーザーだと5回から10回くらいでかなり薄くなるようなイメージです。

しかし、刺青に使われて染料の色や色素の入った深さ、色素の粒子の大きさなど
様々なファクターがからみ、もっとずっと回数がかかってしまうケースもあります。

また、全く皮膚面に傷跡などを残らないか?と言われると答えはノーです。
強い出力で打ち続ければ、表面が傷跡のテカリのような光沢を帯びたり、
皮膚に元から備わるメラニンが破壊されてトーンが上がりすぎて白抜けしたりなどします。

当院では、青黒などのメインパートをQスイッチ・ルビーレーザーで取り、
赤、明るい青、緑などはQスイッチ・ヤグレーザーを使用して除去します。

かつてと違い、Qスイッチ・ルビーレーザーを持っているクリニックが少なくなっていますが、
青・黒を取るならヤグよりもルビーの方が絶対に早く確実に効果が出ます。
また、アレキサンドライトと比較しても青・黒ならルビーに軍配が上がります。
但し、青・黒以外にはルビーが効かないので、ヤグも必要に応じて組み合わせて使っています。

具体的にQスイッチレーザーによる
刺青取りのイメージをつかんで頂くために症例をご紹介します。

下は、左肩に入った刺青除去を希望されて当院を受診された41歳の男性です。
青い色の部分に対してQスイッチ・ルビーレーザーを、
赤からオレンジ色に見える部分にQスイッチ・ヤグレーザーを使用しました。

レーザーを照射した直後の状態が下の写真です。

IWP(Immediate whitening phenomenon)により表面が白く泡だって見えます。
そして下が、5回照射終了時点での状態です。

さらに、わずかに残っているQレーザーに反応しづらい残った色味の部分を
炭酸ガスレーザーで削り取りました。下の右側がその後の状態です。




少し茶色く変色している部分が見えますが、炎症後色素沈着であり
3ヶ月~6ヶ月の間には、色は薄く肌色に近くなってゆきます。

ところで、強く多数回当てるとどうしても白く抜けた部分が生じて参ります。
絵柄の輪郭が分からないように刺青の辺縁をぼかすように当てるなどの工夫が必要かもしれません。

刺青の色素が浅い所にとどまる場合、このように色を抜いた跡が分かるように残ったりはしませんが、
肩などの皮膚の厚いところにしっかりと色素が入っている場合は跡が残るのも
今のところはやむなしといったところです。
あるいは、低出力でもっと回数を掛けて打てばこのような白抜けは予防できるかもしれません。

今後、新しいレーザーないし、既存のレーザーにおいて打ち方を工夫する、
もしくは新しいレーザーと既存のレーザーの組み合わせることなどにより、
正常組織のメラニンにはあまりダメージを与えずに自然な肌のテキスチャア(質感)と
色に仕上げる照射テクニックを追求してゆきたいと思います。
当院の刺青治療詳細についてはこちらです。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:刺青治療(Qスイッチ・ルビーレーザー+炭酸ガスレーザー)
費用:330,000円(Qルビー、炭酸ガス合計
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ


監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士