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みずほクリニック院長ブログBlog

ちょっとだけ珍しい皮膚腫瘍

2017年08月28日(月) | カテゴリ: その他の美容皮膚科
美容外科・美容皮膚科を標榜している当院ですが、
私の医師として元々のルーツが形成外科医ということもあり、
自由診療に限らず保険診療で行う皮膚腫瘍・皮下腫瘍切除手術なども行っています。

皮膚腫瘍・皮下腫瘍切除手術は、顔などにできた出来物をメスで切って取って縫合するという、
外来で局所麻酔を用いて行う小手術ですが、実は当院でも結構な件数をこなしています。

とはいえ今は自由診療の美容外科・美容皮膚科がメインですので、
さすがに一般病院に勤めていた10数年前のころと比べてしまうと決して多いとも言えませんが、
それでも1日に1、2件程度は手術を行っています。

どんなものが多いかと言うと

1. ほくろ
2. 粉瘤
3. 脂腺増殖症
4. 線維性丘疹

が上位4つです。

それ以外の皮膚腫瘍は、患者さんの希望もあり炭酸ガスレーザーで削り取ってしまうことがほとんどです。

ほくろも、小さいものについてはレーザーで削ることが多いのですが、
イボ状にふくらんでいて4mm以上などサイズの大きいものについては、
再発の可能性が高くなってくるため手術による切除を勧めることもあります。(部位にもよりけりですが)

3.脂腺増殖症 と4.線維性丘疹 については、
患者さん的には「皮膚と同じ色の膨らんだ出来物」=「イボ」という認識ですので、
とにかく出来物を取って欲しいということで外来に来られます。

実は脂腺増殖症や線維性丘疹による出来物は、イボのように液体窒素では取ることは出来きず、
かといってレーザーで削っても再発率が高いので、局所麻酔下に切除して1回の治療で終わらせたほうが
患者さん側も治療する側も、すっきりと終わって良いように思えます。

さて今回は、激レアとまでは言えませんがそれほど出現頻度が高くない皮膚腫瘍の除去を行ったので、
ブログに残して記しておこうと思います。

20170828_01 上は、眉間に数年前から生じた出来物を取って欲しいとして当院を受診された39歳の男性です。

皮膚面からは、黄白色の腫瘍本体が透見できます。

普通に粉瘤かと思いましたが、粉瘤に特有の皮膚面の黒い口(orifice)が見られないので、
もしかしたら違うかもしれないと一瞬は考えました。

20170828_02 上は、局所麻酔注射をして、皮膚切開し皮膚と腫瘍を一かたまりとして取り出したところ。
被膜(カプセル)の感じなどから、やはり粉瘤かとその時は思われました。

20170828_03 念のため、摘出したものを定規と一緒に撮影しておきます。(サイズを記録するため)

ところが、2週間後病理検査のレポートが上がってきたところ、
結果は予想とは違い、「steatocystoma, 脂腺嚢腫」でした。

良性の皮膚腫瘍であるため、特になんの心配もありません。

この腫瘍は、時に多発型の「steatocystoma multiplex, 多発性脂腺嚢腫」であることが多いのですが、
このように単発でポツンと顔面の一カ所に孤発性に生じるのは珍しいように
(あくまで私の経験上ですが)思えたため今回ご紹介しました。

今回のような内容は、美容外科・美容皮膚科のブログ記事としてはどうかとも思ったのですが、
顔に出来た皮膚の出来物というのは美容面・整容面にも影響を与えることが大きいですし、
いわゆる病気の治療という側面に加え、美容治療的な部分をも多分に含みます。
実際に外来でお見かけした時は、失礼にならない程度に「気になることなどはありますか?」と
常にお声がけするようにしています。

出来物も、長い年月を経ると目が自然と慣れてしまい、もはや全く気にならなくなる方も多いようで、
「慣れ」というのは、ある意味コワいものがあるなと思います。

例えばですが、女性であれ男性であれ、鼻の頭などに4mmを越える大きな目立つイボ状のほくろがあれば、
さすがにやはりお話をしていても少し気になってしまいます。
(職業病かもしれませんが。。)

以下は参考までに、鼻翼右横にある隆起性のホクロ(直径直径約7mm)を切除縫合した症例です。
20170828_04 縫合線のラインを鼻の横の法令線に沿って隠れるように切除縫合することで
出来るだけ目立たないように仕上げています。
数ヶ月ほど経てば縫合ラインはほぼ肌と同じ色になります。


患者さんにとっては、はっきり言って余計なお世話かもしれませんが、
美容外科医としては放っておくことが出来ず、ついつい声をかけてしまうことがままあります。

今後頻度の高いもの、低いものも含めて
皮膚腫瘍の切除症例などもブログ記事で紹介してゆこうと思います。

こういった出来物が、外来治療で実は簡単に取れるということが分かって頂けるだけでも
患者さんにとって有益な情報になりうるので、粘り強く啓蒙してゆこうと思います。
当院のほくろ・いぼ・粉瘤除去治療の詳細はこちらです。

<本ブログの症例に関する情報>

一例目治療名:皮膚腫瘍切除 費用:111,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:血腫、皮膚壊死、皮膚の傷跡、後戻りなど
二例目治療名:ほくろ切除縫合 費用:10,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、傷跡、再発など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士