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1540フラクショナル(アイコン)で傷跡を目立たなくする

2017年09月25日(月) | カテゴリ: その他の美容皮膚科
当院の光治療で大活躍しているアイコン・MaxG(光治療機、IPL)は、
月に1回など定期的に皮膚に照射することで皮膚にハリツヤを与えたり、毛穴を引き締めたり、
赤みを消したりニキビ治療が出来たりと、マルチな機能を発揮する非常に汎用性の高いマシンです。

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また、さらに優れいている点として、オプションのヘッド(ハンドピース)を付け替えることで
フラクショナル・レーザー(波長1540nm)の照射を行うことも出来ます。
↓これがそのヘッドです。
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このフラクショナルレーザーは、当院では主に
・目元の皮膚のたるみの引き締め
・ニキビ跡の皮膚の凹凸(陥凹)治療
・毛穴の開きの引き締め
・軽度のリフトアップ効果
・目尻の小じわ(カラスの足跡)を薄くする

などに目的として用いることで、一定の成果を上げてまいりました。
1540アイコンの治療詳細はこちらです。


特に目元の皮膚のたるみ引き締めは当院でイチオシの人気メニューの一つで、
患者さんからのご指名もかなり多いです。

炭酸ガスフラクショナルやフラクセルレーザーなどと異なり、
かさぶたをほぼ作ることなく治療効果が得られる点がこのレーザーの特筆すべき長所です。
さらに赤みが生じる期間も1日、2日とかなり短いです。

このように、炭酸ガスフラクショナルやフラクセルレーザーなどの
いわゆるアブレーティブタイプのレーザーに比べてダウンタイムが少ない点が有利な点で、
アブレーティブに対して、ノン・アブレーティブタイプと呼ばれるレーザーです。

ところで、今月送られて来た美容外科学会の学会報(JSAPS)を見たところ
アイコンのフラクショナルレーザー(1540nm)で、傷跡を薄く目立たなく出来るという
記事があるではありませんか!

長野県の某クリニックの発表ですが、症例写真を見たところなかなか良い結果です。
気管切開後の首の正面に出来た傷跡に9回の照射治療を行って傷跡の輪郭がぼやけて薄くなり、
明らかに治療前に比べて目立たなくなっている写真が掲載されていました。

現在までリストカットなどの瘢痕(傷跡)などに、炭酸ガスレーザーのフラクショナルや
機械的な電動ヤスリによるアブレージョンを行ってまいりましたが、若干の改善は見たものの
すごく目立たなくなったという印象ではありませんでした。

しかし、上記の記事を見る限りではこれらに代わりうる新たな治療手段となるかもしれません。

ただ、少し気になったのはレーザーのセッティングであり、
メーカー推奨値のパワーである40から55Jなどではなく、
それらの数値をはるかに超えた60から70Jなどの高出力で当てていることです。
(痛みはそれなりに強いことでしょう。)

パス数も通常1~2パスのところ2~3パスなど多少多くして打っているようです。
(パルス幅は、メーカー推奨の15msecと標準的な打ち方)

さらに、このレーザーのハンドピース(施術者が手に持って皮膚に当てるパーツ)の先端には
深部にエネルギーを伝えるための工夫として先端にギザギザの面がついているのですが、
これを皮膚に押しつけて食い込ませることでより深い層に照射を行い組織の再構築を促すという理論で、
通常の一般的に行っている軽く皮膚面に当てて食い込ませる方法ではなく、
皮膚面がかなり深く落ち込むくらい強くプレッシャーをかけて押しつけるのがポイントのようです。

これだけ強くアグレッシブに打つとさすがに皮膚に負担がかかるのでは?
と思ってしまいますが、この記事によると、強く当てた格子状のピンの跡が消えるまでに
5週間ほどはかかるとの記述が見られました。(通常の当て方だと、長くて1週間以内に消える。)

ノンアブレーティブは、ダウンタイムが短いのが売りのレーザーのため、
5週間というのは少々長いようにも思えましたが、顔以外で例えば体幹や四肢の傷跡なら
患者さんによっては許容可能かもしれません。

色素沈着などの色味が長期にわたって残ったりすることはなさそうです。
赤みも、施術直後に冷却をしっかり行えば、翌日ぐらいには消えるとのことでした。

この打ち方、まずは自分や希望するスタッフに照射を行って試してみますが、
痛み以外に特に問題が無ければ、今後当院でも取り入れるかもしれません。
痛みに対しては、麻酔クリームや場合によっては局所麻酔などを使うことでクリアできるはずです。

レーザーのセッティングは、メーカーが用意したマニュアル推奨通りに打つだけでは
用途や効果が限られてしまうため、各クリニックで打ち方に独自の工夫が加えられることで
オリジナルの方法が編み出されるということを今回あらためて認識しました。

レーザー治療は、マシンが同じなら誰が打っても結果が同じということは決してなく、
様々なセッティングと掛け方で結果がかなり変わってくる奥の深い世界です。

それゆえ日々の診療結果の分析とフィードバックに加え、学会、論文から新しい知識を
常に吸収し続けることが、治療の質を高めるために必須だと常々感じています。



監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士