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茶アザのようでそうではない、皮膚腫瘍

2017年11月27日(月) | カテゴリ: その他の美容皮膚科
今回は、診断が難しかった皮膚腫瘍(あざ)の症例です。

下は、左下瞼に褐色の色素斑を認める27歳の女性です。

ちょうどクマのラインをふち取るように、帯状に色が入っており、
いかにもクマが目立つので取って欲しいとのことでした。

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クマに沿ってある溝状のへこみはヒアルロン酸注入でフラットにしてしまえばこと足りますが、
色味に関しては注入治療ではどうにもなりません。

※ちなみに当院のIPLマシン「アイコン」を使用したフラクショナルレーザー治療は、
下瞼の色味(青かったり、赤黒かったりする色)に対して一定の効果を発揮します。

一見色味的に扁平母斑にも見えたため、Qスイッチルビーレーザーを5Jで照射してみました。

下が、その1ヶ月後の状態。

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まったく変わらずで、びくともしません。

目回りの皮膚は薄いので、5J程度でも効くことが多いはずですが、
もう少し強く当てることも考えました。

しかし、もし扁平母斑ならこの部位で弱くかけたとしても全く変化なしというのもおかしな話です。

よく見ると表面に、微妙な凹凸があるようにも思われ、
ひょっとして扁平母斑ではなく表皮母斑だったか? と思いなおし
今度は炭酸ガスレーザーで表面を削り取ることとしました。

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そして、炭酸ガスレーザーで削って1ヶ月目が上の状態です。

削ったことにより生じた色素沈着とあいまってむしろ濃くなってしまっているようにも見えます。
少し根の深いアザ?腫瘍? はたして分からなくなってきました。


そこで、思い切って切除縫合してしまうことを患者さんに提案しました。

この部分の傷跡は、かなり良く治り目立たなくなることを説明して切除縫合することとなりました。

もちろん、とれたサンプルを病理検査に出していったい何なのか調べます。


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そして、上が切除縫合手術後4ヶ月目の状態。

腫瘍の再発はなく、傷跡も目立ちません。

下瞼の皮膚は、薄く弾力に富み非常によく伸びるので、ホクロを含めこの部分の出来物の切除縫合は、
傷跡が最終的にほぼ分からなくなるためお勧めです。



ところで、この茶色い皮膚腫瘍は、結局いったい何だったのだろうか?
と思っていたところ、上がってきた病理検査の結果レポートを見て驚きました。

正解;単純性血管腫 Hemangioma simplex
そうだったのか。血管腫といえば赤いものだとばかり思い込んでいましたが、
こんな茶色っぽい色をしたものもあるのかと意外でした。

これでは、QスイッチレーザーやCO2レーザーで取れないのも当然です。

長くやっていますが、皮膚腫瘍の診断にはまだまだ難しいものもあるのだなと感じました。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:あざ切除縫合手術 費用:16,500円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:皮膚の傷跡、再発など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ


監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士