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二重手術によって目元の開きが悪くなった症例(医原性の若年性眼瞼下垂)

2017年12月25日(月) | カテゴリ: 美容外科, 二重整形・眼瞼下垂・目元
二重整形や逆さまつ毛など、目元の整形(形成)治療は当院の主要メニューの一つですが、
特に眼瞼下垂手術の件数は、美容外科・形成外科のクリニックの中でもかなり多いほうだと思います。

多数の手術を行う中で、老人性眼瞼下垂は比較的容易に手術で改善することが多いですが
若い方の眼瞼下垂の場合は、手術によってうまく改善されることもありますが、
やってみたものの時にそれほど変化しないということもあり得ます。

だいたい9割前後くらいの方で改善しますが、1割前後の方では結果が今一つということも正直あります。

うまくいきそうな症状のみを手術をすれば、
この改善率を100%近くまでもってゆくことが出来るかもしれませんが、
患者さんのたっての希望で手術をすることもあるためなかなか100%までもってゆくことは難しいです。

また、開きが改善したとしても、瞼のフチをきれいなカーブで仕上げるのが、実は難しかったりもします。

加齢によって生じた下垂例では、挙筋腱膜が加齢やコンタクトレンズの長期連用などによって
ゆるんで伸びてしまっているため、もし先天性の要素がなければ、ゆるんだ挙筋腱膜を
糸で縫合短縮することで容易に改善します。

一方、若い方の場合、特に挙筋腱膜がゆるんで伸びているわけではないので
縮めることの出来る長さに余裕がないため、もしこの部分を糸で結んで短縮して引き締めた場合
目自体は大きく開くようになりますが、目を閉じたときに完全に閉じられない「閉瞼不全」という
状態を作ってしまいます。

これの何がまずいかと言いますと、上瞼というのは時々閉じることで眼球表面の水分をある程度
保持する役割がありますので、寝ている時などに開けっ放しになるとそこから水分が空気中に逃げて、
ドライアイとなりそれが高じると角膜に潰瘍が生じるなど視力に影響が出てくるという
トラブルにつながる可能性があります。

なお、目が閉じることが出来るかどうかは、手術中に実際に患者さんにやってもらえばいいので、
容易に判断はつきます。

もし目を閉じてもらった時に2mmから3mmなど上瞼と下瞼の間に隙間が出来て
白目が見えてしまうなら、腱膜に掛けた糸を少しづつゆるめてゆきます。

つまり、腱膜を短縮する距離を最初の設定より短く控え目にするということになります。

しかし緩めるということは、逆に言うと目の開きは術前の状態に近づくということになりますので
結局手術結果としては術前とあんまり変わらなかったということが起きてしまうわけです。

もし、目を閉じたときに上瞼と下瞼の間の隙間が1mm程度なら、
経験的に術後1ヶ月以内には、目は閉じるようになることが分かっています。

理屈はよくわかっていませんが、手術中に使う局所麻酔の影響や、
手術中に目を閉じる時に使う眼輪筋が切断された状態であることや、
腫れの影響などが複合的にあわさって一時的に目が閉じづらくなっているのだろうと推測します。

ですから、わずかな隙間であれば手術直後は若干目が乾くかもしれませんが、
時間とともにその症状は改善され、最終的には目は完全に閉じるようになります。

そして、その目の閉じづらい期間ですが、

・頻回にドライアイ予防の目薬をさしてもらう。
・寝る時に濡れたガーゼを目の上に置いて目が乾かないようにしてもらう。

などの対策を取ってしのぎます。

さて、実際のケースを見てみましょう。

下は、左目が右目に比較して開きの悪い24歳の女性です。


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実は元々左目の開きが、右目の開きに対してよくはなかったのですが、
数年前に某大手美容外科にて切開二重手術をした後に、ますます左目が開きづらくなり
左右差が目立ってきたとのことです。

これは、しばしばあることで原因はまず明らかで通常次の2つです。

1.切開二重を作る際に、瞼板の付着部の挙筋腱膜が剥がされるか、切断されるかして
目の開きが弱くなった。

2.非常に広い二重を作った場合、元々目の開きの弱い側にさらに負荷が増し、
その側の目の開きがますます悪くなった。

1は、切開手術になりますが、挙筋腱膜を縫合し直せば解決します。

2については、幅の広い二重が重い荷物を持ち上げており、
幅の狭いほうの二重が軽い荷物を持ち上げることに等しいとイメージして下さい。

重い荷物のほうが、腕の筋肉にかかる負担がより大きくなり持ち上げづらくなります。

2つ目も腱膜短縮である程度は修正可能ですが、
切開によって作られたラインを消すまでするとなると簡単とは言えず、
うまくゆく場合とうまくゆかない場合が出てまいります。

1, 2いずれとも手術によって目の開きが悪くなっているため
「医原性眼瞼下垂」と言ってよいかと思います。

また、上の写真のような若い方に対しては、
元々の目の開きづらさが左にはあったため挙筋腱膜の短縮を行うだけでは充分ではなく、
ミュラー筋をも充分に出してこちらも幾分短縮するという操作を行っています。

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手術直後の状態です。

腫れのため若干、瞼のふちと二重ラインのカーブにいびつさが目立ちますが、
腫れが引いてからの微調整が可能なためこの状態でいったん手術は終了として経過を見ます。

この状態でライン調整を行うとすると、正確な操作は難しく結果が読めません。

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上は、左が手術前、右が1.5ヶ月が経過したところです。

瞼のフチのラインは術直後よりもスムーズになっています。
黒目の見える面積が増えて、左右差がより縮まったと言えます。

こうして見ると悪くはないのですが、唯一難点を上げると左の二重ラインの中央部が
右に比較して若干水平つまり直線的に見える点でしょうか。
その部分のみ二重ラインの幅が狭くなっています。

これは、この部分の皮膚を1mmほど切除して取れば微調整は可能です。

ただ、本人が希望しなかったため今回はこの段階で治療は終了としています。

このような若い方の目の開き(目の大きさ)の微妙な左右差の調整はよく行っておりますが、
病的な開きの悪さ、つまり黒目の見えている面積がおおまかに言って50-60%以下の場合のみ
保険適用となり、今回のように病的とまでは言えないケースでは自由診療で行っています。

しかし、当院では眼瞼下垂治療を自由診療でも30万円(税抜)で行っておりますので、
都内の平均価格が両目で50万円から70万円程度であることを考えると格安でのご提供となっています。

気になる方は、是非ご検討ください。
当院の眼瞼下垂治療詳細はこちらです。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:眼瞼下垂手術  費用:550,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:閉瞼不全、皮膚の傷跡、後戻り、左右差など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士