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目の下のクマ治療に対するもう一つの答え

2018年02月13日(火) | カテゴリ: 目の下のくま
目の下のクマについてご相談を受けることが日々の診療において多々あります。

美容外科・美容皮膚科のいずれにおいても、
比較的よくあるメジャーな問い合わせの一つと言えるでしょう。

しかし、一口にクマと言っても実はさまざまな原因があります。

代表的な原因を分類して挙げますと、

■立体構造の問題
1.目の下にくぼみが線状に入っており、陰影としてクマに見える
2.下瞼にたるみがあり、頬の皮膚との境界部がクマに見える
3.下瞼の皮膚にしわのラインが入っていて、そのしわ自体がクマに見える

■色味の問題
4.静脈血・リンパのうっ滞など循環系の問題
5.皮膚が薄くて眼輪筋が透けて見える
6.しみが下瞼に線状に並んでいる(ADM, 日光斑)

当院ではそれぞれについて以下のような治療を行っています。

4.循環系が原因の色味 カサブタの出来ないフラクショナル(XDフラクショナル)
有効であることが分かっており、実際によく行っております。

6.しみが下瞼に線状に並んでいる いわゆるしみ取り治療が有効であるということは当然の理屈となり、
症状にあわせたレーザーを用いてしみを除去します。

3.下瞼の皮膚にあるしわのラインがクマに見える 眼輪筋の透見については、今のところ有効な手段がないのですが
これは実際にはかなり珍しいケースです。

1.目の下にくぼみが線状に入っており、陰影としてクマに見える 上記に関してはヒアルロン酸注入や脂肪注入などのいわゆる詰め物による治療が一般的ですが、
ヒアルロン酸であれば6ヶ月から1年おきなどの定期的な注入が必要であったり、
脂肪注入であれば注入した脂肪の生着率が30%?50%などばらつきがあり、
かつ減ってしまった分を複数回の施術で補ってゆかねばならないという欠点がありました。

しかしながら、くぼみの程度が非常に軽度であったり、1番の要素に関する構成成分として
2番のたるみの要素や、3番のしわの要素が何割か混じることでクマが形成される時、
実は単純な下瞼の皮膚切除のみでもかなりクマを目立たなく出来るケースがあります。
下は、55歳の女性で下瞼のクマとたるみを気にされてご相談を受けました。


くぼみの程度(深さは)は軽度であり、
下瞼のたるみがあることで頬の皮膚との境界部で段差が生じています。
また、クマに沿って細かい線状のいわゆる「小じわ」も見られます。

つまり上に挙げた原因の1、2、3が複合的にあわさったことで
クマをより際立たせていると言えます。

これよりもっとくぼみが深く、かつ目の下の目袋(baggy eye)が前方に突出しているようなケースでは
ハムラ法手術(脂肪移動術+眼窩隔膜の引き締め)が一番よい方法ですが、
この患者さんにはそこまで時間が掛かりかつ侵襲を拡大した治療は無用と判断しました。

今回はシンプルな下瞼の皮膚切除をしつつ、下瞼の眼輪筋に糸を掛けて、
眼窩外側の骨膜を力源(固定源)として外側上方に引っ張り上げる
いわゆる「眼輪筋吊り上げ固定術」を行います。




上の写真の上が術前、下が術後1ヶ月目です。

手術時間は1時間以内で、腫れ内出血も2~3週で引きます。

まだ術後1ヶ月目のため切開線の傷跡が睫毛の生え際にピンク色のラインとして認められますが
これも術後2~3ヶ月以内には自然な肌色となり分からなくなります。

皮膚のたるみがピンと伸びたことに加え、上下の写真で比較すると
術後に下瞼のクマがほぼ消失しているのがポイントです。
なお、注入物は一切使用していません。 

目の下のクマの状態によっては、ヒアルロン酸注入、脂肪移植といった注入系施術、
あるいはハムラ法手術まで用いずとも、今回のように比較的低侵襲の手技でも
良い結果を得ることができることを知っておいて欲しいと思います。

さらに注意しなくてはならないのは、このような患者様に対して
下瞼の脂肪除去、つまりいわゆる「脱脂術」を勧めてくるクリニックが実は結構あることです。

目袋 (baggy eye) の前方への突出がない状態で脱脂を行ったらどうなるか?

ふくらんだ風船から空気を抜く理屈と同じで、ますます下瞼の皮膚がしぼんで
たるみ、クマが目立つか、下瞼がヘコんで老けた目元となってしまいます。

つまりは逆効果です。

患者さんは、ほとんどの場合事前に「目元が若返る」という説明をされて手術を受けるため、
なぜそのような逆の結果になったのか全く分からないというのが実際です。

さらに悪いことに、下瞼の脂肪と上瞼の脂肪は中で連続してつながっているので
下瞼の手術を受けたのに何故か上瞼にまでくぼみが生じたという相談も、よく受けます。

患者さん一人ひとりの下瞼の状態を見極めて、数ある治療法の中から状態にあったものを
ケースバイケースで使い分けることが下瞼の治療では一番の重要ポイントであるにもかかわらず、
紋切り型に全てのクマやたるみに対して、何でも脱脂を行うというのは芸がないばかりか、
有害な結果をもたらす場合があることをよく憶えておいて頂ければと思います。

私はハムラ手術もよく行いますが、実はこのようなよりシンプルな方法でも
かなりの割合の患者さんのクマが治せると考えています。
>皮膚切除による目の下のクマ・たるみ取り詳細はこちら
>ハムラ法による目の下のクマ・たるみ取り詳細はこちら

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:目の下のクマ治療(皮膚切除) 費用:220,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:血腫、皮膚壊死、皮膚の傷跡、後戻り、外反、兎眼など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士