みずほクリニック院長ブログBlog

立ち耳の治療

2018年04月15日(日) | カテゴリ: 刺青・傷跡修正など
当院では、耳の形成手術も承っています。
耳でご相談の頻度として多いのは、副耳、耳瘻孔、耳垂裂、立ち耳などです。

とは言ってもやはり目や鼻のご相談に比べればそこまで患者さんの数が多いとも言えませんが、
それでもコツコツと耳のカウンセリングも行っています。

今回は、立ち耳の患者さんの治療例が上がってまいりましたのでご紹介します。

立ち耳とは、正常は側頭部に対して耳の寝ている角度が20度から30度程度であるのに対して、
それ以上の角度を持って耳が前方に起き上がって正面を向いてしまっているものをいいます。

軽度の場合必ずしも病気とまでは言えませんが、
ある程度目立つ場合には先天性耳介奇形のカテゴリーに入ってきます。

下に実際の写真を示しますが、日本では立ち耳であってもあまり気にされていない方も多いようです。

しかし欧米の場合、この形の耳は整容的に決して好ましいものとは受け止められていません。

国外では文化的、宗教的な背景とも関連し、「悪魔の耳」などと悪く呼ばれ忌み嫌われることもあります。

グローバル化が進み、海外旅行・海外出張などすることも増えた今の時代には、
このような見た目にも気を配るべきかもしれません。

下は、40歳の男性の右側のみ片側の立ち耳です。



左右の耳の角度を見比べると、右が明らかに正面側を向いているのが1番目の写真で分かります。

また、2番目の近接した写真においては、本来あるべき対耳輪つまり、
耳の表面にあるカタツムリのようなY字状の軟骨の隆起がなく平坦な形状をとっています。
3番目の図は横から見た写真です。

ご本人的には、見た目的な事は実はあまり気にしてはいないのだけれども、
趣味のゴルフをする時に耳に風が当たると抵抗が大きく、非常にうるさい音が耳元でするので
ショットの時に集中出来ないとのことで手術による矯正を希望されました。

手術法は、局所麻酔を使って耳の裏側の皮膚をある程度の幅で切除しつつ、
対耳輪の隆起(うねり)を作るようにして軟骨に縫合の糸を掛けて耳を後方に折り込むようにして
耳全体を後ろ側に倒すようにして耳の形を形成してゆきます。





上は、抜糸時の写真でありまだ皮膚に赤み、腫れなどが残っています。
これらが落ち着くのには、2~3週ほどの時間を要します。

この手術では、軟骨に掛ける糸の操作の過程で、対耳輪のカーブに不自然な折れ曲がり、
角(かど)が生じたり皮膚面に本来正常な耳には存在しない凹凸が生じることがしばしば問題となりますが、
上の3番目の写真で見て分かるように、本例では対耳輪が滑らかなカーブを伴うYの字で形成されています。

また、1番目の写真で耳の後方への倒し込みの角度はほぼ左右差なく、
比較的均等なバランスを形成出来ていることが分かります。

ただし立ち耳手術においては軟骨のクセが強いあるいは、矯正の程度が甘いなどの原因で
希ではありますが、「後戻り現象」つまり耳が術後再び前方に向かって起きてくることがあるため、
ここで油断はせずに1年間くらいは定期的に患者さんを外来に呼んで注意深くフォローを続ける予定です。

立ち耳は、それほど高頻度に見られる先天性の耳介変形ではありませんが見た目が気になる方、
あるいは眼鏡の柄の収まりが悪いなど何らかの機能的な不満を持っていらっしゃる場合などは
是非当院にてご相談ください。
今回の患者さんのように、出来る限り自然な形態となるように形成させて頂きます。
立ち耳形成に関する詳細はこちら

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:立ち耳修正術 費用:片耳66,000円 (税込)
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:血腫、感染、後戻りなど
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士