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コンデンスリッチによる脂肪注入(豊胸・顔)

2018年08月27日(月) | カテゴリ: 美容外科, バスト・豊胸
当院で新たにコンデンスリッチ・ファットを導入しました。

脂肪吸引の相談を受けた時に、
「ちなみに取れた脂肪を捨てるのはもったいないので、胸などに入れられませんか?」
といったリクエストを頂くことがあります。

腹部や大腿などから取れた脂肪を使って行う豊胸というコンセプトは全く特別なものではなく、
むしろだいぶ昔からあり、美容外科では普通に行われてきました。

また、胸だけでなく顔の頬のやせこけた部分やこめかみの凹み、
ほうれい線、上瞼のくぼみ、下瞼のくぼみなど様々な部位のボリューム不足を補ったり、
またしわを浅くしたりする目的で脂肪注入を行うということも良く行われています。

注入手技自体は、取れた脂肪を注射で入れるだけなのでいたってシンプルなのですが、
但し取れた脂肪をそのままの状態(未加工で)入れた場合は
生着率(定着率)は30~50%程度のため、決して高いものではありません。

目標サイズの胸のボリュームを100%とするなら、
もし仮に1回の注入施術で約30%の定着率だとすると
目標値を達成するのには少なくとも3回程度の脂肪注入手術が必要ということになってしまいます。

また、生着率以外にも入れた脂肪が塊となって壊死を起こしたり、
石灰化により硬くシコリになるなどの合併症(トラブル)が生じることがしばしばありました。

脂肪注入の問題点でメジャーなものは、この2点です。

しかしながら患者さんからの情報では、
多くのクリニックにおいて術前にこれらの重要な説明が全くなく手術が行われているようです。
(あるいは同意書・説明書の片隅に見えないように小さい字で書いてあるとか)

これらのトラブルを予防するためには、
脂肪吸引で採取された脂肪に遠心分離を掛けたり、専用フィルターを通して洗うことで精製し
壊れた脂肪細胞の成分や線維質、血液などの脂肪移植に不要な不純物を除去して純度を上げることが
移植した脂肪の生着率を引き上げるうえでの基本的なテクニックとなります。

実は当院でも、以前は「ピュアグラフト」という名の
脂肪精製用の専用フィルターを使用しており、良好な結果を得ていました。

これは国外からの輸入品だったのですが、国内の輸入販売代理店の取り扱い業者が
撤退してしまったため、昨年あたりから入手が出来なくなって困っていました。

それではということで、遠心分離のシステムとして国内でも多数のクリニックで採用され、
既に実績のあるコンデンスリッチ・ファット(Condense Rich fat; 略してCRFと呼ばれる)を
今回新たに導入しました。

これは純粋な脂肪細胞と脂肪幹細胞を遠心分離とフィルターにより精製濃縮=コンデンスし、
雑物を除いた純粋な脂肪注入を行いますという意味のネーミングです。

逆に何故今まで無かったのか? というくらい遅きに失した感さえもあるくらいですが。。
それくらいこの分野ではもはやスタンダードな注入技術です。


上が当院で撮影した遠心機と、脂肪吸引で取れた脂肪をストックする容器の写真。

手順としては、

1.脂肪を通常の脂肪吸引の要領で集め、専用のバッグにためる。
  ※この時に吸引圧を高くしすぎないことが、脂肪細胞にダメージを与えないポイントです。
2.脂肪を集めたバッグから脂肪を注射器で吸って取りだし、専用の遠心管に入れる。
3.脂肪を遠心機で遠心分離して、不純物と純粋な脂肪の層に分離する。
4.精製された高純度の脂肪を注射器に吸って取り出す。
5.胸や顔のボリュームの不足している部位やシワなどに注射器で脂肪を注入する。

という流れです。

遠心分離をしないで行う場合、昔は市販の茶こしとスプーンなどを用いて
脂肪を手で濾して注入していましたが、それほど高い生着率とは言えませんでした。

このコンデンスリッチのキットを使うことによって、
キットを使用しない方法に比べて生着率を約1.5倍まで引き上げることができるとされています。

また、石灰化やしこりを形成するなどの
トラブルの発生率を下げることが出来るというメリットも同時にあります。

そのため、国内でも脂肪注入術を行う場合、
今やコンデンスリッチによる精製注入が主流となりつつあります。

また、胸に脂肪を入れる場合の注意点としては、
石灰化やしこり形成を避けるための注入テクニックとして出来るだけダマにならないように
細かく少しずつ散らしながら入れるということが一般的なコツです。

そのためには、手元で内筒の押し加減で一箇所の注入量を調整することも出来ますが
注入量が多いとどうしても一箇所にまとまった量が入ることがあり得ます。

それを防ぐための専用の注入の道具というものがあります。



上は、コンデンスリッチのシステムの1つではなく、
かつて使っていたピュアグラフト・キットの1部として購入した脂肪注入用の道具です。

製品名「セルブラシ」と呼ばれるもので、
ハンドルの所に歯車のようなものが一部見えていますが

これをカチリカチリと親指で前方向に1つづつ回すことで、
非常に微量づつ(1クリック=0.5ccづつ)脂肪を組織内に注入出来るという優れものです。

最初にすぐにコンデンスリッチを買わずに、
ピュアグラフトのほうを買って良かったのは、この道具が手に入ったという点だとも言えます。

一般的には、このような道具を使わずに注入針の位置を前後移動させながら、
通常のシリンジで脂肪を注入する棒状注入(スパゲッティ注入などと呼ばれる入れ方)を
することが多いのですが、これだと線状に入った部分同士が万が一クロスしてしまうと
その箇所でダマ(塊)となっている可能性もあります。

そして、このダマが脂肪壊死を始め様々なトラブルを引き起こす原因となります。

セルブラシは線ではなく、ポイントポイントでドット状に脂肪を組織内に置いてくることが
出来るためダマとなる確率が線状注入より低いと言えます。

但し、注入により多くの時間が掛かってしまうというのが実は欠点だったりしますが。。

コンデンスリッチによる脂肪注入システムの気になるお値段は、

・豊胸術:968,000円~1,100,000円

顔では、

・両頬への注入;407,000円
・目の下への注入;407,000円
・ほうれい線;220,000円

などです。

その他注入が可能な部位に、こめかみ、顎(おとがい)、眉間、
マリオネットライン、首のしわ、鼻、涙袋、口唇などがあります。

顔の場合、上記部位を組み合わせて、フルフェイスのセットなどのご用意もあります。
痩せこけてしまい、皮膚がゆるんで垂れ下がってしまった場合などに適応があろうかと思います。
コンデンスリッチ・ファットについてのご相談・ご予約はこちらからどうぞ。

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士