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黒あざの連続切除治療

2022年02月21日(月) | カテゴリ: 刺青・傷跡修正など
「ほくろを取りたい」というお問合せは、
美容外科・美容皮膚科においてはよくあるご相談内容のひとつです。

しかし、実際に患者様にほくろを診察で見せてもらうと
「ほくろ」と呼ぶには大きすぎるのではないかというものがあります。




上は、生まれつき前腕に平らなほくろがあり、
除去を希望されてご来院された27歳の女性です。

このサイズですと、「ほくろ」というよりは
むしろ「黒あざ」という呼び方のほうが適切でしょう。

「ほくろ」も「黒あざ」も組織学的本態は全く同じ「色素性母斑」なのですが、
名称が異なるのは除去する際の治療方法が異なるからです。

小さい、いわゆる「ほくろ」レベルのものですと
ほとんどのものがレーザーで除去できますが、
このくらい大きいものは、レーザーで除去することは
不可能ではないのですがかなり難しいです。

このサイズの場合は、手術でもって
切除縫合するのが一般的な方法ということになります。

ただし、体幹などと違って腕の場合は円筒状をした曲面に生じるため、
縫合創の傷跡が極端に長くならないようにとか、
露出部のため出来るだけ傷跡が目立たないように仕上げなくては
ならないなど普段以上に注意すべき点が実はあるのが特徴です。

そのような際にお勧めの治療の一つが、
連続切除(分割切除)という方法です。







まず1回目では、上の図の如く黒あざ(ほくろ)の中心部80%くらいを除去するように
切除縫合していったん細い形にしてしまいます。

※デザインによっては、中央ではなくどちらか一方の端に寄せて
80%くらいの面積を取るのが正しいという考え方もあります。

ちなみに、

何故このような回りくどいことをわざわざするのか?
1回で取ってしまえばそれで済むはずなのに…

と皆様は思われることでしょう。

それは、1回で全てを取りきろうとすると
より皮膚同士を大きく左右から引き寄せて縫うことになるので、
縫合した創縁にかかるテンション(緊張)が高くなり
傷跡が後々幅広くなったり目立つ形で残ってしまうことがあるからです。

体の他の部位であれば一気に取っても全く問題ないのですが、
四肢の場合は皮膚にそれほど伸びる余裕がないので特別に気を使います。

いったん寄せて、その後皮膚が充分に伸びて
組織に余裕が生じてから最後に残った部分を切除することで、
創縁にかかる緊張を最低限に抑えたいという意図から
このように手の込んだ方法を取ります。
(大きな買い物をする時に分割払いだと負担が少ないのと似ています)

2回目については、
1回目の手術から6ヶ月から1年おいて切除を行うのが一般的です。




上は、前回の手術から6ヶ月目に残りを除去する際の皮切のデザインになります。

先日、こちらの患者さんが
黒あざ(ほくろ)治療とは別件で久しぶりにクリニックに訪れたため、
その際の写真で術前・術後を比較します。(術後4年目)







傷跡は確かに残っていますが、比較的目立たないほうだと思います。

術後については必ず傷跡がゼロになるわけではないので、
治療を行わずにあざのまま残しておくか、
それとも切除して傷跡として残したほうが良いかという
どちらか選択の問題となります。

しかし実際に診療を行っていますと、
傷跡がこの程度で済むなら手術を選ぶ方が多いように思えます。

当院は、あくまで美容外科・美容皮膚科が専門ですが、
このような若干形成外科寄りの手術も時々行っております。

今回は手術による黒あざ除去の症例をお見せしましたが、
部位(顔など)によっては黒あざであっても
レーザー治療によってかなり薄くなった症例もあります。
こちらの症例についても次回以降でご紹介したいと思います。
当院の黒あざ除去治療詳細はこちら

<本ブログの症例に関する情報>

施術名:黒あざ連続切除 費用:2回分・165,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:傷跡、ケロイド、肥厚性瘢痕、感染、腫れ、内出血、つっぱり感など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ


監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士