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Qスイッチルビーレーザーによる日光性色素斑(老人性色素斑)除去

2017年08月21日(月) | カテゴリ: しみ
しみには様々なタイプがあり、そのタイプによって治療方法は異なります。

よく「この方法なら全てのシミに対応可能」のようなキャッチを広告などで目にしますが、
プロからするとそのようなことはあり得ないと言っておきましょう。

たとえば、顔に輪郭のハッキリした平坦な丸いしみがある方の場合、
それは日光性色素斑(日光斑)もしくは老人性色素斑(老斑), senile lentigo(SL)であることが多いですが、
これらに対して、最速かつ確実に治療を完了する方法はQスイッチルビーレーザーの照射ということになります。

なお、このしみには複数の名称がついておりますが、紫外線暴露に対する表皮の反応によって
若い方にもよく見られるので、「老斑」という呼び名より、私は「日光斑」を好んで用いています。

30代、40代の女性に「老人性」などという言葉を使うとショックを受ける方もいるのではと
思いあまり使わないようにしています。

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上は顔のしみを取って欲しいとして当院を訪れた73歳の女性です。

写真のピンクの蛍光ペンで印をつけた部分が典型的な日光性色素斑で分かり安いかと思います。

ところで、日光性色素斑が多数あり、それぞれが隣接していたりつながって癒合していると、
必ずしもきれいな円形ではなく、地図状だったり、もっといびつな形に見えることもあります。
しかし、周囲の肌との色調の境界が明瞭であることからその診断は容易に可能です。

さらに、これらの色素斑が盛り上がって厚みを持つ場合もあり、
その場合は「脂漏性角化腫」「セボリック・ケラトーシス(略称;セボケラ)」という別名で呼ばれます。
組織学的には本体は同一であり、日光斑の角質が厚くなったタイプという考え方をすることもあります。

このように、しみに厚み・ふくらみが出てしまった場合は、もはやQスイッチレーザーを用いることはなく
炭酸ガスレーザーなどの削り取り専用のレーザー(ablative laser)での除去が一般的です。

中には、平たいしみの中に平坦な部分と盛り上がった部分が混在することもあり、
そのような場合は、QスイッチとCO2両方のレーザーを組み合わせてマニアックに除去するケースもあります。

上の患者さんの場合は、いずれもしみに厚みはなく平坦な状態ですので、
やはりQスイッチレーザーを用いて全て除去が可能です。

ところで、Qスイッチレーザーには、ルビー、アレキ、ヤグと3つありますが、
私は、切れ味の良さ(色抜けの良さ)、しみの再発率の低さから、
上の写真のようなしみを除去する際にはルビーを必ず使います。

当院には現在、Qスイッチレーザーのうちルビーとヤグがあり、
アレキに関してはかつて大手美容外科に在職していた時によく使っていました。

患者さんに使用してきた今までの経験と、自らの顔のしみ取りにおいて、
これら3つを比較使用してきた実感として、やはり日光斑の除去は、Qルビーが一番取れると感じます。
逆に一番使い方が難しいと思うのはQヤグの532nmです。

Qヤグの532nmの場合、きれいに取れることもありますが、施術後1ヶ月目にやってくる
炎症後色素沈着が出やすく、出力設定が難しいピーキーなレーザーという印象をもっています。

逆にQヤグの1064nmは、強く当てると回数をかけて日光斑を除去することも出来ますが、
炎症後色素沈着がほぼ起こらないため、カサブタを作らずに日光斑を除去ないし薄くする方法として
重宝しています。

これらQスイッチレーザーの他に、最近流行のピコレーザーもありますが、
ピコレーザーは元々、刺青除去治療の際にQスイッチレーザーよりも早く結果を出すために
開発されたという経緯があり、日光斑に当てた場合はQswitchレーザーよりもよく取れるという
統計的なデータを見たことはまだありません。

学会などで、取るのが難しいとされる薄い日光斑がピコレーザーを使用することで
Qスイッチレーザーよりもよく取れたというコメントを聞いたことはありますが、
真偽のほどはいまだ定かではありません。

またピコレーザーの場合、炎症後色素沈着がQスイッチレーザーより生じにくいということも
一時まことしやかに噂として流れましたが、これはすでに美容外科学会の重鎮達によって否定されています。
(一部の医師達は、ピコのほうが色素沈着が出にくいというデータも出しているが大勢とは言えない。)

ということで、日光斑除去に関するピコレーザーの優位性というものは
現時点ではいまだ結論が出ていない状態と言えます。

さて、上の写真のしみにQスイッチルビーレーザーを照射した結果をご覧にいれましょう。


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上の段が、術前、下の段が照射後3ヶ月目の状態です。

色の濃い個所は5J、色の薄い個所は7Jなど
出力パワーに強弱をつけて打ち分けて日光斑を除去しました。

右頬の中央にまだ、うっすらとレーザーの熱ダメージによる炎症後色素沈着(PIH)を認めますが、
この後2,3ヶ月でさらにこの色味は抜けて薄くなってゆくことでしょう。

また患者さまからの感想として、
Qスイッチルビーレーザーを照射したことによるもうひとつのメリットとして、
このしみを除去したところの肌がつるつるになってハリツヤが出たということをおっしゃっていました。

実際に、Qスイッチルビーレーザーをしみ除去目的ではなく
フラクショナル化して打つタイプのレーザーもあります。

これをレーザーフェイシャルとして全顔に照射すると
皮膚を引き締めハリツヤを与える効果が得られるとしている機種もあります。
これについても今後当院で導入を検討中です。

Qスイッチルビーレーザーは、
色の濃い輪郭のハッキリしたしみ(日光性色素斑)除去においてベストの選択です。

フォトフェイシャルやレーザートーニングなどでは取れなかったしみも
かなりはっきりスッキリ取ることが出来るため、お悩みの方は是非一度ご相談ください。
当院のQスイッチルビーレーザーによるしみ治療について詳細はこちら

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:Qスイッチレーザーによるしみ治療  費用:全顔 232,000円/回
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士