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みずほクリニック院長ブログBlog

赤みの強い肝斑へのレーザートーニング治療

2016年03月22日(火) | カテゴリ: しみ
今週は、レーザートーニングによる肝斑治療症例です。


肝斑トーニングは、非常に需要の多い治療メニューなので
患者さまに知ってもらうために定期的に症例をブログでアップして参ります。
※その他のレーザートーニング症例はこちらです。

今回の症例は、頬前面を中心として
上口唇、鼻にもある肝斑で、「強い赤み」を伴うタイプです。



肝斑は赤みを伴うことが多いのですが、これには様々な理由が考えられます。

まず、洗顔・メイクオフの時に強い力でこすることにより
皮膚に摩擦力が加わり、これが慢性炎症を引き起こしているというのが大きな原因です。

慢性炎症があることで肝斑が生じ、同時に赤みも生じるという理屈です。

よってジェルやクリームのクレンジングよりオイル・クレンジングの方が
肌にかかる摩擦力を最低限に抑えられるという理由から、
当院ではクレンジングはオイル・タイプを勧めており、
資生堂ドクターコスメNavisionDR シリーズのオイルクレンジングを
治療の一環として使って頂いています。

オイルだからと言って、
毛穴が詰まってニキビとなることはありませんのでご安心下さい。

また、洗顔が終わったあとに水を拭き取る際に、
粗い生地のタオルで顔をごしごしとこするのは肝斑にとって禁忌とされます。

「なんかゴシゴシこすらないと、ちゃんと水分拭き取った感じしないのよね。」

とおっしゃる患者さんをお見かけしますが、
まずそこから改善して頂きます。

肝斑における赤みの原因は、様々なレベルで皮膚面の血管の量が増大or拡張し、
そこで血流が増してヘモグロビンの色が赤みとして視覚的に認識出来ている
というのは間違いないかと思います。

例えば、メラニンや毛細血管の状態を調査する検査機器(ダーモスコピー)で
肝斑を観察すると、細かい毛細血管を観察できることが多いです。

別にルーペを使わなくても、肝斑に混じって
スジ状の毛細血管の拡張が肉眼ではっきりと確認できることもあります。

たまに、肝斑のレーザートーニング治療中にも
毛細血管が浮き出て見えてくることがあるという報告を見ますが
私は、実は最初から毛細血管拡張は肝斑とセットでそこに存在し、
肝斑に紛れてしまってよく見えていなかっただけで、
肝斑にトーニングが効いて薄くなってくると毛細血管拡張がよりはっきりと
見えてくるということなのではないかと思っています。

また、肝斑の組織を生検で調べたところ
VEGF(Vascular endothelial growth factor)血管内皮増殖因子の発現が
正常より多く見られたとの有名な論文があり、
肝斑と血管新生、肝斑と局所の血管透過性などに何らかの密接な関係があるで
あろうということは、以前から言われています。

赤み=慢性炎症ということもあるかと思いますが、
もしやひょっとして肝斑もある種のがん細胞のように血管新生因子の発現誘導により、
血管増殖を促すことで、増えて広がってゆくような仕組みがあるのかも?などと
ふと思ってみたりもします。

シミの元であるメラニンを産生するにも当然その材料が必要なわけで、
その材料がどこから供給されているかというと、やはり血管によって
どこからかシミの材料たるアミノ酸のチロシンの原料などが運ばれてくる
必要があるに違いないという考えに至るわけです。

しかしながら、シミの元のメラニンは生体分子であり細胞ではないのだから、
まさかそんなはずはなかろうとも考えますが、プリオンのように自己増殖する
生体分子もあるわけですから、あながち絶対ないこととも言いきれないのでは
ないでしょうか?

そうは言いつつも、実際には慢性炎症により炎症性サイトカインが誘導され、
それによってVEGFの発現が誘導されていると考えるほうが
一般的に受け入れられやすい素直な仮説なのかもしれません。

つまり、血管新生はシミの「原因」ではなく、
シミの元の慢性炎症から起こる「結果」だと考える方がより自然であろうと。

ともあれ、肝斑には赤みが伴うことが多いけれども、
特に赤みの強いタイプでは肝斑の治療が進むにつれて
赤みも一緒に改善してくることは日常診療でよく経験することです。


  
上・左の赤みの強いタイプの肝斑に、レブライトによるレーザートーニングで
2.7Jx3パスを1週間ごと、9回照射を行いました。

あわせて、トラネキサム酸、ビタミンCの内服を照射開始時にスタートしています。

このような内服をトーニングを開始する前の前処置として1~2ヶ月行う
クリニックも多いと聞きますが、当院ではレーザー照射と同時に始めています。

左が治療前で、右が9回照射後です。

また、写真左のように肝斑が頬前面側に偏っているタイプの肝斑には、
レーザートーニングが非常によく効きます。

これに対して、珍しいのですが色素が外側寄りによっているタイプは
トーニングで肝斑が悪化することがあるので要注意です。(頬外側型色素沈着)

上・右にて、肝斑の褐色斑はもちろんのこと赤みが劇的に改善しています。

頬の他上唇、鼻の肝斑も消退しており満足度の高い治療となりました。
※当院のレーザートーニング治療について詳細はこちらです。
※レーザートーニング(しみ・肝斑治療)の効果を上げるコツについてはこちら。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:レーザートーニングによる肝斑治療 費用:22,000円/回 1週間毎に9回照射
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士