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ADMをトーニングで薄くするテクニック

2016年09月21日(水) | カテゴリ: その他の美容皮膚科
皮膚の深い層(真皮層)に存在するADM(acquired dermal melanocytosis)は、
後天性真皮メラノサイトーシスないしは、ABNOM(Acquired,bilateral nevus of Ota-like macules)
と呼ばれるしみで、光治療やレーザー治療による全顔照射の治療手技ではなかなか薄くできないことが
知られています。

通常のレーザートーニングでは、肝斑や薄い日光斑までは消すか薄くすることは出来ますが、
ADMが最終的には残ってしまい、患者さん的には「最初より良くなったのは分かるけど、
あと一声何とかなりませんか?」と言われてしまうことがあります。

もちろんまっすぐ直球勝負でゆくなら、Qスイッチルビーレーザーによる
ピンポイント高出力照射が最も効果的かつ確実な方法のはずですが、
最近はこのレーザーによる治療を選択する患者さんはあまり多くはありません。

というのもQスイッチルビーレーザー照射後は
10日から14日間ほど比較的厚くて目立つカサブタが生じる点と、
一瞬うまくしみが取れたと思うものの、3週目くらいから炎症後色素沈着(PIH)が生じてくるからです。

いわゆる俗に「戻りじみ」と言われる現象ですが、
これが薄くなるまでに短くて3ヶ月、長いと6ヶ月くらいを要します。

よく「ダウンタイムはどのくらいですか?」と聞かれますが、
「個人差はありますが最長6ヶ月」と答えるとたいていの患者さんが尻込みします。

よほど肝が据わってストレスに強い患者さんでなくては、
このQルビーによる治療を選択する方はそれほど多くないと言えます。
(ただ、Qルビーによる照射は保険が効くので治療費が安く済むという魅力は確かにありますが…)

そこでADMを消すための工夫としては、
まずはたくさんあるしみの1カ所を選んでテスト照射として患者さんのストレスを最小限にとどめ、
数ヶ月の時間をかければ確実に薄くなることをいったん確認して頂いた上で、
両頬、下まぶた、鼻などに全体的に照射することはあります。

そうすると患者さん的には、一回どのような経過でしみが薄くなってゆくか既に経験済みなので、
戻りじみがうすくなるまでの数ヶ月の期間を不安にならずに待つことが出来るという仕組みです。

そうは言っても、しみが一時的に濃くなったり、
カサブタが出来るのは嫌という方が多いのが実情です。
まして結果が出るまでに数ヶ月はいかにも長すぎると感じる方も多いようです。

そこで、当院では通常のレーザートーニングと同時に
Qスイッチヤグレーザーの高出力ピンポイント照射を組み合わせることで、
比較的短期間にADMを薄くする治療を行っております。
当院独自の方法ゆえに、M式トーニング(M;みずほ式)と呼んでいます。

下は、1部肝斑の要素がありますが、概ねADMと考えられる44歳の女性です。


通常のレーザートーニングを行った直後にピンポイントの高出力照射つまり、
しみの点状・斑状の部位に8Jから10Jの出力でトーニングに用いたQYAG1064nmの波長で照射します。

細かく1点1点丁寧に当ててゆくので、通常のトーニングの2倍の施術時間を要するため、
かなり手の込んだマニアックな打ち方と言えます。
1064nmといえど相当な高出力でかけるので一部に細かい点状の出血(赤い点々)を生じますが、
1週間以内には消えます。これがこのトーニングにおける唯一ダウンタイムを要する副作用です。

しかし厚いカサブタが生じる訳ではないので、女性であれば軽いメイクで充分カバー可能です。
今のところ、あまりこれを気にしている患者さんはいません。

そして、下が1週ごとに4回の照射を終了した時点の状態。
治療開始から、1ヶ月後の状態です。


まだぼんやりと薄いしみが頬骨部を中心にかなり残っていますが、
トーニングによりADMが4回照射でここまで薄くなれば、まずまずの成果と言えるのではないでしょうか。

10回のコースで組んでいるので、このままあと6回照射すればさらに薄くなってゆくことが予想されます。

通常の2Jから3Jの低出力の連続照射のみでは、ほとんど効果がないとされるADMですが、
部分部分ピンポイントで高出力照射を組み合わせることで短期間でかなり薄くすることが
可能ということがおわかり頂けるかと思います。

「肝斑」と診察されてトーニングを10回ほどやってみたけど全く効果がないというケースの場合、
実は診断の誤りでADMであることがほとんどなので、是非この方法を一度はお試し頂きたいと思います。

ちなみにADMとは別になりますが、このM式レーザートーニングは、
浅い層にある濃い日光斑(紫外線性のシミ)やソバカスであれば1回で取り去ることが出来るため、
非常に重宝している方法であったりもします。

レーザー機器は、メーカーが指定する通りのやり方を繰り返すだけでは治療効果に限界が必ずきます。

当院では、同じマシンでも照射方法や出力設定を工夫することによってマシンのポテンシャルを
最大限に引き出せるよう日夜研究努力を続けています。
当院のADM治療は以下にまとめています。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:レーザートーニング(Qヤグのピンポイント照射含む)費用:22,000円/回 4回照射
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士