ここ最近で患者様からのご希望が大変増えている「人中短縮術」には、ボトックス、レーザー(フォトナレーザー)、ハイフ(ウルセラなど)、手術など様々な施術法があります。いずれも施術も「鼻の下が短くなる」という効果の他に、唇に厚みが出る、面長顔が改善される、小顔に見える といった副次的な効果が多数あるため、若い方を中心に人気が出ています。
数ある人中短縮術の中でも、ボトックス注射による施術はダウンタイムも少なく価格的にも比較的リーズナブルなため、当院でも施術を行っていかれる方が多くおられますが、注射のみで簡単にできるとはいえ、失敗するリスクがゼロではありません。
今回は人中短縮ボトックスによる失敗を防ぎ、術後に後悔しないためのポイントを解説したいと思います。
目次
人中とは
人中の黄金比は「1:2」、理想的な長さは人差し指1本分
一般的に「鼻下から唇中心の長さ:唇中心から顎先の長さ=1:2」の比率が、最もバランスの取れた美しい口元だといわれています。実際に芸能人やモデルなど美しい顔といわれる方は、この黄金比率であるケースが多いです。また人中の理想的な長さは、あくまで目安ですが日本人の場合は1.5cm程度、つまり人差し指1本分の長さであることが多いです。そして唇中央から顎先までが人差し指2本分になっていれば、理想的な口元バランスであるといえます。
人中が短いと目元や鼻など他のパーツも真ん中にキュッと収まっているように見え、若々しく美人な印象を与えます。一方で人中が長いと、顔が縦に間延びして見え、なんとなくのっぺりとした印象や老けた印象を与えてしまうこともあります。また、実際よりも顔が大きく見える人もいます。もちろん、顔の見た目において重要なのは、人中の長さよりも「全体的なバランス」なので、単に人中を短くすれば良いというわけではありませんが、参考の数値にはなると思いますので、一度上記を参考にご自身の人中の長さを測ってみてもよいかもしれません。
人中は加齢によって長くなる
年齢を重ねるにつれ、人中は長くなる傾向にあります。その主な原因は、骨の萎縮や表情筋の衰え、そして唇のハリの低下によるものです。年齢を重ねると顔の骨構造は少しずつ変化し、特に上顎骨が縮むことで鼻と唇の間の距離が長くなります。この骨の萎縮により、顔全体を支える力が減少し、重力によって肌や筋肉、脂肪などの組織が下方に引っ張られます。また表情筋や唇のハリも加齢とともに衰え、人中部分が伸びた印象を与える要因となります。
つまり、①加齢に伴って表情筋の働きが低下することで唇周りの皮膚や組織を支える力が弱まり、人中部分が下に引っ張られるようになる上に、②唇のハリが低下することでボリュームが減少し上唇が薄くなるため、年齢を重ねると人中の長さがダブルで強調されやすくなってしまうということです。
人中短縮ボトックスとは
人中短縮ボトックスは「鼻の下(人中)を短くする」施術
人中短縮ボトックスとは、鼻の下から上唇の間の「人中」と呼ばれる部分を短く見せて顔全体のバランスを整えることを目的とした美容医療です。ボトックスには筋肉の働きを弱める作用があるため、上唇周辺の筋肉(口輪筋)にボトックスを打つことで下方向に引っ張られていた上唇の緊張を緩め、結果として上唇の山部分が上がって人中が短く見えるようになります。
人中を短縮する方法としては、以前から切開によって鼻下の皮膚や組織を切除する外科手術もありましたが、手術を伴うためダウンタイムがあり、また傷跡が一時的ではあっても生じるというデメリットがありました。半永久的な効果を得られるという利点はあるものの、人中短縮ボトックスの場合は皮膚を切ることなく鼻の下を短くできるため、ダウンタイムがほとんどなく、人中短縮をしたいという際には比較的挑戦しやすい施術であるといえるでしょう。
人中短縮ボトックスのメリット
- メスを使わない注射による施術
- 施術時間やダウンタイムが短い
- 傷跡がほとんど生じない
- 効果は3~6か月程度のため手軽に受けやすい
- 継続して受けることで唇のしわ改善効果が期待できる
- 人中短縮の他に上唇のボリュームアップが期待できる
- 小顔効果、面長改善効果も期待できる
ボトックスによる人中短縮術のメリットを上にまとめてみましたが、この施術の最大のメリットは、やはりダウンタイムが少なく手軽に施術を受けやすいという点ではないかと思います。また、ご自身が人中短縮の施術を受けた際にどのような変化が現れるかをまずは確認してみたい、という際にも、半年程度で次第に元に戻るボトックス注射であれば可能です。(人中短縮ボトックスの効果に満足された方が、改めて半永久的に効果が持続する手術を受けるというケースも実際にしばしばあります)
他にも、継続してボトックスを打つことで口周りの表情筋が緩み、将来のしわ予防に繋がる点や、ボトックス効果で唇が上向きになりボリュームアップして見えるといった点も人中短縮ボトックスを受けるメリットとしてあげられるでしょう。
とはいえ人中短縮ボトックスはメリットばかりではありません。次のようなデメリットがあることも認識しておくようにしてください。
人中短縮ボトックスのデメリット
- 施術後に口元の筋肉に違和感が生じることがある
- 効果は永久的ではない
(3~6か月程度で次第に元に戻ります) - 効果に即効性がない(2週間程度かかります)
- 妊活中、妊娠中、授乳中は受けられない
ボトックスは筋肉の動きを緩和させるため、一時的に口を動かしにくくなったり、違和感が生じることがあります。またボトックスの効果は一般的に3〜6ヶ月程度のため、効果を維持するためには継続的な施術が必要となり、費用や手間がかかる点はデメリットといえるでしょう。他にも、施術後すぐに効果を期待できない点も挙げられます。ボトックスに即効性がない理由としては、筋肉に作用し始めるまでに数日から1週間程度かかることが多いためです。このようなデメリットも理解した上で施術を行うことをお勧めします。
人中短縮ボトックスのよくある失敗例
人中短縮ボトックスは、メスを使わない注射による手軽な施術のため失敗することもないだろうと思われるかもしれませんが、実際には施術後に失敗したと後悔してしまうケースもあります。人中短縮ボトックスで失敗する原因にはいくつかあるため、ここではよくあるものをいくつか挙げてみます。
- 効果がなかった
- ボトックスの量が少ないと、上唇がしっかりと引き上がらずに十分な効果を得られないことがあります。基本的にボトックスを注射する際には部位別でのプロトコル(推奨される注射量)というものがある程度決まってはいますが、患者様の体質(ボトックスが少量でもしっかり効果が出る方や、通常よりも多めに入れないと効果を実感しにくい方が実際におられます)によっては、通常の量では満足いく効果を得られなかったという失敗例もあります。
なお、一度目の施術によるボトックスの効きが悪かったからと期間をあけずに追加でボトックスを打つと、体内にボツリヌストキシン製剤への抗体ができてしまい、ますますボトックスによる効果を実感しにくくなることがあります。ボトックスを再度注射する際には3か月程度は間隔を開けるようにしてください。 - ガミースマイルが悪化する
- ガミースマイルとは、笑った際などに上の歯茎が露出してしまう状態を言います。人中短縮ボトックスによって上唇がそり上がる(ボリュームが出る)と、上の歯が見えやすくなるため、もともとガミースマイルの傾向がある方が人中短縮ボトックスを受けると、症状が悪化することがあります。
- たらこ唇が強調される
- もともと唇が厚い方が人中短縮ボトックスを打つと、唇の厚みがさらに強調されてたらこ唇のように見えることがあります。これはボトックスによって上唇が上向きに上がることで、もともと厚みがある唇にさらにボリュームが追加されてしまうためです。唇が厚めの方が人中を短縮して小顔効果を得たいという際には、まず医師に相談して、どの施術法で行うのが適切かを判断していただくのが良いでしょう。
- 上唇のラインがいびつになる
- 人中短縮ボトックスでは鼻下にある筋肉(口輪筋)付近に注射を行いますが、実際の施術では上唇がバランスよく上方向に持ち上がるように、1か所にまとめて打つのではなく上唇と皮膚の境目付近に端から中央部にかけて数か所へ注射を行います。この際に仕上がりをイメージしてバランスよくボトックスを注射すれば、通常ですと上向きに整ったラインの上唇にすることができるのですが、注射量や注射の位置を適切に理解していない医師が施術を行うと、上唇の引上げが均一にならず上唇のラインがいびつになってしまうことが稀にあります。手術で人中短縮を行った場合、術者の技術力などによっては術後の仕上がりが さながら富士山のように中央部だけが高くなってしまうことがありますが、ボトックスはさすがにここまで(いい意味でも悪い意味でも)唇に変化を出すことはできないため、注射の部位や配分が失敗したとしても、上唇に左右差ができたり、ラインに多少の乱れが生じる程度にはなります。とはいえ、魅力的な唇をイメージして施術を行った結果としては、やはり失敗の一つの事例となるでしょう。
- 口を動かしにくくなったり違和感が生じる
- ボトックスは筋肉の働きを抑える作用がある薬剤です。そのため人中に打つと上唇を下に引っ張る力が弱まり上唇が持ち上がるという利点がある反面、逆に口を閉じようとする時に力を入れても思ったように動かしにくくなることがあります。一般的には注射後1〜2週間でこういった症状が落ち着くことが多いですが、それでも口の動かしにくさが解消されない場合は、打つ量や位置が適切でなかったことが疑われます。また、術後に唇のしびれや違和感を覚えることもあります。このような症状が生じた際は、通常1ヶ月ほどで落ち着きますが、ごく稀に違和感がその後も続くことがあります。長期間経過しても口を動かしにくい・違和感が消えないといった際には、速やかに担当医に相談するようにしてください。
人中短縮ボトックスの失敗をできるだけ早く戻す方法
前述した通り、ボトックスの効果の持続は一般的に3〜6ヶ月程度です。そのため施術の結果が希望通りでない場合や失敗だと感じた場合でも、効果が自然に薄れる(元の状態に戻る)までにはどうしても時間がかかってしまいます。ヒアルロン酸の場合はヒアルロン酸溶解剤(ヒアルロニターゼ)が有名ですが、ボトックスにおいても実は、効果を軽減する薬剤があります。あまり取り扱っているクリニックは多くないのですがアセチルコリン塩化物という製剤で、これを施術部位に注射すると2,3日で次第にボトックスの効果が薄れてきます。よりしっかりと元に戻したいという際には1~2週間の間隔で2,3回程度繰り返し注射をすると有効です。アセチルコリン塩化剤によるボトックス修正術は当院でも行っていますので、必要な際にはご連絡ください。
・・・このように書くと、「なんだ、ボトックスも元に戻せるんだ!」と思われた方もおられるかもしれませんが、とはいえ本来はやる必要がなかった施術(修正術)を繰り返し何度も行うことになるのは、コスト的にも時間的にもプラスなことではないはずです。一度の施術で失敗せずに施術を行うことがベストであるのは、ご理解いただけるかと思います。
人中短縮ボトックスの失敗を防ぐ!
後悔しないためのポイント
人中短縮ボトックスで失敗しても修正する方法があるとお伝えしましたが、それでも1回の施術で理想の口元に変化させることが理想形です。特に人中は顔の中心部にあるため、形に失敗した際などは非常に目立ってしまう可能性もあります。ここでは人中短縮ボトックスの失敗を未然に防ぎ、術後に後悔しないためのポイントをお伝えします。
- メリットとデメリットを事前に理解する
- 人中短縮ボトックスの施術を受ける際には、そのメリットとデメリットを事前に理解しておくことが大事です。上で述べた通りメリットには「施術が短時間で済む」「ダウンタイムがほとんどない」「術後の日常生活にもほとんど影響がない」といった点が挙げられますが、逆にデメリットには「半年弱で元に戻る」「定期的な施術が必要になる」「場合によっては不自然な顔になることも」等があります。
これらのメリットデメリットを理解した上で人中短縮ボトックスを受けることで、術前に思い描いていたイメージとの乖離を極力防ぐことができるでしょう。 - 経験を積んだ医師に依頼をする
- 人中短縮ボトックスは注射による簡単な施術と思われる方もおられるかと思いますが、実際には注入位置や量の違いで仕上がりが変わることもしばしばあるため、適切な箇所に適量を注入することができる経験を積んだ医師に施術をお願いしたほうが、失敗や後悔などのリスクを回避することができるでしょう。
また技術的な面だけではなく、診察ではきちんと患者様と対話をしてくれる医師かどうかも失敗を避けるポイントになります。どれほど上手な医師でも、患者様の話を聞かなければイメージ通りの仕上がりにはなりません。また、事前のカウンセリングを医師ではなくカウンセラースタッフが行うという際にも、かなり注意が必要です。 - 3か月以内に再注射をしない
- ボトックスは効果がずっと続くものではないため、満足のいく状態を維持するには定期的な注射が必要です。ただし、頻繁に施術を受ければ良いわけではなく、過度に注射を行うと身体の中に抗体ができてボトックスの効きが悪くなっていることがある他、筋肉の弛緩が過剰になって注入部位の機能が低下する可能性もあります。こういったリスクを避けるためにも、医師の指示するペースを守り、適切な間隔で施術を受けることが重要です。
みずほクリニックの
人中短縮ボトックス
みずほクリニックでは、「人中を短くしたいけれどメスを入れたくない」という患者様に、人中短縮ボトックスを行っています。当院の人中短縮ボトックスについて少しだけ紹介させていただきます。
- 施術経験30年以上の院長が施術
- 当院の人中短縮ボトックスは、形成外科医・美容外科医として30年以上の経験を持つ院長が、カウンセリングから施術、そしてアフターフォローまで一貫して対応します。ボトックス注射は切らない施術ではありますが、顔の筋肉の配置や動きをしっかりと分かったうえで、患者様のお顔にあったデザインとそれを叶える技術が必要になります。そのため経験の少ない新人ドクターに対応してもらうと希望のイメージとは違った仕上がりになることも考えられます。
- 診察・施術・アフターフォローまで一貫して院長が担当
- 美容クリニックの中には、カウンセリングはカウンセラーが行い、その後に少しだけ医師による診察が入るというところもあるようです。その場合、実際に施術をしてくれる医師と仕上がりイメージの共有ができておらず、希望と違う結果になるということもしばしば見られます。当院では、施術の仕上がりに満足していただくことはもちろんのこと患者様に安心して施術を受けていただくためにも、院長自らが診察から施術まで全てを行っています。さらに、万が一術後に何かトラブルなどがあった際の対応についても、責任をもって院長が担当させていただいております。
- ワンドクター制ゆえリーズナブルな価格でご提供
- 同じ人中短縮ボトックスの施術であっても、クリニックによってその施術費用は様々です。価格付けの根拠はクリニックの方針によって様々ですが、当院は院長のみのワンドクター制であり、また大手のように広告やプロモーションを大量に行っているわけではないため、同じ製剤を使った施術でもリーズナブルにご提供できる点も特徴です。もちろん、使用する製剤はアラガン社など他院と同じものですのでご安心下さい。
人中短縮ボトックスは比較的手軽な施術のため当院でも人気の施術ですが、担当する医師の技術力や経験値などによっては、術後に失敗や後悔といった結果に繋がる可能性もあります。一度の施術でイメージに近い仕上がりにするためにもこの点は特に注意されたほうが良いでしょう。なお、注射の痛みが不安な方にはレーザー(フォトナレーザー)やハイフ(ウルセラ)による人中短縮術もお勧めです。お気軽に御相談下さい。
人中短縮ボトックスの詳細はこちら 人中短縮レーザー・ハイフの詳細はこちら※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はコラム投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。