
日本人においてワキガ(腋臭症)を発症する確率は平均10%程度といわれています。「もしかして自分はワキガかも?」と思っていても、実際にワキガかどうかを他人に相談することはなかなか難しいため、判断がつかず悩んでいる方も多いようです。そこで今回は、ワキガ体質かどうかを調べる方法や、自宅で簡単にできるワキガのセルフチェック法などについてまとめてみたいと思います。
ワキガとは

ワキガとは「腋臭症(えきしゅうしょう)」のことを言い、通常の汗とは異なる独特のニオイが脇から生じる症状です。汗を出す汗腺には、全身に分布して水分を汗として分泌することで体温調節を行うエクリン汗腺と、脂質やタンパク質を含みニオイの原因となる脇の下や外陰部に分布するアポクリ汗腺という2つがありますが、このうちアポクリン汗腺から出る汗の中の脂質やたんぱく質がワキガに関係しており、この分泌物を皮膚表面の常在菌が分解することで独特なニオイを発症させます。
ワキガに多いニオイの傾向

ワキガは実は全員同じニオイではではなく、ニオイにはいくつかの種類があることがわかっています。またニオイの種類によって「ニオイの強さ(臭強度)」にも違いがあり、これらの中でも特に「ワキガ特有のニオイ」として本人も周囲も気づきやすいものには以下が挙げられます。
- 酸っぱいニオイ(酸様臭)
- 香辛料のようなニオイ
(カレースパイス様臭) - カビのようなニオイ(カビ様臭)
これらのニオイがするタイプのワキガの場合は、医療機関での治療なども検討したほうが良いでしょう。
逆にニオイがあまり強くないものには「ミルク臭」のワキガがあります。「濃厚牛乳のような濃いニオイ」「粉ミルクのようなニオイ」「ミルクティーから紅茶のニオイを抜いた感じのニオイ」ともいわれますが、この種類のワキガはニオイがそれほどきつくなく、本人も周囲もあまり気にすることがないため、ワキガとしての出現率が高いもののセルフケアで十分にケアできることが多いです。
ワキガのニオイは
自分でわかる?

ニオイは、継続的に嗅いでいると鼻の感覚が麻痺してくるため自分ではニオイを感じなくなるものです。そのため自分ではワキガと気づいていなくても、エレベーターや満員電車などで他人と距離が近づいた際に、周囲の人が気づくといったケースも多くあるでしょう。
ワキガを心配されている方の多くがこの部分を理由に挙げており、「自分では気づいていないものの、周囲ではワキガのニオイを感じているのではないだろうか」と不安になり当院にご相談に来られる方も多くおられます。そこで次の項目では、ワキガかどうかを自分で調べる方法についてお伝えしたいと思います。
ワキガ体質のその他の特徴
ワキガ体質の場合、ワキのニオイ以外に以下のような症状があることが多いです。ニオイに気づかなくとも、以下のような経験がある方については、ワキガ体質の傾向にある可能性が高いです。
ワキガ体質のその他の特徴

- 耳垢が湿ってて粘りがある
- 家族や親せきにワキガの人がいる
- 脇に白い粉がふく
- Tシャツや下着の脇部分に黄色いシミができる
- 脇の他、下着の乳輪付近や陰部にも黄色いシミができる
- 乳輪や陰部から酸っぱいニオイがする
ワキガを自分で調べる
セルフチェック法
自宅で手軽に調べることができるワキガのセルフチェック法について、以下に簡単ですがまとめます。自分がワキガかどうか心配な方や、脇のニオイにもしかして自分だけ気づいていないのでは?と不安を感じている方は一度試してみるとよいでしょう。
ワキガ体質のセルフチェック

ワキのニオイを直接的に鼻で嗅ぐことは難しいため、一般的に良く行われるワキガのセルフチェック方法がガーゼテストです。ご自宅にあるもので簡単に行うことができるチェック方法です。
※ニオイをはっきり感じやすくなるため汗をかいた後などに行うとより有効です。
※制汗剤を塗布しているとニオイが薄くなるため使用しない状態で行ってください。
※日常的に制汗剤を使用している場合は、できれば3日程度は使用を控えた上で行ってください。
- ワキにガーゼやティッシュを挟む
- そのまま5分ほど待つ
- ガーゼやティッシュのニオイを確認する
ニオイの結果については一般的に以下の5段階で評価します。軽度以上の場合は医療機関で改めて医師の診断を受け、必要な際には専門の治療を受けることも検討されたほうが良いかもしれません。
ワキガのレベル別の対策
- レベル① ほぼ無臭
- ワキガの可能性は低いです。
- レベル② ほんの少しニオイがある
- ワキガの可能性はありますが、周囲の人が気にするほどではない可能性が高いです。この程度であればセルフケアでも十分対応可能でしょう。
- レベル③
ガーゼを鼻に近づけるとニオイがする - 軽度のワキガの可能性があります。運動後や夏など汗の量が増える時期になると周囲の人が多少ニオイに気づくことがあるレベルです。
- レベル④
ガーゼを10センチほど離してもニオイがする - 中度のワキガの可能性があります。満員電車やエレベーターなどの狭い空間で近くにいるとワキガのニオイがする可能性があります。
- レベル⑤
ガーゼを持っただけでもニオイがする - 重度のワキガの可能性があります。屋内・屋外問わず、1メートルほど距離が離れていても周囲の人がニオイを感じる可能性があります。
ワキガのセルフケア

レベル②~③程度のニオイであれば、ご自宅でのセルフケアでも十分に対策を行うことはできるでしょう。ご自宅で行うニオイ対策としては以下などが有効です。
- 汗をできるだけ流す
- 運動などで汗を出すと、毛穴に詰まった老廃物が体外に排出されるため、ニオイのもととなる細菌の繁殖を抑えることができます。汗を対象に出せば一時的にニオイが強くなることもありますが、新陳代謝を促進することが大事ですので、運動でかいた汗はこまめに拭く、すぐに風呂に入り汗を流すなどで対策をしつつ運動する習慣をつけることをお勧めします。
- 肉や乳製品を控える
- 高カロリー・高脂肪の食材はニオイの原因になる可能性が高いです。肉やバターなどの食品よりは魚や大豆食品などを摂取すると良いかもしれません。
- 香辛料や飲酒・喫煙を控える
- 香辛料やアルコール、ニコチンといった成分はニオイの原因となるアポクリン汗腺を活性化する働きがあるため、摂取はできるだけ控えるとよいでしょう。
- 制汗グッズの利用
- 制汗シートや制汗スプレーなどを使用してこまめに汗を拭きとることで、気になるニオイを抑えることができます。最近の制汗剤は殺菌効果のあるものなども増えているため、できるだけ機能性が高いものを使用するとより効果的です。
医療機関のワキガ治療

レベル③~⑤のニオイの場合は、セルフケアだけではニオイを抑えることが難しくなるため、必要に応じて医療機関で専門の治療を受けることを推奨します。ワキガ治療については、現在当院では手術(反転剪除法)・ミラドライ・ボトックス・外用薬を取り扱っています。昨今は、手術を伴わないものの半永久的にニオイや汗を抑えることができるミラドライ治療が人気ですが、「再発率が最も少ない治療法で受けたい」「痛みができるだけ最小限に抑えたい」など、一人ひとりのご希望やイメージにあわせた形で治療法をご提案しています。症状などによっては保険適用での手術(反転剪除法)も可能ですので、気になる際には一度ご相談ください。
手術によるわき汗・ワキガ治療の詳細はこちら ミラドライによるわき汗・ワキガ治療の
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