
■肋軟骨も耳介軟骨も「出せる高さは同じ」と当院が考える理由
結論から言うと、「鼻先に高さを出せるかどうか?」を左右する重要な要素の中に、「軟骨の採取部位」は含まれておりません。
理由をもう少し丁寧に解説します。まず、鼻先にどの程度高さを出せるかに大きく関連する指標は、形成外科・解剖学的な知見で冷静に考えれば以下の3つになります。
1.鼻先周りの皮膚組織のボリューム
2.鼻先の皮膚の柔らかさ
3.鼻先の皮膚の厚み
鼻先の皮膚量が多く、且つ鼻先の皮膚が伸びやすいタイプの方であれば皮下に大き目の軟骨を移植しやすい傾向にあり、それとは逆のタイプであれば、軟骨を挿入する場所が狭くて広がらないため移植できる軟骨のサイズに限界がある…という考えです。(この考えは至極真っ当な発想であり、特に難しい独自のアイデアや技法ということではありません。形成外科の教科書にも掲載されていそうな誰もが頷く内容だと思うのですが、実際はどうなのでしょう?)
つまり、移植する軟骨が肋軟骨であろうが耳介軟骨であろうが出せる高さにはほぼ違いなく、大事なのは「移植先(鼻先)のポテンシャル」ということになります。上に挙げた3つの中でも1つ目の「鼻先周りの皮膚組織のボリューム」がもっとも重要で、鼻先の皮膚にボリュームがあると軟骨移植で前方に伸ばす際に圧倒的に有利になります。
そして2つ目(鼻先の皮膚の柔らかさ)と3つ目(鼻先の皮膚の厚み)はそれぞれリンクする部分もありますが、皮膚組織にボリュームがある上に鼻先の皮膚が薄くて柔らかいと、なお一層鼻先に大きな変化を出しやすくなります。
ただし修正手術については、そうとは言えません。すでに鼻中隔延長術を行った経験がある方については、もともと鼻先にボリュームがあって皮膚が柔らかい方であっても1回目の手術によってすでに皮膚や皮下組織が硬くなってしまっているので、鼻先に高さ・長さを出すことはかなり難しくなります。
どのような移植素材を使っても鼻先に出せる高さに違いはなく、それよりも重要なことは、患者様の「鼻先のポテンシャル」であるということが少しでもお分かりいただければと思います。
■現場の医師目線で考える肋軟骨移植のメリット・デメリット
とはいえ肋軟骨移植による鼻中隔延長術を検討している方もいらっしゃると思うので、ここでは肋軟骨移植による鼻中隔延長術のメリット・デメリットについてお伝えします。
◎肋軟骨移植のメリット
耳介軟骨移植と比較して肋軟骨は「軟骨が硬い」という特徴があります。そのため、耳介軟骨移植よりも「鼻先に高さを出す」ことは前述の通りほぼ不可能ですが、耳介軟骨移植よりも「硬い組織に対応できる」点はメリットになります。例えばすでに何度も繰り返し鼻整形を行っており、すでに鼻先の皮膚や皮下組織がかなり硬くなってしまっている方は肋軟骨移植が有効です。このような際に耳介軟骨で伸ばそうとすると、皮下組織の硬さに対して移植軟骨が強度不足となり鼻先が曲がってしまう可能性があるためです。ただしこれはかなり特殊なケースで、術者も選択肢が減ることからやむを得ず肋軟骨を使うことがほとんどです。
◎肋軟骨移植のデメリット
肋軟骨移植を鼻中隔延長術で使用する際のデメリットは以下が挙げられます。
1. 鼻先がかなり硬くなる
2. 鼻先に動きがなくなる
3. 時間の経過に伴い鼻先が曲がってくる(Warping現象)
4. 移植元(胸部)に数cmの傷跡が残る
5. 移植元(胸部)に痛みがしばらく続く
色々ありますが、最も大きなデメリットは3つ目のWarping現象になるでしょう。Warping(ワーピング)現象とは、移植した軟骨が次第に時間が経つにつれて軟骨自身の「元の形に戻ろうとする力」によって反り・曲がりが生じることを言います。肋軟骨は耳介軟骨よりも強度が高い分、この「元の状態に戻ろうとする力」(内部応力)がかなり強く、術後数週間から数か月程度経過したところで次第に鼻先に曲がりが生じてくることがあります。実際にSNSでは、残念ですがこのような失敗に遭ってしまった方の投稿を見かけることもあります。(特定のクリニックで施術をされた方が多いように思われます)このような状況も鑑みた上で、当院では肋軟骨移植による鼻中隔延長術は特殊な事情などがない限りは行っておらず、基本は耳介軟骨を使用する形で施術を行っています。
…このように書くと、「と言っても耳介軟骨移植だと鼻先に高さを出せないのでは?」という懸念を持たれる方もおられるかもしれません。肋軟骨移植を推奨しているクリニックが主張するように、耳介軟骨移植だと鼻先がそれほど延びないということは、本当なのでしょうか。その辺りについても解説していきたいと思います。
■耳介軟骨移植だと鼻先に高さを出せないのか
まずは実際の例をご紹介します。こちらの方はもともと鼻先に相応に高さがあるのですが、「もっと高くて尖り感のある鼻先にしたい」という希望で当院にご相談に来られました。27歳の女性です。鼻の整形経験は今まで一度もありません。

ご本人と話をした結果、鼻先にもっと高さを出すために耳介軟骨移植による鼻中隔延長術を行うこととしました。手術では、耳珠軟骨を採取して軟骨を加工し、形やサイズを調整した後に二つ折りにして鼻中隔軟骨に継ぎ足すように移植し、鼻先を伸ばしています。ちなみに当院の場合、耳介軟骨については「耳珠」を使用することが多いです。耳甲介の裏から取るクリニックが多数派と聞きますが、耳珠は湾曲することが少なく、厚くて丈夫な軟骨が取れるため私はこちらを好んで用いています。術前後の変化を見てみましょう。

術後は2か月半後の様子です。術前・術後でかなりはっきりと鼻先に変化が出ているのではないでしょうか。手術では約6㎜程度の延長距離として軟骨移植を行っています。ご本人からも、イメージ通りの仕上がりになったという感想をいただいております。(周囲からの評判も良いとお喜びでした)
耳介軟骨であってもこのくらいしっかりと変化が出せた理由は、以下の2つになります。
・鼻先の皮膚・皮下組織にボリュームあった
・一度も鼻の整形を行ったことがない方だった
つまり鼻先の組織に余裕があって柔らかい皮膚の状態だったことが最大の要因です。上のような状態の方であれば、この方と同じくらいにまで鼻先に高さを出すことは不可能ではないでしょう。(もちろん個人差があるため100%とは申しませんが)
鼻中隔延長術で鼻先に高さをどのくらい出せるかは、使用する軟骨の採取場所の問題ではなく、「施術部位(鼻先)のコンディション」が結果を左右するという点について、今回のブログを通して少しでもご理解いただければ本望です。
>当院の鼻中隔延長術の詳細はこちら
本ブログの症例に関する情報
治療名:鼻中隔延長術(耳介軟骨移植/オープン法) 費用:330,000円 リスク・副作用:腫れ、内出血、血腫、感染、左右非対称、皮膚の菲薄化、皮膚面の色素沈着、皮膚面の凹凸など 施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ
※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はブログ投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。
Doctor
院長・監修者情報
みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長
札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本形成外科学会認定 形成外科専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士 医師紹介はこちら
