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L型プロテーゼによる上向き鼻の改善(他院修正・鼻中隔延長法)

2018年04月02日(月) | カテゴリ: 美容外科, 鼻整形
最近、鼻を高くする隆鼻術の美容外科手術として、
L型プロテーゼを使用するクリニックが減ってきている傾向にあるようです。

他院でシリコンプロテーゼによる隆鼻術を受けたという方のお話しを伺うと、
以前(5年以上前)は、L型が圧倒的主流でしたが、最近はI型を入れたという回答が
俄然多くなってきております。

その理由としては、以下が挙げられると思います。

1.後で鼻先に手を加えることになった時にL型だと鼻先の部分のプロテーゼが操作の邪魔になる。
2.L型で鼻先部分を前方に出すのは、いろいろと問題がある。
 (皮膚に負担がかかって赤くなったり、鼻先が上を向いてしまうことがある)
3.L型では、鼻先のシャープさが表現しにくい。
4.Supuratip と呼ばれる、鼻先のほんの少し上の部分が膨らんでしまう症状によって、
 顔のシルエット、特に斜めから見たときの鼻のラインが美しくない。

かなり以前から私自身も、上記のような理由からL型プロテーゼを既に使わなくなっており、
業界全体もそのような流れになってくれてひとまず良かったとは思っています。

今回は、2に述べたようなトラブル例(L型プロテーゼによって鼻が赤くなったり上向きになる)が
実際にあるのか?という点について解説したいと思います。

現在もいらっしゃるL型プロテーゼ推奨派の先生達は、
患者さんへの説明の中で「そんなことは絶対おこり得ない」ということを言っているようですが、
実際例を見てみましょう。

下は、10年前に有名美容外科でL型プロテーゼを入れた35歳の女性です。

    
L字型の先端部分が、明らかに本来の位置より上方に偏位移動しており、
鼻先が上を向き、いわゆる患者さん達がよく言うところの「ブタ鼻」と表現される状態になっています。

プロテーゼを入れた時は、こんな状態ではなかったとのことですが
時間とともに鼻先がせり上がり、このような状態に変化して固定されてしまったとのことでした。

初診時に鼻先を触ると、かなりの厚みのあるシリコンの角(かど)が鼻先の上方にあるのがわかり、
おそらくほとんど加工することなしにプロテーゼがそのまま挿入されたことが予測されました。

大手美容外科では、いまだにこのように出来あいのものを一切全く加工することなしに
ただ入れておしまいということをやっている所がかなりあります。

そのほうが、手術時間が短く済みクリニックにとっては時間対利益の効率が良いため、
プロテーゼをわざわざ加工することを「無駄な作業」として医師に一切禁じている所もあるくらいです。

本来なら、その人の鼻の構造に合わせてプロテーゼを加工して骨膜下へ挿入し、
挿入した状態を手術中に患者さんに鏡で見てもらい、気になる点があればその場で改めて抜去して加工し、
また挿入して患者さんが鏡で再確認するという作業を何度も何度も繰り返しながら、
高さ、ライン、形状を煮詰めて決めていくのがプロテーゼによる隆鼻術の一番の重要ポイントなはずです。

いわゆる、オーダーメイドとはそのようなことを指すのではなないかと思っていますが、
少なくとも、全身麻酔や静脈麻酔を使用した手術では真のオーダーメイド手術には
なり得ないということを、鼻の整形手術をお考えの方には憶えておいて欲しいと思います。

完全に寝た状態や、意識もうろう状態で
鼻の形を自身でしっかり確認するというのは基本的に無理だということです。
(逆に手術をする側にとっては、実はこれほど都合の良いことはないわけですが。。)

上の術前写真では、お世辞にも良い手術結果とは実際言えないのですが、
しかしこのような状態で再手術するとすれば、有利な点が少なくとも1つあります。

それは、鼻先に長年ほぼ無加工のゴロンと太くて厚いプロテーゼの部分が入っていたことで
鼻先の皮膚が伸展されて引き延ばされているということです。

このケースの修正手術としては、まず鼻先をせり上げている原因のプロテーゼを抜去して、
L字の部分をカットして再挿入し鼻スジの高さをキープしつつ、
鼻先を鼻中隔延長か鼻尖耳介名骨移植で斜め下に出して下げます。

その時に、鼻の皮膚が元々のプロテーゼによって伸ばされているため
プロテーゼの余分な部分をカットすることによって皮膚に余裕ができるので、
その余裕をうまく使って前下方に思い切って鼻先を伸ばしてやることが出来るからです。

美容外科の修正手術では、このように今ある問題点や状況をうまく活用して
プラスに結びつけられるようにやりくりして考えることが、1つのコツとも言えます。

さて、耳の耳珠軟骨を2枚折りとして鼻中隔軟骨に継ぎ足すように移植する鼻中隔延長手術を行い、
5日目にギプスをオフしたところが下の写真です。



この時点で、かなり頑張って鼻先を
前下方に伸ばしたため鼻先の皮膚にわずかな赤みが見られましたが、
全体的にはさほど大きな腫れ・内出血は見られませんでした。

ちなみに、今回の延長距離は鼻翼軟骨中間脚から測って7mmです。

日本人の鼻中隔延長で延長出来るほぼ最大値付近の延長距離となります。

これを越えて伸ばすことも出来なくはないのですが、
8mmを越えると長期経過で左右に曲がってくるリスクが出てまいります。

移植軟骨の左右に補強の軟骨をプラスするなどすれば10mmもいけるかもしれませんが、
皮膚への負担も考慮してあまり無理はしないことにしています。





そして上の写真が、上から順に右から見た術前・術後1ヶ月目の状態。







そして上の写真が、上から順に左から見た術前・術後1ヶ月目の状態。






さらに、上の写真が上から順に斜めから見た術前・術後1ヶ月目の状態。

鼻のプロテーゼの鼻スジの部分はそのまま高さが出るように残し、
鼻先のみのプロテーゼの加工と鼻中隔延長で自然な形状に仕上げました。

結果に満足そうな様子でしたので、モニターとして写真使用を提案したところ
こころよく引き受けてくださったので、今回ブログで紹介させて頂きました。

L型プロテーゼ挿入による隆鼻術で、術後に鼻先が上に向いてしまっていたり、
鼻のラインや高さに違和感がある方は、一度当院にご相談ください。
ほとんどの場合で、大きな改善の余地があると思います。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:プロテーゼ修正(他院修正)+鼻中隔延長法
費用:プロテーゼ修正(他院修正)110,000円、鼻中隔延長法220,000円(税込)
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:血腫、傷跡、皮膚壊死など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ


監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士