多い・少ない、目立つ・目立たないといった程度はあれ、年齢を重ねると大概の人に生じるよくあるありきたりの出来物です。老化現象の一種とも言えますが、早ければ30代くらいでも、男女問わず気にされてご相談に来られることもあります。
漠然と「首イボ」と呼んでいますが、正式には軟線維腫、soft fibroma, アクロコルドン、スキンタグなど様々な呼び名で呼ばれており、これらの本体(組織)はみな同じものです。
色は、肌色(皮膚と同色)から褐色、黒色などで、形は、小さな点状のふくらみから、茎の部分がしっかりとあり皮膚面にぶら下がっているタイプまで様々です。
場所は、首のみならずデコルテのあたりまで広範に広がってしまっているケースもあります。
下の写真のようなイメージです。
イボというとウィルス性のものもありますが、このタイプのイボはウィルス性ではありませんので、体の他所に飛んで感染したり、家族など他者にうつったりしません。
ちなみに軟線維腫は、首だけに出来るものではなく体の他の部位に出来る場合もあり、その時は、首の様に細かくたくさん生じるというよりは、単発・肌色でより大きな形状を取ることもあります。
治療は、
1 電気分解による除去
2 炭酸ガスレーザーによる除去
3 ハサミによる切除
などです。皮膚科では液体窒素で焼いたりされているようですが、取れなかったために改めて当院に来られる患者さんがかなり多いため、有効性が低い方法だと思います。
首イボ除去施術を行う際の麻酔は、基本的に外用麻酔(塗り薬、クリームの麻酔)の塗布で充分です。
どうしても痛みに弱い方の場合、局所麻酔注射を使うこともごく希にはありますが、100個以上のイボを首にぶら下げているような方の場合は、かえって麻酔の注射を打つ瞬間のほうが痛いと言えます。
上記治療法のうち、傷跡がもっとも残りにくい方法が実はピンセットでつまんでハサミで次々にできものの根元でカットしてゆく方法です。痛みは実際ほとんどなく、スピーディーに終わりかつ、傷跡がほぼ残りません。
他の方法(電気分解や炭酸ガスレーザーによる削り取り)では、周囲に熱影響が出て一瞬軽くヤケドを起こすため、削った傷が治ったあともしばらく炎症後色素沈着が残ってしまいます。
一方、刃物によって一瞬でカットすれば、周囲への熱影響はゼロですから色素沈着が残ることはまずありません。
ただし、茎がなく背の高くないごくわずかな小さいでっぱりのみのタイプではピンセットでつかむことが困難なため、やむを得ず電気分解で一つずつ削ることもあります。
術前と術後の比較写真を下に示します。
今回はハサミと電気分解の組み合わせで除去しました。
上が術前、下が施術後1ヶ月目の写真です。
除去部位の色素沈着は、ほとんど目立ちません。
また、これによく似たもので、腹部や背中にたくさんの茶色い細かく小さなツブ状のイボがたくさんある場合があります。
こちらは、軟線維腫ではなくセボケラ(seborrheic keratosis)もしくは脂漏性角化腫という皮膚の良性腫瘍であることが多いです。これも、麻酔クリームを塗布して電気分解で全て除去することが可能です。
首イボは、老化現象の一種であり見た目にもあまり美しいものではありません。
特に夏の暑い季節など胸元の開いた服装では、デコルテの肌が汚く見えてしまい出すのがはばかられるという方が多いです。
確かに1回でほぼとりきっても、時間をかけてまた再発してくることもありますが、気になる際には数年に1回などタイミングを決めて定期的に大掃除をされることをお勧めします。
本ブログの症例に関する情報
治療名:首イボ除去治療 費用:55,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:傷跡、色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ
※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はブログ投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。