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鼻中隔延長術で理想通りのラインにするための注意点

2019年03月18日(月) | カテゴリ: 鼻整形
3月の繁忙期ということもあり、美容外科手術の問い合わせが多くなってきています。

美容外科の繁忙期というのは、3月の他にゴールデンウィーク、盆休み付近、そして年末があり、
年間を通してこの4つの時期が最もオペ希望の患者さんが多いというのは
どこのクリニックでも共通かと思います。

特に当院ではこの時期に目と鼻の手術が多いです。

鼻は、鼻尖耳介軟骨移植、プロテーゼ、鼻尖修正、鼻中隔延長、小鼻縮小、鼻柱延長、
ハンプ削りなどの件数が多く、単体の手術もしくはコンビネーションで行っています。

そんな中で、最近患者さんのお話しを伺っていると
鼻中隔延長は将来的に鼻先が曲がるのではと心配をされている方をよく見かけます。

それゆえに、鼻先を前方ないしは下方に出す方法として
鼻尖耳介軟骨移植を希望される方の割合が増えつつあります。

ちなみに私の30年の経験では、
鼻中隔延長手術を行って鼻先が曲がってしまった例は一度もありません。

どうもこの点、特定の有名某クリニックが行った手術で鼻先が曲がるケースが数多く認められ、
そのためこのクリニックで肋軟骨移植を推奨しているようです。

しかし、肋軟骨移植を行うのは体に大きな傷跡が残る点や追加費用がかなりかかる点、
全身麻酔か少なくとも静脈麻酔が必要とされ、やや大がかりな手術となることなどを
考慮するとあまりにやり過ぎ感があろうかと思います。

これは、何も医師側だけが感じていることではなく、
患者さんサイドでもそのような印象を受ける方が多いとカウンセリングで話していて分かります。

そこまでしなくても、耳介軟骨移植を用いた従来の鼻中隔延長手術で
満足度の高い結果を得ることは十分可能です。

ただし、何度(3回以上など)も鼻先の手術を繰り返し行った結果、
鼻先の皮膚と皮下組織が瘢痕でカチカチに固まってしまったような特殊例に限定して、
肋軟骨移植を使って修正を行うという場合には私も意味があると思いますが、
かなりの希なケースであると言えるでしょう。

ところで、そもそもなぜ鼻中隔延長術で鼻先が曲がるということが起こりうるのでしょうか?

その原因として考えられることとして、

1.延長距離を無理に長く伸ばしすぎ
2. 皮下の剥離範囲が狭過ぎる
3.血腫
4.感染


などが考えられます。

1については、皮膚の伸展性・可動性も考慮する必要がありますが、
延長距離を定規で測って、最大7mm程度に限定すれば倒れることはまずないと
言っていいでしょう。

8mmを越えてもいけるかもしれませんが、倒れるリスクはある程度出てきます。
比較的鼻の大きな方で、皮膚の柔らかい方であれば8mm以上も十分可能なケースもあります。

しかし、鼻先を前方ないし前下方に伸ばしたいという希望の方の場合、
鼻が通常サイズよりもむしろ小さい方のほうが多いので、
7mm以内ということを出来るだけ守るよう心がけています。

要は、鼻尖耳介軟骨移植だから倒れるとか鼻中隔延長だから曲がるという
手技の種類の問題ではなく、あくまで延長距離のほうがずっと重要だと考えたほうがいいです。

また、鼻中隔延長は基本的に鼻柱部の切開ありのオープン法で行うのが基本ですが
鼻の穴の鼻粘膜の切開のみで行うクローズアプローチであれば剥離範囲が大きくとれないため、
あまり延長距離を長く取ると移植軟骨が倒れるリスクは当然出てきます。

(クローズは術野の展開が悪く視野の確保が難しいため、
 あまり思いきって広い範囲は剥離出来ない。)

オープンアプローチの場合、十分に余裕をもって広い範囲を剥離することで
鼻先付近の皮膚に十分な可動性を与えることで、傷を縫合で閉じる際に
移植片に過度な力が掛からないように配慮することが出来ます。

ところで、剥離範囲を広く取ると鼻先の形状を変える自由度が増す反面、
術後に出血が生じて血が皮下にたまる血腫というトラブルが発生するリスクが増してきます。

この血腫が厄介で、シコリになってふくらんで見えたり、
血腫が瘢痕収縮を起こして皮膚面にくぼみが生じたり鼻先が曲がったりする原因となります。

当院ではこれまでに、鼻中隔延長術ではありませんが
鼻尖耳介軟骨移植を行った症例で1例のみ経験しています。

このようなことは本来決して起きてはなりませんので、
その予防策として止血を十分確実に行うことも重要ですが、
最近はさらなる対策として生体ノリ(フィブリン糊)を
閉創作業を始める前に皮下に撒いてから傷を閉じるという工夫も行っています。

ただしこの生体糊は原価が結構するものなので、術前に患者さんに使うかどうか確認した上で、
希望する方に実費でご購入して頂いています。(現在1万円前後です。)

さらにこの生体ノリを使うメリットとしては、こちらが意図する形に鼻先の形状を固定する上でも
使わない場合に比べて形が決まりやすい(まとまりやすい)という点が上げられます。

イメージとしては、鼻先の皮膚の形状をテーピングとギプスで外側から「外固定」しつつ、
皮下においてもノリを使うことで内側からも狙った形状を確実にキープできる
「内固定」のような感じです。

そして4の感染については、耳介軟骨など自身の生体材料を使う分には
まず起こり得ないトラブルですが、合わせてプロテーゼなどの人工物を骨膜下に挿入する手技を
行った場合には絶対に起こらないとは言えません。

感染に伴い炎症が発生すれば、
当然皮下組織の拘縮などにより鼻先が曲がるというトラブルが予想されます。

しかし、抗生物質を閉創前に皮下に注入したり、術後の経口抗生剤の使用などによって
ほぼ0%に近い確率までこのリスクを軽減出来ると考えています。

体の他の部位と異なり、顔面は非常に血流の豊富な部位のため
人工物がシリコンの場合、ほとんど感染は生じ得ないと言ってよいと思います。

私自身も、自分の行った症例において、
感染で鼻の手術結果がダメになった例をまだ1例も経験していません。

以上をふまえ、鼻中隔延長手術において熟練した美容外科医が十分に注意深く行う限りは
鼻先が曲がるリスクは実際には極端に低いと言ってよいと思います。

逆にここでは詳しく述べませんが、鼻尖耳介軟骨移植に比べて鼻中隔延長手術のほうが
鼻先を伸ばしたり、下方に向ける上で様々なメリットがある点も考慮すべきでしょう。

さて、先日行った鼻中隔延長単独症例で患者さんに満足頂いたケースがあったので
実際例を見てみましょう。




鼻先の低さを気にされて当院を受診された24歳の女性です。




横から見ると鼻先が低く丸まっているのがより分かりやすいのではないでしょうか。

高さを出しつつ、上下方向の長さも欲しいとのことでしたので、
今回は前ではなく、斜め前下方に延長する計画で手術を行いました。




左が術前、右が術後2ヶ月目の状態です。



横方向から見た左が術前、右が術後2ヶ月目の状態です。

自然な形で鼻先が前下方に伸張しています。

この手術では、鼻先の「長さをどのくらい伸ばすか」も大事ですが、
「どの方向に伸ばすか」も同じかそれ以上に重要です。

伸ばす方向がわずか数度変わっただけでも見栄えの印象がものすごく変わりますので、
必ず鼻柱皮膚を仮縫合したところで患者さんに上体を起こしてもらい、
鏡で前方から見た状態、側方からみたプロフィールを実際に御自身に確認して頂いてから、
本縫いに入ります。

上記症例写真の患者さんも気にいった角度を見つけるために、
伸ばす方向つまり移植軟骨片のセッティングの変更を手術中に鏡を見ながら
何度も行っていただいています。

さらに当院のスタッフが様々な角度からデジカメで撮影し、
それらの写真を本人に見てもらうということも行っています。

これらの作業を行わない限り、オーダーメイドの手術とは決して呼べません。

そしてこれらは、
あくまで手術中に患者さんの意識状態がクリアであるから可能なことであり、
それゆえ当院では麻酔は出来るだけ局所麻酔のみを使用して行っています。

鼻に麻酔注射を打つ瞬間の痛みというデメリットは確かにありますが、
術中に仮縫い状態の鼻のラインやイメージを患者さん自身も確認することができるという
メリットの方がはるかに上回ります。

鼻の手術を全身麻酔や静脈麻酔で行うクリニックも多いようですが、
それだとこのような確認作業を全く行うことなく手術が終了します。

そのためギプスを外したら自分自身の求めるイメージと全然違う結果に
仕上がっていたというケースも当然発生しますので注意が必要です。

なお術後にクリニック側は言えば修正に応じるかと思いますが、
多くの場合、修正手術は有料となることが多いようです。



さて、鼻先を伸ばす手術の注意点として、鼻先を前方ないし下方に伸ばした場合、
どうしても鼻先の上の部分(supratipエリアと呼ばれる部位)が一緒に前方にふくらみ、
プロフィールが美しく仕上がらないことがあります。
(上図オレンジ矢印の先端部分)

これは、鼻尖修正手術においてもよく起こりうることで
「ポリービーク変形」の名でよく知られています。

この部分のラインは横から見て、ストレートもしくは女性の場合なら
supratip breakと言って若干へこんで凹のラインになっていても形としては全くOKです。
ここのラインをどのようなカーブにするかも実は調整可能なので、
患者さんにラインを見てもらいつつその場で相談しながら決めてゆきます。

しかし、逆に前方にポコンと出っぱって突出していると明らかに形として美しくありません。

この部分が出来るだけ前方に出ないように仕上げるのも
鼻先の手術の重要なコツの一つであり、当院のこだわりでもあります。

前から見て美しいだけでなく、斜め前や、真横から見ても美しい、
つまり全方向で美しい鼻に仕上げることが私の鼻オペの基本ポリシーです。
当院の鼻中隔延長法詳細はこちらです。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:鼻中隔延長術(オープンアプローチ) 
費用:330,000円(税込)
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:血腫、腫れ、感染、皮膚面の傷跡、皮膚面の凹凸、左右非対称性など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士