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わき汗手術の圧迫固定法

2016年05月23日(月) | カテゴリ: 刺青・傷跡修正など
当院では、わき汗手術(多汗症手術、腋臭症手術)を年間100件以上こなしています。
特にこれからのシーズン5月頃からいよいよ、暖かくなり汗をかく機会も多くなってくるため、
さらに問い合わせが増えてまいります。

わき汗の手術は、美容外科ならずとも
一般病院の形成外科でも行っている大変メジャーな治療であるため、
行っているクリニックは都内でも星の数ほど数多あるはずですが、
当院を受診された患者さんに、「何故当院を選ばれたのですか?」 という質問をすると

1.保険治療の手術が受けられる。
2.ネット上の書き込み(口コミサイト?)で良い評判が見られた。
3.一般病院の形成外科では入院が必要のため日帰り手術可能な当院を選んだ。
4.当院のわき汗手術に関するブログ記事を読んで詳しく書いてあった。
5.アポクリン腺除去直後の皮膚裏面の状態を写真で見せてもらえる。

などの回答を得られることが多いです。

1. については、多くの美容外科で自由診療として
20万円から40万円ほどのレンジで価格設定が組まれており、
患者さんにとって割高感が否めないということがあるかと思います。

保険を使えば、手術料のみなら両脇で35,000円くらいと自由診療の10分の1くらいの
価格で済んでしまうことがあり、自然と保険診療を行っているクリニックに
患者さんが集まる傾向があります。

2. については、患者さんからよく言われるのですが、
いったいどのサイトに当院のことが書かれているのか私は一度も見たことがありません。
患者さんにそれを聞くと必ず
「どこのサイトか分からない。病院を探しているうちにたまたま目にした。」とおっしゃいます。
「美容医療の口コミ広場」という最も有名な口コミサイトがありますが、
それですかと聞くとそうではないと言います。
今度もし知っている人がいたら是非教えて欲しいと思います。

3. は、一般病院特に大きな総合病院や市立病院、大学病院などの形成外科では
1週間などの入院が必要として、全身麻酔下に行っている所が多いため、
仕事や学校の都合上1週間連続で休みを取りづらいなどの事情があるということです。

日帰りで、日常生活にあまり制約がかからないということになれば
当然そのほうがよいという結論に達する患者さんが多いのもうなずけます。

5.については、
以前さる方からのアドバイスがあり始めたことなのですが、これがなかなかの評判です。
他院にて保険治療で多汗症(腋臭症)の手術治療を行ったけれども、
症状にほぼ変化がなかったという声を外来でよく聞きます。

私自身、30年以上この仕事を続けてきてそのように言われたことは1度たりともありませんが、
想像するにしっかりと念入りにアポクリン腺が取られていないのではないか?という疑問が
当然出てまいります。

当院では、アポクリン腺をほぼ完全に取り切ったということを確認するため
脇の下の皮膚を反転した状態で写真を撮影して、その場で画像を患者さんに見て頂いております。

いわば「証拠写真」を残す訳ですが、もしご希望があればその画像を印刷して
持って帰って頂くことも可能です。

 
上の左が除去前、右が除去後。

また、当院の脇汗手術のポイントとしては、圧迫固定法をテープ固定ではなく
縫合による圧迫固定で行っているという点が上げられます。

わき汗手術では、術後に剥がした皮膚に加える圧迫固定が重要です。

その目的は、

・剥がした皮膚の下に血液がたまる「血腫」のトラブルを予防する。
・皮膚を床の部分に密着させて皮膚の生着をうながす。

つまり、剥がされてアポクリン腺を除去された皮膚はペラペラの薄い状態であり、
脇の下に戻した状態というのは、いわば皮膚移植を行ったのと同じような状態です。

基本的に皮膚移植と同じく、手術後の圧迫固定がうまくいってないと
皮膚が壊死したり傷の治りが悪くなったりするというトラブルに見舞われます。

このトラブルが発生する確率が、ガーゼの束を糸による縫合で脇の下に固定する方法と
テープによる固定では、大きく異なり圧倒的にガーゼを糸の縫合で固定する方法のほうが
トラブルの発生率が低いと感じます。

また、テープ固定ではかなり粘着力の強いテープを皮膚面に広範囲にわたって
がっちり貼るため皮膚がかぶれ、水疱(水ぶくれ)を形成し、その跡(色素沈着)が
しばらく残ってしまったりすることも多いです。

下が、ガーゼ固定を縫合法で皮膚に縫い付けたところ。
※「タイオーバー固定法」と専門的には呼びます。


小包の包装のように見えますが、黒い糸は、皮膚に直接針で通しており
ガーゼの束を皮膚に強固に固定します。

保険治療を日帰りで行っているクリニックでは、
時間節約目的でテープ固定を行っているクリニックがほとんどですが、
当院は、術後のトラブルを最低限とするためあえて手間と時間のかかる縫合固定法で行っています。

また、クリニックの流儀によって、このガーゼを置く方向が横置き
つまり、剥離範囲に一致させるパターンと、
剥離範囲に直交するように縦に置くパターンがあります。

私は、このタイオーバー固定は腕をある程度開いた状態に保つことで
手術後に皮膚面にシワや波打ちが生じるのを防ぐという意味を持たせるために、
横置きに置くことにしています。

術後のトラブルを避け、スムーズに傷を治すことが出来るなら、
切開の傷跡も早い時期に目立たなくすることが出来ます。
逆に、治癒までに時間のかかった傷は術後目立たなくなるまでかなりの時間を要します。

それゆえ、圧迫固定の方法にもこだわりをもって
わざわざ手のかかる方法で行っているということです。
当院のわき汗治療の詳細はこちらです。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:わき汗手術(保険適用) 費用:50,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:血腫、皮膚壊死、皮膚の傷跡、再発など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士