
おとがい形成術は、輪郭整形(骨切り)による小顔整形の中でも最もご相談が多い施術です。「顎が大きい」「顎が引っ込んでいる」といった顎先に関する様々な骨格の悩みに対応可能なだけではなく、「小顔になりたい」「Vラインのフェイスラインになりたい」といった小顔整形・Vライン形成としても応用が可能な施術のため、ここ数年でご相談数が特に増えています。
しかし、この施術に関しては医師として多少懸念している点もあります。施術についてのご相談数が増えるのに比例して、「おとがい形成術で失敗してしまった」いう方からの他院修正の相談も増えているためです。ご相談に来られる方の年齢や性別、実際におとがい形成の施術を受けられた医院といった各種条件は皆さん全くバラバラなのですが、失敗された方は、比較的同じような症状(失敗)で悩んでいるケースが多いです。そこで今回は、おとがい形成で失敗された方に多い症状とその修正術(改善治療)について纏めてみたいと思います。
目次
おとがい形成とは
おとがい形成とは、顎先の骨(おとがい)の位置やサイズを変えることで顎先をほっそりとシャープに魅せることができる人気の小顔整形です。輪郭整形にはおとがい形成の他に、エラや頬骨にアプローチする施術もありますが、その中でもおとがい形成が最も人気の高い骨切り術である点には理由があります。エラや頬骨の骨切り術と違っておとがい形成は、この部分(顎先にあるごくごく小さな骨ではあるのですが)へのアプローチによって顎先に様々な変化を出すことができるという点が、人気の理由です。
おとがい形成術で
実現できること
- ①顎先の大きさを変える
- 大きい顎・長い顎を小さくする
- 小さい顎・短い顎をを大きくする
- 顎先を細くする・Vラインにする
(小顔・Vライン形成)
- ②顎先の位置を変える
- しゃくれ顎・出っ張った顎を引っ込める
- 引っ込んだ顎(顎がない)を前に出す
- 左右非対称の顎・曲がった顎を整える
おとがい形成で実現できること





「顎が生まれつき大きい」「しゃくれた顎を治したい」「顎先が右に曲がっている」といった【お悩み改善】にも対応できる上に、「顎先をシャープにする」「小顔にする」といった【小顔整形・Vライン形成】にも応用が利く点が、他の輪郭整形術にはない、おとがい形成ならではの特徴であると言えるでしょう。
おとがい形成後に多い失敗のご相談
「お悩み改善」×「小顔整形」を一度に実現することができると人気のおとがい形成ですが、この施術をされる方が増加しているのに比例して、当院ではおとがい形成をされた方からの「修正手術」のご相談件数が同様に増えています。特に小顔整形・Vライン形成を目的としておとがい形成をされた方からのご相談が多いです。(ほとんど、と言ってもいいかもしれません)
当院では以前から、様々な手術(二重整形・眼瞼下垂・鼻整形・脂肪吸引など)において修正の相談をいただく機会は多いのですが、「輪郭整形」の分野でいうと圧倒的におとがい形成の失敗に関するご相談を多く頂いています。そして多数の修正相談を受けているうちに、おとが形成で失敗される方における傾向というものがある程度分かってきたのですが、まずは、おとがい形成術を少しでも理解していただくために、一般的におとがい形成後に起きやすい失敗例について簡単にまとめたいと思います。

(太くなった顎先をシャープにする)
おとがい形成後に多い失敗例
- ①イメージと違った
- 「思っていたよりも細くなりすぎた」「イメージと違う顎先のラインになった」といった失敗例です。多くは、術前に行う医師との診察でしっかりとコンセンサス(意見の一致・合意)が取れなかったことが原因です。クリニックの中には医師ではなくスタッフ(カウンセラー)が、事前の相談や質問の大半を対応しているというところもあるようですが、手術を担当する医師に直接、「どんな仕上がりを希望するのか?」「どのくらい変えたいのか?」という点を具体的に伝えて理解してもらうことがポイントになります。
- ②変化がなかった
- 一つ目のイメージと違ったと重なる部分もありますが、思っていたほど顎先に変化がなかったという失敗の相談もしばしばあります。ただし「やりすぎてしまった」ケースよりも「変化がなかった」という方が修正手術をする立場からするとありがたく、変化が出ていないオトガイの骨に追加の操作を加えることで、患者様のイメージに近い顎先のラインに近づけることができます。(やりすぎている場合は骨が切られすぎ・削られすぎていることが多く、修正手術の難易度も格段に高くなります)
- ③左右差ができた
- AIが手術を担当するわけではないので術後に生じる左右差は絶対にないとは言えませんが、患者様が「左右差が許容できるレベルかどうか」という点が失敗か否かの分かれ道になるでしょう。これも医師の手技レベルや経験則による部分が多く、左右に同じような操作を加えることはもちろんですが、元々ある骨の左右差もうまく活かしながら手術を行うことが、失敗させないためのコツになります。
- ④顎先が太くなった・四角くなった
- これはおとがい形成によって小顔整形・Vライン形成をされた方から多いご相談です。顎先をシャープにするために手術を行ったのに、逆に術後のほうが顎先が太くなった・四角くなったというご相談です。最近は特にこのご相談が増えています。
- ⑤フェイスラインに段差ができた
- おとがい形成後に「フェイスラインがデコボコになった」「骨を触った際に段差がある」といった失敗例です。このケースは、医師のシミュレーション不足(術後へ対する予測の甘さ)や技術力不足(仕上がりイメージはできていたが、それを実現する力量がなかった)が主な要因です。人間の身体は骨も筋肉も皮膚も、いずれも周辺の組織と連続性を持った繋がりで構成されているため、そのような仕上がりを総合的にイメージできているかどうかという点がポイントになるでしょう。
- ⑥その他(たるみができた・傷跡が治らないなど)
- その他には、おとがい形成後に相談をいただく失敗例としては、「術後に顎先にたるみができた」「手術を受けてから半年以上経過しているものの傷跡が消えない」「顎先に痺れが残った(知覚過敏)」といったものがあります。症状によっては修正手術ができないこともあるため、上記以外の失敗については都度ご相談いただければと思います。
最も多いおとがい形成の失敗例とは?
おとがい形成の手術後によくある失敗例についてざっと記載しましたが、これらの中で最も多い失敗は、上記の「MIXバージョン(複合バージョン)」となります。「顎先が以前よりもなぜか四角くなってしまった上にフェイスラインに段差ができた」「思ったほど顎先に変化が出てないのに、今までにはなかった左右差ができた」「前よりも顎先が太くなった気がする。自分がイメージしていた小顔とは全然違う」などいくつかの失敗が重なった状態になってしまい、どう対応すればいいのかわからないと相談に来られる方が多くいらっしゃいます。このような結果になってしまう理由は様々ですが、考えられる原因としては以下などが挙げられます。

- ①医師とのコンセンサス不足
- 事前に仕上がりイメージを医師としっかりと共有できてなかった
- ②医師のシミュレーション不足
- 施術結果に対する医師の事前の予測が甘かった
- ③医師の技術的な問題
- イメージを実現できるだけの手技が不足していた
実のところ上の3点は、おとがい形成の手術に限った話ではありません。美容整形全般において、治療を成功に導くために大切なポイントとなります。
おとがい形成術が失敗してしまった原因
症状や施術結果などによって個人差はもちろんありますが、おとがい形成の手術が失敗してしまった際に考えられる原因には、以下の2つが大きく関係していると考えています。
- アプローチ範囲が狭い
上で述べたように、おとがい形成後に多い修正の相談には変化が小さい・小顔になってない・イメージと違う・顎先が太くなった・左右差や段差といったものが多いのですが、このような状態の方について実際にCT画像で骨の様子を見てみると、一度目の施術による骨切り・削りの範囲が狭く、骨切り・削りの量が変化を加えるほどの必要量に達していなかったというケースがしばしば見受けられます。
これは、おとがい骨という顎先のごくわずかな部分にのみアプローチした手術で終わってしまったため、仕上がりの変化が限定的もしくはごくわずかとなり、患者様のイメージ通りの仕上がりにならなかったということが考えられます。このような原因によって起きる失敗は「変化が小さい」「イメージと違う」といったものが挙げられます。
また、おとがい形成単独で小顔整形をされた方については、操作を加える部位が顎先だけにとどまってしまったことで、顎先からエラのほうへと繋がる輪郭(下顎下縁)のラインに不具合や段差が生じてしまうことが多いです。顎先だけシャープにしたことで、相対的に輪郭(下顎下縁)が出っ張ってしまい「小顔整形をしたはずなのに、逆に輪郭が角ばってしまった」「フェイスラインが以前よりも太くなった気がする」といった失敗のご相談へとつながります。
- 医師の技術不足
- もうひとつ要因としては医師の技術力不足があります。事前のシミュレーション段階では患者様がおっしゃるような仕上がりをイメージできていたものの、実際にその仕上がりに近い形で仕上げることができなかった、というケースです。
おとがい形成術で失敗した際の対応

当院が行っているおとがい形成による失敗の対応方法はいたってシンプルで「おとがい形成とあわせて下顎下縁形成を同時に行う」という再手術を行うということが多いです。もちろん術後の状態によっては修正術も初回と同じように「おとがい形成のみ」でしっかり改善できることもありますが、「変化が小さかった」「イメージと違った」「段差や左右差ができた」という失敗の相談については、手術時のアプローチ範囲が狭かったことが要因のことが多く、修正手術では、フェイスライン(=下顎下縁)のボリュームも減らすことができる下顎下縁の施術を同時に行うことで、よりしっかと変化を出しつつ、左右差や段差がない状態に仕上げる、という手術工程になります。
下顎下縁形成術はあまりメジャーではない輪郭整形術かもしれませんが、当院ではこの部分(下顎下縁=フェイスライン)へ変化を出す施術を行うことが比較的多く、結果として患者様の満足度にもつながっています。
おとがい形成の
修正手術の症例写真
実際に当院にて、オトガイ形成の修正手術を行った方の症例写真をご覧いただくのが一番わかりやすいかもしれません。以下の症例は、「小顔になりたくておとがい形成を受けたところ、術前よりも顎先が太くて角ばったような状態になってしまった。さらに以前よりも顔が大きく見える」とのことで、他院修正の相談に来られた男性です。
おとがい形成の他院修正手術

こちらの男性も同様で、おとがい形成と頬骨整形を他院にて受けたところ、以前よりも顎先がどっしりと大きく見えるようになったためご相談に来られました。修正手術では、おとがい形成とあわせて下顎下縁形成術を併用しています。写真だと輪郭と首の境目が少しわかりにくいので、CT画像をご覧いただくほうが骨の変化が分かりやすいかもしれません、顎先から輪郭(下顎下縁)にかけてのラインが術前と比較するとかなりシャープになり、また輪郭の一部(下顎下縁とおとがい骨の境目)にあった角ばった部分もなくなっているのがお分かりいただけるのではないでしょうか。このように、おとがい形成とあわせて下顎下縁(輪郭を形成している骨)にもアプローチをすることで、患者様がイメージしている小顔やVラインのシャープな輪郭に近づけられることが多いです。
おとがい形成
+頬骨整形の他院修正手術

当院におけるおとがい形成の治療方針

おとがい形成の施術には、大きく分けて以下2つの目的がありますが、
- お悩み改善
(左右差・顎の位置・大きさなど) - 小顔整形として
(顎先を細く・Vライン形成)
このうち特に「小顔整形」を目的としておとがい形成を希望されてご来院された方については、事前の診察におけるすり合わせやシミュレーションが、手術成功の可否を握る重要なファクターであると考えています。
もちろん、お悩み改善を目的としたおとがい形成においても事前のコンセンサス(合意)は大事な要素になりますが、小顔整形を目的とする場合、フェイスラインのどの部分にまでどの程度アプローチをすれば希望の仕上がりに近づけられるかという点はかなり個人差が大きいため、一人ひとりの骨格に応じて手術法や手術計画を見極める必要があります。
そのため患者様から、「小顔になりたいので、おとがい形成をしたい」というご相談をいただいていたとしても、診察やCT検査結果などを元に総合的に骨格の様子を判断し、状況に応じて「おとがい形成+下顎下縁形成術」や「おとがい形成+下顎下縁術+エラ整形」、「おとがい形成+エラ整形」などの複合手術の提案を行っています。
もしこの時に、「ダウンタイムや予算の関係もあるので、おとがい形成だけでお願いしたい」というご回答があった際には、当院では施術を行わないこともしばしばあります。それは患者様が希望する手術だけではイメージ通りの仕上がりにならない可能性が高いからであり、決して価格を吊り上げようとしているわけではありません。(そもそも当院の施術料金は、他院と比較し多彩にかなりリーズナブルに設定しています)
小顔整形やVライン形成において「どの骨にまでアプローチをするか」という点は、施術の成功・失敗の分かれ道となる大変重要なポイントであるとご理解いただければ嬉しいです。
※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はコラム投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。