
昨今大人気の人中短縮ですが、ここ最近はその中でも「切らない人中短縮」「傷がつかない人中短縮」へのご指名が大変増えています。当院でも「傷ができない人中短縮(口腔内切開)」を希望される方が多いのですが、その理由を伺うと「皮膚切開だと鼻の下に目立つ傷跡ができるから」と仰られることがしばしばあります。
どうやらSNSで発信された特定の情報などによって、残念なことに【皮膚切開による人中短縮術は「傷が目立つ」】というイメージが定着してしまっていることが原因のようです。
今回のコラムでは、形成外科医・美容外科医の立場から「皮膚切開法であっても傷跡はほぼ目立たない」という点をお伝えしたく、最後までお付き合いいただければ幸いです。
目次
人中短縮術とは

人中短縮術とは、鼻下(人中)の長さを短くすることで、面長顔の改善・老け顔の改善・リップリフトなど様々な効果を得ることができる施術です。メリットがかなり多いので、以下に箇条書きでまとめます。一つの施術でこれだけ広範囲に渡る効果が得られる施術は、他にはあまりないかもしれません。
人中短縮術で期待できる効果
- ①小顔効果
- 間延びした鼻下を短くする
- 中顔面を短くして小顔にする
- ②顔全体の印象を変える
- 鼻下が長いことによる老け顔を若々しくする
- 面長で間延びした顔にメリハリを出す
- 顔のパーツを中心に寄せてキュートさを出す
- 小動物のような愛らしさを出す
- ③リップ形成
- リップリフト
(上唇のボリュームアップ) - Cカールリップ形成
(上唇をツンと上向きにする)
- リップリフト
皮膚切開による人中短縮のメリットについて

人中短縮術には手術をはじめ、マシン治療(フォトナレーザー・ハイフなど)やボトックス、ヒアルロン酸、糸リフトなど様々な方法がありますが、その中でも「切る人中短縮術(皮膚切開法)」は、メリットがかなり多い治療法です。
とはいっても、皮膚を切る手術ゆえ他の施術法よりもダウンタイムなども多少長くなるため、患者様の中には「手術は避けたい」「ダウンタイムは避けたい」などのご希望もありますでしょうが、効果や持続性といった一般的に指標となる部分でいうと大変お勧めできる術法だと考えています。
- 鼻下を最大7㎜程度短縮することが可能
- 人中短縮術はどの術式であっても上に記載したような効果を得ることができますが、皮膚切開による手術は最も鼻下を短くすることができるというメリットがあります。
人中短縮術には手術以外にレーザーや糸リフト、ボトックス・ヒアルロン酸などがありますが、いずれも施術による変化はごくわずかであり、ご本人であれば気づく程度になることが多いです。対して手術による人中短縮術は、皮膚切開であれば最大7㎜程度は短縮することができるため、「間延びした鼻下をしっかり引き締めたい」という際には、やはり皮膚切開による術式が有効です。
なお、手術には皮膚切開法の他に口腔内切開による方法もありますが、この方法の場合、口の中からアプローチする施術となるため術野(=手術を行う際に医師が確認できる範囲)がどうしても狭くなってしまうため、皮膚切開法よりも人中短縮効果はどうしても劣ってしまいます。個人差はありますが、短縮できる長さは皮膚切開なら最大7㎜程度、粘膜切開であれば最大5㎜程度となることが多いです。 - 細かなカスタマイズ・微調整が可能
2つ目のメリットとして、手術による人中短縮術は「医師の手技」によるものため、仕上がりについて微調整が効くという点が挙げられます。
レーザーや糸リフト、注入術でもある程度のデザインは可能ですが、数ミリ単位でラインや高さを調整するとなると、やはり人間の手による治療法でしか実現することができません。手術であれば、
「鼻下の長さは〇㎜程度にしたい」
「もう少し上唇を上方向に尖らせたい」
「人中短縮と一緒に口角挙上も行いたい」(←こちらは別料金となります)
といった、患者様一人ひとりのご希望にあわせて細かく調整が効く点もメリットです。- 術中に仕上がりをチェックできる(失敗回避)
- さらに当院では、手術中(閉創前)に患者様ご本人に仕上がりをチェックしていただく時間を取っており、もし事前にイメージしていたものと異なっているようであれば、その場で私が即興で追加の手技を加えてイメージ通りの仕上がりになるように調整を行っています。…というと、「手術中は麻酔で腫れているから仕上がりの状態とは全然違うのでは?」と思われた方もおられるかもしれませんが、手術で腫れがひどくなるのは使用する麻酔量や手技のスピード、手術時間が大きく関係しているため、短時間で精確に手術を行えば腫れはほとんど生じません。そのため当院の場合は、ほぼ仕上がりと同じ状態を術中であっても確認いただくことが可能です。
術中の仕上がりチェックは患者様ファーストであり術後の失敗・やり直しを最大限回避する意味でも大変重要な行程だと思っているのですが、なかなか他院で導入が進まないのには、この辺りも関係しているのかもしれません。※術後の仕上がりチェックは皮膚切開法の他、口腔内切開法でも行っています。 - 一度の施術で半永久的に効果が続く
- 最後にお伝えしたいメリットは、一度施術を行えばその効果が半永久的に続く、という点です。レーザーや注入・糸による施術の場合、その効果は1年程度で次第になくなっていきますが、手術であればほぼ一生に渡って変化を維持することができるため、術後に生じるダウンタイムや傷跡が許容できるのであれば、費用対効果がもっともよい治療法だと言えるでしょう。
人中短縮術(皮膚切開)の傷跡は本当に目立つのか?

これほどにメリットが豊富な皮膚切開による人中短縮術なのですが、患者様がこの術式に抵抗を感じられる最大の理由は「傷跡が残る」という点です。
傷跡以外のダウンタイム(腫れ・赤み・内出血など)は皮膚切開・口腔内切開いずれの手法でもそれほど大きくは変わりませんが、最も違いが出るのが「傷跡」で、口腔内切開であれば一切傷跡ができません。この点がネックとなり、皮膚切開法を避けられる方が多いようです。
ただ、実際のところは皮膚切開法であってもそれほど目立つ傷跡ができることはほぼないのですが(当院で皮膚切開で施術を行った方から傷跡に関する苦情やクレームをいただいことはもちろん今までに一度もありません)、どうしてそんなに傷跡が目立つと思われているのだろう??と気になりよくよく患者様の話を伺ってみると、どうもSNSで拡散されている一部の情報によって
皮膚切開法は、鼻下に横一直線のかなり目立つ傷跡ができる
というイメージが定着してしまっているのが原因のようです。
皮膚切開法による人中短縮術はメリットがたくさんあり、個人的にもぜひ多くの方にお勧めしたい術式ですので、実際に皮膚切開による人中短縮術で生じる傷跡について以下にまとめたいと思います。※なお記載内容はあくまで当院で実施している術式の場合となります。また各数値はあくまで全体平均ですので、実際には個人差があります。
人中短縮術(皮膚切開)でできる傷跡について
- 傷跡はどこにできる?
- ネットの拡散画像では鼻下から離れた部分に横一直線に赤み(傷跡)ができているものなどもありますが、当院ではあのような状態になることはほぼ皆無です(100%といっても過言ではないです)。鼻下ギリギリの部分(鼻翼基部~鼻孔底隆起~鼻柱基部)に沿って切開・縫合を行うことで、傷跡は鼻翼の付け根から鼻の穴ギリギリの部分に生じます。この時、傷跡を鼻下のライン(溝によって影が生じる部分)にキレイに合わせることで、術直後でもそれほど赤みなどが目立たない状態にすることができます。また切除する際には真一文字にまっすぐに切開すれば傷跡も一直線の目立つものになりますので、鼻下のカーブに沿うようにM字型に切開すれば、より自然な状態になり傷跡が目立ちません。
- 傷跡の長さは何センチ?
- 左右の鼻翼の間(鼻翼基部~鼻孔底隆起~鼻柱基部)を切開するため、直線にすると5センチくらいになることが多いです。(実際は上で述べた通り、一直線にカットするわけではなく鼻下のカーブにあわせて自然なラインで切除します)
- 傷跡はどのくらい残る?
- 施術後2~3日程度は腫れや赤みがピークとなるため、この時はさすがに切開部分が目立つ状態になります。その後、腫れ・赤みは1週間弱で落ち着き(当院の場合はもう少し早いことも多いです)、傷跡については2週間ほどで次第に赤みのあるものから白っぽい線に変化していきます。施術部位へのメイクは抜糸後(1週間後)から可能ですので、1週間経過すればファンデーションなどで隠すことも可能です。
- 傷跡はどのくらい目立つ?
- 実際の傷跡については、当院で施術を行った方の症例をご覧頂ければと思います。目立つ・目立たないの判断は個人の主観もあるので一概には言えませんが、鼻下ギリギリに自然なカーブを描く形で切開すれば、傷跡はほぼ生じないということがお分かりいただけると嬉しいです。
人中短縮後の傷跡①
/筋肉・ASN処理あり


人中短縮後の傷跡②
/皮膚切開のみ

※当院の場合、人中短縮に限らず鼻中隔延長や鼻尖形成などの鼻整形(オープン法)においても、術後の傷跡はこの程度となることがほとんどです。鼻整形も皮膚切開(オープン法)だと術後の傷跡が目立ちそうと心配をされている方もいらっしゃるようですが、人中短縮術同様にそれほど目立つことはありません。
人中短縮術(皮膚切開)で傷跡を作らない方法

切る人中短縮術(皮膚切開)によって傷跡が目立ってしまうのは、結局のところ医師の腕次第というところが大きいように感じています。SNSで拡散されているような横一直線の目立つ傷跡ができてしまうのはごく一部であり、精確且つスピーディに手術を行えばそれほど目立つ傷跡ができることはありません。
そのため可能な限り目立つ傷跡ができてしまうリスク・失敗を避ける方法としては、クリニック選び・医師選びが大事なファクターになります。施術を受ける前に、執刀医が実際に担当した施術の症例写真を確認するなどで失敗のリスクをできるだけ避けることがポイントになるでしょう。
クリニックによって術法などに違いがあるため一概には言えませんが、当院においては、人中短縮術(皮膚切開)によって目立つ傷跡が生じるということはほぼ100%ありません。その理由は上でお伝えした通り、切開ラインや切除方法にひと手間加えることで、術直後であってもそれほど目立たない状態にすることが可能です。
数ある人中短縮術の中でも、皮膚切開法は半永久的に最大限の効果を得ることができる術式です。SNSやネットの情報を見て「皮膚切開法だと傷跡がひどいのでは?」と気にされて施術を躊躇していた方がおられましたら、今回のコラムで正しい情報が少しでも伝わってくださればと思います。
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※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はコラム投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。