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2018.12.03

その他の美容皮膚科

青あざ(先天性太田母斑)の治療例

今週は青あざ、つまり先天性太田母斑の治療例を見てみます。

以前に書いた青あざの治療例では、
特殊かつ非定型的と言える青あざの治療例を紹介しましたが、
今回はいわゆる典型的な顔面の青あざの症例です。


上は38歳の女性です。
生まれつき右の下瞼から目尻と右頬全体に青い(青褐色)のあざを認め、
いまだ未治療とのことでした。

太田母斑は、顔面の知覚神経である三叉神経の第1枝と第2枝の支配領域に発生するあざです。
色味は、多くは濃い青か淡い青ですが、色素が濃い場合には黒っぽく見えることもあります。
また、灰色から茶褐色の場合もあり、青あざと言いつつも実は青い色ではない場合も結構あります。

先天性の太田母斑の場合、多くは片側性ですが、遅発性のものでは両側に生じることが多いです。
日本では人口の0.1から0.2%の発生率とされ、白人には希で主にアジア人に見られます。
ほっておいても自然に消えることはありませんので、治療はレーザー照射により消すことが
唯一の治療ということになります。
昔はドライアイスなどを当てていた時代もありましたが、決して芳しい結果ではありませんでした。

顔面に生ずるあざとしては、茶色、黒など他の種類のあざとは異なりレーザーによる
確実な除去が可能なため女性・男性に限らず取ってしまうことが整容的な意味で望ましいと言えます。

ですから青あざ(太田母斑)でお悩みの方は、是非治療をお勧めしたいと思うのですが、
一方デメリットとして、

1.かなり強い出力でレーザーを当てるので、痛みがそれなりに強い。
2.カサブタや場合によっては水ぶくれなどが生じ落ち着くまで、10日から2週間など要する。
3.1回の照射で取りきることがまず難しいので、最低3回以上の照射は必要。

などが挙げられます。

1は、麻酔クリームも使いますがそれだけでは不十分なため注射の局所麻酔も併用することが多いです。
しかしながら上の写真の方のように広い範囲ですと注射で刺す回数もどうしても多くなるため
それはそれで若干の痛みをともないます。

2については、こちらもやはり強い出力で打つことで起こる副作用ですが、
1回目の照射が最も濃い状態のあざに反応するため一番激しい反応が出て、
それ以降は色素が薄くなるに従って水ぶくれなどが生じづらくなってくることが多いです。
しかし、色味が薄くなってくるとレーザーに対する反応が鈍くなってくるため、
再び出力を上げざるを得ないこともあり、その時はやはり強い皮膚の反応が生ずる可能性もあります。

3については、1回の照射終了後、次回の照射までは皮膚を休ませるため
最低3ヶ月から6ヶ月は間をあけなくてはならないので、治療回数を3回から5回ほどで
見積もった場合は数年単位の治療期間を見なくてはなりませんので長期戦にはなります。

そしてちなみにですが、上の写真の方の場合は
先天性でかつ色味がハッキリしているので保険適用で治療を開始していますが、
先天性太田母斑の類縁病変である遅発性太田母斑もしくは後天性真皮メラノーサイトーシス
(ADM)については、色味のかなり濃いもののみを保険適用で治療しています。

実際全てのADMについて保険治療を行っている訳ではありません。
当院で、ADMの保険治療を行っているということで多数の問い合わせを頂きますが、
あまりに色味が薄く、通常のシミと見分けることが困難なレベルのものについては、
自由診療での治療となりますのでこの点をご了承頂ければと思います。
(保険を使った場合は、5回照射まで保険治療が可能です。)






さて上に治療結果を示しますが、上から施術前と施術後の状態を示します。
下が3ヶ月ごとのインターバルで4回のレーザー治療が終了したところです。

このあざの治療には、
今回はQスイッチ・ルビーレーザー(JMEC社, The Ruby Z-1)を使用していますが、
当院には、この他Qスイッチ・アレキサンドライト(Cynosure社、アコレード)、
Qスイッチ・ヤグ(Cynosure社、レブライト)もあり、いずれのレーザーも太田母斑に有効です。

しかし、ヤグで取ろうとすると施術後の出血がかなり目立つので
アレキサンドライトかルビーを使うことが実際は多いです。

術前の状態では、かなり化粧を厚めにしてもあざを完全に隠せなかったとのことですが、
現段階ではファンデーションを塗ればほぼ分からない状態まできたということで
患者さんの満足度は高いです。

現在はネットなどで、病気の治療法の情報など比較的容易く入手可能なはずなのですが、
意外に青あざ(大田母斑)がレーザーでここまできれいに取れることを知らない方が
まだまだたくさんいらっしゃるようなので、私たちも様々な手段を使ってレーザー治療の有効性を
啓蒙してゆく必要があろうかと思います。
当院の青あざ治療の詳細はこちらです。


本ブログの症例に関する情報

治療名:Qスイッチルビー・レーザーによる青あざ(太田母斑)除去 
費用:1回9,070円(保険適用の場合)
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫熱傷、カサブタ、水ぶくれ、炎症後色素沈着、白抜けなど
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はブログ投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。

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院長・監修者情報

みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士 医師紹介はこちら

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