この手技を行うに当たって気をつけている点がいくつかあります。
まず、軟骨の操作を皮膚面の形状として反映させるために当院ではオープン法を原則として行っています。
クローズド法で軟骨の操作により鼻先に変化を出すには
皮弁の変形キャパシティにかなりの制約が加わるため、充分な効果が得られないということがあります。
また、単純に操作がやりづらいということも挙げられます。
そして、もう一点。
よくあるリクエストとして、鼻先を下げて、
かつ同時に前方にも出して欲しいというご要望を頂きますが、
これはどちらか一つを選んだほうが無難です。
つまり、下げるだけか、前方に出すだけにするか、どちらか一方に的を絞る方がよいです。
どちらもとなると、結局どちらも中途半端になる可能性があります。
上で既に述べたように、鼻先の皮膚(皮弁)の変形キャパシティには限界があり、
特に皮膚の硬く、厚い人では軟骨の操作が表に反映されてきません。
もし、前方に出す方向で軟骨の形状を形成すると、その方向に皮膚(皮弁)が引っ張られるため
もはや下方向に皮膚が伸びるキャパシティが著しく低下します。
逆に、下に下げるように軟骨に操作を加えた場合、その方向に皮膚(皮弁)が引っ張られるため
前方向には出づらくなります。
ですから、ある程度目に見えた変化を期待されるなら
常に「皮膚の変形能」には上限があるということを念頭に置かなくてはなりません。
但し、斜め前方に出すというチョイスはありかとは思います。
これもやり過ぎると鼻先が横から見た時に絶壁のようになって美しくありません。
よくネット上のビフォーアフター写真で、術前より極端に鼻先が高くなりつつ、
同時に下方向に鼻先が向かっている写真を目にしますが、明らかにCG加工されたものです。
そういったものを症例写真として掲載しているクリニックもあるので注意が必要です。
日本人の鼻の皮膚の厚さ・硬さを考えた場合にあり得ないような術後写真を見かけ、
思わず吹き出して笑ってしまうことがありますが、美容外科医以外に見破られることはないでしょう。
白人種のように、鼻翼軟骨がしっかりとしてかつ皮膚が薄く柔らかければ話は全く違ってきますが。
ちなみに、鼻先ではなく鼻根、鼻背ならばプロテーゼないしレディエッセによりかなり高くして
彫りの深い顔立ちにすることはかなり容易です。
対して鼻先の形を変えるには、これとは全く異なるレベルの技術が必要とされます。
皮弁の変形能の上限を考慮しつつ最大限の変化が出るような工夫が必要になってきます。
さて、実際の症例を見て見ます。
下は、当初鼻先を下に下げつつ前に出したいと希望されて当院を受診された21歳の女性です。
両方いっぺんは、中途半端になる可能性があるため、前方向のみに出すこととなりました。
そして、下が1週間後の抜糸時の状態です。
控え目な変化ですが、「皮膚の変形能」という点を頭におけば、
この鼻先についてはこのレベルが限界です。
鼻先の低い人は、元々鼻先の皮膚と皮下組織の量が少ない分けですから
このくらいの変化が上限となります。
実は、無理をすればこれ以上鼻先を前方に出すことは出来ることは出来るのですが、
そうすると今度は、鼻柱部の皮膚が上方(頭側)に引っ張られ前方から見たときの
全体のバランスが確実に崩れます。
何事もほどほどでやめるのが、美容外科全般に言えるコツです。
よく美容外科の英語の教科書に
「Less is often better」 「Less is often more」 などと書いてあります。
日本語で言うところの「過ぎたるは及ばざるが如し」のようなニュアンスです。
当院の鼻中隔延長法の詳細はこちらです。
本ブログの症例に関する情報
治療名:鼻中隔延長 費用:220,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:血腫、皮膚壊死、皮膚の傷跡、鼻先の曲がり、左右差など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ
※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はブログ投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。