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厚い唇を薄くする口唇縮小術

2018年01月08日(月) | カテゴリ: 口元・唇・耳など
厚い唇を薄くする手術を、「口唇縮小術」とか「リップス縮小術」と言います。

唇の皮膚を切除して縫うだけの一見単純な手技なのですが、これがなかなか奥が深い。

あるレベル以上の医療機関で修業を積んだ美容外科医でないと
しっかりとした結果がでなかったり、術後思わぬトラブルにみまわれることが多い手技です。

形成外科ではない他科出身の先生がこの手術を1回見て、
見よう見まねで真似をして行ってもおそらくはうまく行かないのではないでしょうか。

そもそも唇の皮膚は非常に伸展性に富むため、皮膚を切って縫合するだけでは
思ったほど唇の幅を狭くして薄い唇を作ることは出来ません。

これは縫合した時に皮膚同士の引っ張りあいになるため、切られた分の皮膚を補うように
残っている皮膚が伸びてしまい、あまり元の施術前と変わらなかったという結果に終わることがよくあります。

そこで私が口唇縮小術を行う上で心がけているのは、皮膚に加えて皮下組織をしっかり切除して
唇の体積自体を減らすと言う点です。

2次元的(平面的)に皮膚の上っつらだけを切除しても、
前述のような理由であまり変化が見られないのですが、唇を3次元的な深さを考慮して切除し、
ボリュームダウンを意識してやると目に見えて唇を薄くすることが始めて可能となります。

また、他院で口唇縮小術を行ったというケースでよく見かける「これは?!」と思う結果に、
Wet lipとDry lipの境目、つまり奥の粘膜の赤い部分と表側の乾燥したピンク色の部分の境界ラインが
前から見てあからさまに見えてしまっており、異様に不自然であることを患者さんが気にされて
相談に来られることがあります。

確かに美容外科では、 若手に教える時にWet lipとDry lipの境界線に縫合線が仕上がるように
切除すると教えることが多いのです。
そしてこの理屈から言えば、濡れて見える湿った粘膜側と乾燥した皮膚側を前後均等半分ずつ
切除することになります。

しかし、縫合線つまりWetとDryの境界ラインが表から見えるとかなり不自然なため、
私の場合、元の境界ラインよりも向こう側の、奥側をメインに切除しています。

つまりDry lip側を口の奥つまり粘膜側方向に引き込むように仕上げることを心がけています。
その他、口唇縮小術における他院トラブルとして

1. のう胞形成
2. 口角部近くで皮膚が余ってDog earと言われる皮膚の突出が見られる。

などのケースも見てきました。

「1.のう胞形成」は、切除時に見えてくる口唇腺の目立つものを出来るだけ切除することで
かなり予防することができます。

しかし注意してこれを行っていても、希に術後嚢胞を生じることがあり、
その場合は初回の傷が落ち着いたころに切除し直しとなることはあります。

「2.皮膚の突出」は、縫合がうまく合わない所は無理に最後まで縫い込まず、そのまま開放創として
治癒させるなどすれば縫合創の端などで目立った凹凸を皮膚面に残すことはまずないです。

口唇は傷の治りのかなり良い場所のため、多少縫い込まない箇所に生傷が生じたとしても
引きつれたり、陥没したりすることはまずあり得ません。


さて、実際に口唇縮小術の症例を見てみましょう。

下は上唇に対して、下唇がかなり厚く
バランスが悪いことを気にされて当院に来られた23才の男性です。

上唇と下唇の厚さの比率で言えば、1:1.5くらいの差はあります。

下唇のみを切除して、上唇の幅に近づけバランスを整えます。

149301
Dry lipの奥方向への引き込みを意識して切除ラインをデザインし、
かつ皮下にある程度厚い組織を付けて切除して下唇のボリュームダウンを図ります。


149302 上は術後3週目の状態です。

通常この手術を行うと術直後より唇はかなり腫れ、1ヶ月くらいは腫れが落ち着くのにかかるため、
まだもう少しは縮むかもしれません。
しかし、この時点でほぼ上唇と縦幅の比が1:1くらいにまでなっています。

この上唇と下唇の最適な比率については諸説あり、
教科書によっても書いてあることが違ってたりしますが、私は1:1くらいをベースラインとしており、
術中に患者さんに起き上がって鏡を持って見てもらい、患者さんに決めてもらっています。

ただ、手術中に既に腫れは始まっているため、
実際の縫い上がりよりは幅がせまくなることを憶えておいてほしいと思います。

この手術では、皮膚を切除しすぎて唇が思っていたよりも薄くなってしまうと元に戻すことが
少し難しくなってくるため、切除幅はつとめて控え目にすることも重要です。

もし、初回の施術を行って腫れが引いた時に思ったほど厚さが薄くなっていないとなれば、
2回目の手術で修正することでより薄くするとしたほうが無難です。

口唇縮小術は、切除が平面ではなく立体的に行われ、かつ皮膚の伸展性や、麻酔注射、
出血による腫れ方といった様々な要因がからみあっているため、
術中の縮小効果をミリ単位で正確に評価掌握することが難しい手術法です。

そのため定規で測って計測した通りに安直に結果が得られないのがこの手術の難しいところでもあり、
逆に美容外科医の腕と経験が試される手技でもあります。
当院の口唇縮小術の詳細はこちらです。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:口唇縮小術  費用:110,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、皮膚の傷跡、後戻り、左右差など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士