
当院は人中短縮術の手術件数が比較的多いほうですが、特に「傷跡ができない」ということから口腔内切開(粘膜切開)による人中短縮術が人気です。口の中を切開して行う手術のため術後に皮膚側には一切傷跡が残らない点がメリットですが、皮膚切開によるアプローチと比較すると、人中短縮効果は若干落ちるというデメリットもあります。
そこでおすすめなのが、皮膚切開による人中短縮術に傷跡ボトックスを併用した施術です。
皮膚切開法による人中短縮術のダウンタイムは、痛み・腫れは2,3日目がピークでその後は1~2週間でほぼ落ち着き、内出血は2,3週間で改善されることがほとんどです。気にされる方が多い傷跡については、当院では鼻孔底隆起(鼻下の溝のような部分)に切開線を這わせるように丁寧にデザイン・切開をしているため傷跡が悪目立ちするようなことは基本的にないのですが、SNSなどで拡散されている人中短縮術で失敗してしまった方の傷跡(鼻下の目立つ部分に横一直線にできてしまった赤みや引きつれなどが強い傷跡など)を見て、「皮膚切開法は少し抵抗がある」と仰る方も中にはおられるわけですが、このような方にもお勧めなのが、傷跡ボトックスの併用です。
傷跡ボトックスは、ボトックスを人中付近(白唇部分)に散らすように注射をすることで、上唇の動きを一時的に弱めて傷跡ができるのを事前に防ぐことができる施術です。この施術は私がオリジナルで考えたものではなく、もともと形成外科の分野などでは手術後の傷跡を目立たなくする方法として以前から行われているもので、手術後に皮膚切開を行った部位周辺の皮膚や筋肉にボトックスを注射することで創部にかかる張力(=術後に生じる皮膚のつっぱり)を抑えたり、自然治癒力によって産生されるコラーゲンが増えすぎないように抑制することで傷跡の盛り上がりや広がり、赤みなどを事前に防ぐことができます。傷跡ボトックスの効果についてはまとめると以下のようなものが挙げられますが、この施術は手術直後に創部に注射をするのみの追加治療となるため、時間にして数分程度で終了する、かなり手軽な部類のオプション治療となります。
・傷跡の盛り上がり・広がり
・傷跡の赤み
・傷跡付近に生じる皮膚のつっぱり感
・術後に生じうる炎症
そこで今回は、皮膚切開法による人中短縮×口角挙上術を「傷跡ボトックス併用」で行った方の症例をご紹介したいと思います。

年齢と共に人中(鼻下の皮膚)が長くなってきたのが気になるという53歳の女性です。
人中短縮術というと若い方が小顔や童顔効果などを狙って施術を行っているのでは?とお考えの方が多いと思うのですが、人中が長くなるのは老化現象の一つ(=たるみ)ですので、当院では20,30代の若い方だけではなく、今回の方のように40代以上の方からも多くご相談を頂いております。今回の方については、人中を短くしたいものの、鼻下だけを短くすると上唇の中央付近だけが引き上がって口角が下がる いわゆる「富士山型」になるのは避けたいとのことで、口角挙上も一緒に行いたいというリクエストでご相談に来られました。
当院で行っている皮膚切開による人中短縮術の場合、口輪筋処理によって唇の両外側もある程度は引き上げることができるので中央部分だけが過度に持ち上がってしまったという症例は過去にもないのですが、今回はご本人の希望ということもあり口角挙上も併用することとしました。
ちなみに少しだけ話が脱線しますが、「人中短縮術単独」でできるだけ口角挙上・スマイルリップ効果も狙いたい際には、皮膚切開よりも粘膜切開によるアプローチが有利です。そのため当院では、皮膚切開法によって富士山型の唇になってしまった方の他院修正として、改めて「粘膜切開」からの手術を行うことで富士山型になってしまった上唇を元に戻すという再手術をよく行っております。
…長くなりましたが、早速術前後の変化を見てみましょう。人中短縮・口角挙上とも皮膚切開によるアプローチで施術を行っています。

術後は3か月目の様子です。手術直後に上唇にボトックス5単位を注射して上唇の動きに制限を加えています。手術では鼻下(人中)と口角の皮膚をメスで3cmほど切開しておりますが、ほぼ傷跡が目立たない状態になっているのではないかと思います。
もともと当院で行っている皮膚切開法であればどちらの施術でも傷跡が悪目立ちすることはほぼないのですが、さらに傷跡ボトックスを併用することで、よりよい結果を得ることが可能です。
・人中短縮・口角挙上効果はしっかりと効果が欲しい(皮膚切開が有利)
・だけど傷跡ができるだけ残したくない(粘膜切開が有利)
という方については傷跡ボトックスの併用をご検討いただくのもよいでしょう。
>人中短縮術(皮膚切開)の詳細はこちら
>口角挙上術の詳細はこちら
本ブログの症例に関する情報
治療名:①人中短縮(皮膚切開) ②口角挙上術(皮膚切開) 費用:① 220,000円 ② 220,000円 リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、左右差、傷跡、肥厚性瘢痕、ケロイド、知覚鈍麻など 施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ
※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はブログ投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。
Doctor
院長・監修者情報
みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長
札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本形成外科学会認定 形成外科専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士 医師紹介はこちら
