日常診療でどんなタイプのしみの患者様が多いかと申しますと、
・肝斑(かんぱん)
・日光性色素斑
・そばかす(雀卵斑)
・脂漏性角化腫
・ADM(遅発性太田母斑)
・炎症後色素沈着(PIH)
この6つが頻度としてはトップ6です。
しみ治療に対して当院で可能な治療手段としては
・レーザートーニング
・Qスイッチレーザー
・フォトセラピー(光治療/IPL)
・電気分解除去
・トレチノイン治療
・しみ用内服薬(シナール、ユベラ、トランサミン)
・イオン導入
などがあります。
ただ、上記の治療が全ての症状に効果があるわけではありませんので、
それぞれのしみにあった治療を行う必要があります。
・肝斑 :トーニング、しみ用内服、イオン導入
・日光性色素斑、そばかす(雀卵斑) :Qスイッチレーザー、トレチノイン治療
・脂漏性角化腫 :電気分解、トレチノイン治療
・ADM(遅発性太田母斑) :Qスイッチレーザーとトーニングの組み合わせ
・炎症後色素沈着(PIH) :レーザートーニング、しみ用内服
がざっくりですが有効な治療手段です。
しかし、肝斑に日光性色素斑と
ADMが混在しているようなケースではどうでしょう。
(外来で結構よくみかけます。)
そのような時に私が特に私が重視しているのは、
レーザー/光治療の順番と組み合わせです。
30代以上の女性に多い、
頬全体に広がっていて様々なしみが混在している状態を治療する手順として
当院でよく使用するパターンは、
①レーザートーニング5回~10回照射で肝斑の下地を抑える。
②次に、トーニングに反応しない色が濃く
輪郭の明瞭なしみ;日光性色素斑(日光斑)やADM(遅発性太田母斑)を
Qスイッチレーザーで除去。
③残った色むらをフォトフェイシャルで整える。
(毛穴引き締めなど肌質改善効果もあり)
という3段階でシステマティックに仕上げる方法です。
ADMの場合は、①と②を交互に繰り返しながら薄くしてゆきます。
もちろん、しみと肌の状態によって実際はこのようには治療しないこともありますが、
汎用性の高い手順の1つとして上記のパターンがあるかと思います。
明らかに日光性色素斑やソバカスのみである場合には、
最初からQスイッチレーザー(532nm)を用いますが、30代以上の女性では
肝斑の下地の上に日光斑やソバカスが乗っかって混在していることが結構多くあり、
やはりトーニングからスタートするのが肝斑を悪化させない上で安全な治療法です。
また当院の最新型レーザー機レブライトなら、
肝斑トーニング用の設定の1つ(PTPモード)がADM(遅発性太田母斑)にも有効なので、
深い真皮レベルにあるしみも徐々にですが薄くすることが可能です。
しかしここで、注意しなくてはならないのは
IPL/光治療を先に肝斑や日光性色素斑に掛けてられてしまうことです。
肝斑だとIPL/光治療で悪化することがありますし、
日光性色素斑やソバカスだと先にフォトフェイシャルが掛けられて
中途半端に薄くされていると、後でQスイッチレーザーを掛けても
色が抜けづらくなることがあります。
フォトフェイシャルでしみが含むメラニン量が少なくされていると
(正確にはメラニン変性ですが)
メラニンとQスイッチレーザーの反応が悪く、切れ味良くしみが抜けなかったりします。
レーザーの光は基本メラニンに対して反応するからです。
かといってそこで反応を得ようとして出力を上げて行くと、
皮膚に加わるダメージ/ストレスが大きくなり今度は炎症後色素沈着(PIH)が長く残り、
患者さんを悩ませることになります。
ダウンタイムがほとんどないからという理由で、
最初からIPL/光治療を行っているクリニックもあるようですが、
いかがなものかと思います。
また、施術者についてですが、当院ではレーザーも光治療も
全て私(小松)が自ら照射しています。
皮膚の状態を見ながら、モードと細かい出力設定(パワーとパルス幅)
およびパス数(掛ける回数)を調節して当てています。
大手や準大手のチェーン店では、
これらの施術を全て看護師にやらせているクリニックが多いわけですが、
あまり感心しません。
レーザー治療で、ある程度名を馳せた都内のクリニックが
これらの手技を日雇いのアルバイト医師にやらせることはあり得ませんし、
ましてや看護師にやらせるなどということは絶対にありません。
どこもそのクリニックの院長か専属医師みずからの手で
施術を行うのが通例となっています。
それだけレーザー治療/光治療というのは安全に効果を上げようと思えば難しいし
奥の深いものだと考えています。
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