みずほクリニックTOP » ブログ » 美容皮膚科 » その他の美容皮膚科 » 眼瞼黄色腫の除去治療(切除)
みずほクリニック院長ブログBlog

眼瞼黄色腫の除去治療(切除)

2020年07月27日(月) | カテゴリ: その他の美容皮膚科
当院では美容医療の一つとして、顔や体の出来物の除去にも力を入れており、
皮膚腫瘍シリーズとして、ブログ記事でも定期的に扱っています。

今回は、黄色腫の症例です。

上まぶた内側に両側性に生じる、
黄色い円状、楕円状の出来物は黄色腫(Xanthoma、ザントーマ)です。
黄色腫の本態は、コレステロールを貪食したマクロファージが皮膚内に蓄積したもので
真性の腫瘍ではありませんが、時とともに大きくなってゆくことがあります。



上は、41歳の女性で瞼に生じた
黄色い出来物を取って欲しいとのことで当院を受診されました。

発生には高脂血症と関係があるという説があり、
教科書などにも実際そのような記載がありますが
私の経験上は、実はあまり相関性がないように感じています。

黄色腫は、そのタイプによって

・結節性黄色腫;四肢の関節部に発生して盛り上がりがある。
・発疹性黄色腫;臀部・大腿に黄色い小型の結節として発生。
・結節性発疹性黄色腫;四肢に生じ、発疹性と結節性の混合タイプ。
・腱黄色腫;アキレス腱など四肢の腱に腫瘤を形成したり、腱が棍棒状に太くなる。
・扁平黄色腫;盛り上がりがない扁平なタイプで、広範囲に広がるものは「びまん性扁平黄色腫」と呼ぶ。
・手掌黄色腫;手掌や指腹に黄色い結節が生じる。
・手掌線状黄色腫;手掌のシワのラインに沿って黄色い線として生じる。
・眼瞼黄色腫;上瞼の内側に生じる。

など様々なものがありますが、
当院は眼瞼の美容外科を行っているということもあり眼瞼黄色腫の方のみが受診します。

しかし、昔形成外科医だった時代も
外来で見る黄色腫は眼瞼黄色腫が90%以上だったため、
内訳としておそらく一番多い印象です。
(それとも他のタイプは、形成外科ではなく皮膚科へ受診するのか?)

眼瞼黄色腫の治療は、レーザーで取るか外科的に切除縫合するかのいずれかです。

レーザーは、組織を蒸散させて削り取る炭酸ガスレーザーか
エルビウムヤグレーザーを使って取ります。

炭酸ガスレーザーよりもエルビウムヤグのほうが
跡が残りにくいと主張しているクリニックもありますが、
私は両方持っているため比較したことがありますが
今のところそれほど差はないように感じています。
(もっと症例数を多くしてゆけば差が出てくるかもしれませんが。)

ただしレーザーで取ると再発率が若干高いため、当院では基本的には切除で取っています。

手術で切除縫合しても、うまく縫えば傷跡がほとんど残らないため
基本的に手術治療を勧めていますが、手術に抵抗があるなら
1回はレーザー治療を試しても良いでしょう。

しかし、ある程度深くまで取らないと再発してしまうため、
レーザーによってかなり深く掘った結果として、

・治癒まで2週間ほど時間がかかる。
・切って縫えば線1本の傷跡だが、レーザー除去では腫瘍の形に傷跡が残ることがある。

などのデメリットがあります。

2つの治療法の使い分けとして、

・小さいもの→ レーザー除去
・大きいもの→ 手術

などと、いかにももっともらしく書かれているのをよく目にしますが、
個人的には逆なのでは?と常々疑問に思っています。

小さいもの(1cm以下のような)であれば、切って縫っても
瞼が引きつれたり二重ラインが乱れたりすることはまずないですし、
傷跡も目立たないので手術のほうが良いと考えています。

逆に1cmを越えて巨大なものになってくると、
縫合によって瞼の皮膚が引っ張られてゆがんだり、
おかしな縫い上がりとなる可能性があるので、
再発リスクを患者様には伝えつつレーザーで除去するのがよいと思います。


幸い眼瞼の皮膚は、レーザーで多少深く削って掘っても
陥没してクレーターのようになることがない、
つまりそれだけ血流が豊富で傷が治りやすいという点では有利です。

しかし、レーザーで深い傷をつくれば、
仮にヘコまないにせよ、赤みや色素沈着が長引く可能性もあります。

大きな黄色腫の除去を行う場合この点が実に悩ましいところです。

実際の治療例を見てみましょう。手術での除去例(切縫)です。










上から術前・術中デザイン・術後1ヶ月目です。

術中デザイン写真の定規の目盛りを見れば分かりますが、
今回の黄色種は長径1cm程度ですので、
この大きさなら瞼にひきつれを残さずに問題無く縫い込むことが出来ます。

開眼状態で、二重ラインに大きな乱れがないことが分かります。





術後1ヶ月目の閉眼状態の写真です。

手術の傷跡は通常術後1ヶ月目が一番目立つ時期ですが、
この時期でも既に傷跡はほぼ分からない状態です。

レーザー除去、手術による除去それぞれにメリット・デメリットがありますが
これらをよく比較検討して頂いて、治療方法を選んでもらっています。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:眼瞼黄色腫除去手術 費用:88,000円(両側・税込)
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:瞼のひきつれ、二重ラインの乱れ、腫れ、内出血、傷跡など。
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ


監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士