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鼻先を高くして尖らせる鼻尖耳介軟骨移植(単独手術)

2017年06月19日(月) | カテゴリ: 美容外科, 鼻整形
今週は、鼻の症例です。

鼻先のことを専門的には、「鼻尖(びせん)」と書きますが、
文字の通り、ある程度尖っていたほうがかっこうがいいのは言うまでもありません。

日本人の場合は、昔に比べるとここ何十年かで顔の彫りが徐々に深くなりつつあるように感じ、
鼻根(目と目の間)や鼻背が高くいわゆる鼻スジの通った鼻の方も最近は増えてきています。

とはいえ鼻先についてはまだまだ白人種などにくらべると高さが足りず、
美しいプロフィールを実現するためには鼻先を高く尖らせるということは重要な要素の一つです。

鼻を高くする方法としては、ヒアルロン酸注射ノリ状の人工骨注射(レディエッセ)なども人気ですが、
これら注射による方法は、あくまで鼻根や鼻背を高くすることが出来る方法であり、
鼻先にこれら注入物を入れても手術とは異なり高くすることが出来ません。

仮に鼻先にヒアルロン酸などを入れたとしても、変化が出るくらいの量を入れると
ほとんどが前方向への突出に役立たず、横方向に広がってダンゴ鼻になってしまうため
基本的に鼻先への注入は行わないというのが一般的な美容外科、美容皮膚科のスタンスではないかと思います。

鼻先を高くするには、やはり固形物によるのが一番確実かつ結果も良いわけですが
日本の美容外科の黎明期には、L字型のプロテーゼの角の部分をほとんど削らず(薄くせず)に
鼻先の高さを稼ぐために挿入するケースが多くあり、結果として鼻先の皮膚が赤みを帯びたり、
皮膚壊死を起こしたり、時間とともにプロテーゼの角の部分が上方にせり上がってブタ鼻のようになって
鼻の穴が正面から見えたりと様々なトラブルがあったため、今日はほとんどL字プロテーゼの角の部分で
鼻先を前にだすという方法は廃れつつあるという経緯があります。

しかし、いまだにこれを行っているクリニックもあり、
外来の患者さんの鼻で時々お見受けしますが、あまり感心しません。

年配の方で何十年も前に入れたものなら分かりますが、
若い方でもたまにまだいらっしゃるので驚くことがあります。

現在は、耳からの軟骨移植により鼻先を前に出すのが主流です。

これは「耳介軟骨移植」という鼻の手術で、
患者さんご自身の耳の裏もしくは耳の中から軟骨を取り鼻先に移植します。

シリコンやプロテーゼなどを鼻先に挿入する場合は
赤みが出るなどのトラブルが生じる可能性もありますが、
軟骨移植であれば、多少皮膚に緊張が掛かったとしても鼻先に赤みが出たり
皮膚に壊死が起きて穴があくようなことは絶対にないと言っていいでしょう。

少なくとも私のキャリアの中では今までに一度もありません。

人工物ではなく自分の組織であるため、皮膚に局所的に圧が掛かっても
その部分が自然に吸収されて圧が逃げるような仕組みが働いているのではないかと推測しています。

また、耳介軟骨を鼻先に移植することによって
鼻先を高くするだけではなく、鼻先のラインを細く見せる効果もあります。


耳の軟骨は、耳珠(トラーガス)から採取する方法と耳甲介(コンカ)から採取する方法がありますが、
私は、耳珠から取るようにしています。

耳甲介に比べて、より硬さと強度がある軟骨が取れるため好んで用いています。
硬いもののほうが、鼻先に移植した時により皮膚を前に押し出す力が強いということを狙っています。

これに対して、触った時の柔らかな感触にこだわりのある方の場合、よりソフトな耳甲介のほうが
適している場合もあります。しかし、あまり人に触らせる部分でもありませんので、
柔らかくてよいことのメリットを感じる方はむしろ希であると言っていいでしょう。

鼻先を出す方法の最も安全かつ有効な方法が、上述のとおり鼻尖耳介軟骨移植ではありますが
一方で最近は、鼻中隔延長術も推奨するクリニックが多くなってきています。

しかし鼻中隔延長は、鼻先がかなり上に向いてしまっている短鼻の場合に、
鼻先を下方向に向ける目的で用いるのが本来の正しい使い方なのではないかと私は考えています。

というのも、鼻中隔延長単独で鼻先を前に出そうとするとどうしても鼻先の上方の部分に
ふくらみが生じがちになるので、横から見たときのプロフィールが美しくなりません。

いわゆるオームの嘴のような鼻先(Polybeak)となってしまうことがあります。
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よって、よほど鼻先の向きが上を向いている方でない限り、
鼻先を前に出すだけなら鼻尖耳介軟骨移植だけで十分であり、もし鼻中隔延長を行うにしても
必ず鼻尖耳介軟骨移植を組み合わせて同時に行うほうがよいと患者さんにはお勧めしています。

さて、下は鼻先の高さを高くしてシャープに見せたいという希望で
当院にご相談に来られた25歳の女性です。

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こうして横からプロフィールを見ると、確かに鼻先のポイントが少々上向きではあるのですが、
鼻中隔延長に頼らずとも鼻尖耳介軟骨移植単独でもかなりの改善を期待出来るケースをお見せしましょう。


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上は、術後2ヶ月目の状態です。

アプローチは、鼻柱切開ありのオープン・アプローチとして、左耳の耳珠から耳介軟骨を採取して
鼻先に移植しました。

横から見たプロフィールは、自然で美しく、鼻先上方のラインもストレートに近い形状です。

アプローチは、クローズよりもオープンの方が鼻先の皮膚の形状にダイナミックな動きを与えやすい
(皮膚の変形キャパシティが大きくなる)ので、今回のようにより大きな変化を出すのに適しています。

しかし、もしこのような鼻に鼻中隔延長をあわせて行うなら、
その意味は、鼻先を下に下げるというよりは鼻翼軟骨の中間脚から内側脚に掛けて
軟骨を間に挿入して合板のように移植床を硬くして、鼻先の移植軟骨を固定する土台を
より強固なものとするという目的で行うのはありだと思います。

移植した軟骨が皮膚のテンションに負けて床の方向に沈みこまないようにしておき、
鼻先の皮膚をより前方に突出させるなどの効果を期待出来ます。

もし、このような目的・意味を明らかとして二つの方法を組みあせるのであれば
十分に練られた手術プランと言うことも出来ますが、そうではなくむやみやたらに
あれもこれも複数の手技を組み合わせることを勧めてくるのであれば、
どうもそこに営利主義的な態度が垣間見られるようで感心しません。
(そのようなクリニックが最近多いと患者さん達からよく聞いています。)

私自身は、患者さんの要望をピンポイントで正確に見極めて、
それにふさわしい手術・治療を直球で提案出来るよう日々心がけています。
当院の鼻尖耳介軟骨移植の詳細はこちらです。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:鼻尖耳介軟骨移植   費用:220,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、血腫、皮膚壊死、皮膚の傷跡など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士