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【鼻先を高くする】鼻中隔延長と鼻尖耳介軟骨移植の違い

2022年05月17日(火) | カテゴリ: 美容外科, 鼻整形
現在、鼻先を高くする手術の主流は「鼻中隔延長術」であるということは、
多少でも鼻手術に興味をお持ちになられた患者様達の間では
割と一般的に知れ渡っている事実かと思います。

このような流れになったのは、私が形成外科の専門医から
美容外科の世界に入った頃、つまり、30年ほど前に始まった流れです。

それまでは、国内では「鼻尖耳介軟骨移植」が主流でした。

現在のように鼻中隔延長がメインとして行われるようになったのには
それなりに理由があります。

理由をより深くご理解いただくため
先にこの2つの手技の違いについて簡単に述べたいと思います。

鼻中隔延長術も、鼻尖耳介軟骨移植と同じように
耳介軟骨や肋軟骨などの自家組織軟骨を鼻先に移植する手技です。

そのため広い意味においては、
鼻尖耳介軟骨移植の1亜型と言うことも出来なくはないですが、
実際の現場では術式を明確に区別するために、違うものとして扱っています。

とはいえ患者様からはどのような違いがあるのか
実際よく分からないという質問を頂くことが非常に多いため、
以下に図示いたします。



どちらも「鼻先への軟骨移植」であることには変わりませんが、
要はそのセット方法が違う*ということになります。

*鼻中隔延長とcolumellar strutの違いにも同じことが言えます。
こちらも、質問が多いのでいつかブログ記事などで解説してみたいと思っています。

▼「鼻尖耳介軟骨移植」
耳から取り出した軟骨を2枚から4枚など複数枚重ね合わせて
鼻先に挿入する手技であり、鼻中隔延長よりは手間がかかりません。
(手術時間も短くて済む。)

但し、後戻りを防ぐために
左右の鼻翼軟骨を中央に寄せて土台を強化する必要があります。

しかし東洋人の場合、鼻翼軟骨がそれほど強固な組織ではないため
時間とともに土台部分が沈めば後戻りの可能性は十分あります。

また、直後でも多少皮膚が元の形状に戻ろうとする力が作用するために
土台部分がしっかりしていないとこちらが意図しているほど
鼻先を十分に前方や下方などに伸ばすことが出来ないなどの欠点がありました。


▼「鼻中隔延長術」
一方、近年美容外科で主流として行われている鼻中隔延長術では、
長方形の移植軟骨を左右の鼻翼軟骨と後ろからは鼻中隔軟骨で支持固定するため、
3方向からの支えがあることで後戻りが少ない点が特長です。

さらに、皮膚が元の形状に戻ろうとする力に抵抗するだけの反発力を
鼻中隔軟骨という非常に硬く厚いしっかりした組織から得ることが出来ます。

つまり鼻中隔延長術には、術後に後戻りすることがなく、
また医師が意図した形状をしっかりと保持できるという2つのメリットがあります。

このような理由から、
今日では鼻尖耳介軟骨移植よりも仕上がりが良いということで
鼻中隔延長術で鼻整形を行う美容外科が増えているというわけです。



さらに鼻中隔延長術は、複合手術を行う際にも優れた特長があります。

鼻中隔延長術で鼻先をしっかり伸ばしてやることで、
同時に行う鼻尖縮小(鼻尖形成、鼻尖修正)の効果を増強させることが可能です。

一例を見てみましょう。





上は、鼻先が低く かつ下方への垂れ感があるというご相談で
来院された25歳の女性です。

鼻尖耳介軟骨移植も考えていたようですが、
鼻中隔延長術との違いやメリットなどを十分に説明した上で、
今回は鼻中隔延長術を行うこととなりました。





上が、術後1ヶ月後の状態です。

この時期には腫れや内出血もほぼひいて完成形に近い状態となっています。

この症例における、内部構造上の移植軟骨による延長距離は7mm*です。
*軟骨の上に皮膚が被さるため、実際の距離は必ずしも7mmではないことがあります。

鼻尖耳介軟骨移植では、ここまでの距離をしっかり延長することは難しいです。


但し、このように言うと鼻尖耳介軟骨移植よりも鼻中隔延長のほうが
メリットが大きいとばかり思ってしまいそうですが、
鼻中隔延長も調子に乗ってあまりに鼻先を伸ばし過ぎると後で微妙に曲がってきたり、
鼻先で軟骨が浮き出てきたりするという欠点(というか注意点)もあります。

鼻先の曲がりにくさという点では、鼻尖耳介軟骨移植のほうが
(正確にピラミッド型に複数枚の軟骨を積み立てた場合には)
有利な面があるかもしれません。

耳介軟骨移植の場合は、底面から徐々に先に向かうにしたがって
少しずつ先端を細くしてゆくので、安定性という面では有利な面があります。
(つまり余程無理をしない限り倒れにくい)

最近は鼻中隔延長風に、鼻翼軟骨の内側脚に2枚重ね長方形の耳介軟骨を挿入し、
内側脚で挟みこんでサンドイッチ状にしておくことで土台部分を強化しつつ、
その上に耳介軟骨を複数枚横に重ねて移植固定するという
両者の良い所をあわせていいとこ取りとした「ハイブリッド移植」とする
クリニックも増えつつあるようです。

何だかちょっと言葉では説明しづらいので下図をご参照ください。




当院でもご希望があれば、このような方式で行うことも出来ますので
興味のある方は、お申し出ください。
>当院の鼻中隔延長術詳細はこちら

<本ブログの症例に関する情報>

施術名:鼻中隔延長手術 費用:330,000円 
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:左右非対称、鼻先の曲がり、感染、血腫、皮膚面の凹凸、傷跡、皮膚壊死など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士