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2023.08.14

二重整形・眼瞼下垂・目元

大腿筋膜移植による眼瞼下垂治療

眼瞼下垂には生まれつきのもの(先天性)と加齢などに伴うもの(後天性)の2つがありますが、このうち先天性の眼瞼下垂は、後天性の眼瞼下垂よりも手術の難易度が高いケースがほとんどです。

さらに先天性の中でも、すでに他院で何度か手術を行っている場合は修正手術(やり直し)となるため、さらに難易度が上がります。

先天性の眼瞼下垂は基本的に保険診療で対応をしておりますが(もちろん例外もあります)、修正手術の場合は先天性であっても当院では自費診療で手術を行っています。その理由は、他院で何度も手術がされていると挙筋腱膜や瞼板周囲の組織が癒着してしまうため手術の際にこれらの組織を剥離する作業が発生する上に、組織が固くなっていることで開眼調整の難易度も高くなり、結果的に手術に要する時間が通常よりも長くなるためです。

但し、よくある誤解なのですが、自費診療であれば左右の目が完全にそろうとか、審美的な仕上がりが完璧になると考えてご相談に来られる患者様も多いのですが、先天性の眼瞼下垂の場合は「上まぶたが開く状態にすること」自体がそもそも難しいため、まずは手術によって視野が確保出来るようになることがゴールであり、自由診療であっても美容的内容を完全保証している訳ではない点をご理解いただければと思います。

今回は、先天性の眼瞼下垂を大腿筋膜移植によって改善した症例をご紹介したいと思います。生まれつき目の開きに左右差があり、左目の視野が狭くモノが見えにくい点を改善したいとご相談に来られた44歳の男性です。




左の眉毛が代償期(まぶたが上がらない状態を他の筋肉を使って持ち上げている状態)のため、右の眉毛に比べてかなり上がっており、左の額(眉上)のしわも顕著です。さらに眉毛を別の筋肉を使って恒常的に引き上げていることによって上まぶたにくぼみも生じており、これも見た目が不自然に見える原因の一つとなっています。

この方は他院での手術経験がなかったため保険診療で治療を行いました。左の大腿部(太もも)外側から大腿筋膜を採取して、左目の瞼板と眉上の前頭筋をブリッジしてつなぐように移植を行っています。片目1時間程度、局所麻酔の日帰り手術となります。(筋膜移植による眼瞼下垂治療は、先天性の方や重度の方の場合に行うことが多い術式です)




当院では基本的に眼瞼下垂治療は局所麻酔で行っています。静脈麻酔や全身麻酔で手術を行わない理由は、手術中に上体を起こしていただき、「目の開きに問題がないか」「目がしっかりと閉じるか」などを術中に何度も確認する必要があるからです。この作業を行わないと、術後に「思ったような変化がなかった」「目が完全に閉じなくなってしまった」といったトラブルや失敗になる可能性がグッと高くなるため注意が必要です。

余談ですが、数年前に某有名女性芸能人(大御所クラス)の方が全身麻酔で眼瞼下垂手術を受けた際に、目が開き過ぎていわゆる「びっくり眼」の状態に仕上がってしまい、私の古巣の大手美容外科で修正手術を行って自然な開きに修正をしたという話がありました。目や鼻の手術においては術中の鏡を使った確認作業は「必須」であり、これを怠ると再手術になる可能性が高くなるという点を改めて身近で感じた出来事でした。


手術による変化を見てみましょう。以下は術直後の状態です。




この状態を見ると、左内側の開きがまだ今1つ充分ではないように見えるかと思いますが、術後としてはこの状態で大丈夫です。移植した大腿筋膜は1ヶ月ほどの時間をかけて徐々に収縮するため、逆に手術直後に目の開きが十分にあると1ヶ月後は目が閉じなくなり乾燥性角膜炎に悩まされることになります。そのため直後の段階では、気持ち軽度に開きが改善している程度にとどめるのがコツです。

・・・この「気持ち軽度に」という表現は、全く科学的でも医学的でもないため申し訳ないのですが、このあたりのさじ加減が、この手術では一番難しいところであり、長年の勘がモノを言う部分が大きいです。


術後5か月目の状態です。







術直後には、不十分に見えた左内側の開瞼が、読み通りしっかりと改善しています。左眉毛の位置も、正常な位置にまで下がって左右の高さが揃っています。さらに額のしわも改善しました。上まぶたのくぼみは、術中に脂肪移動固定術を行うことで改善しています。「脂肪移動固定術」とは、眼窩脂肪を奥から引き出して前方に配置し、糸で固定することで上まぶたのくぼみを消すテクニックです。

術前後の経過を改めて比較してみましょう。







この方のように先天性の眼瞼下垂の場合、美容外科では手術を断られることが多いようです。当院では、形成外科の保険治療も行っておりますので、他院に相談してみたものの「出来ない」として断られた方も、一度ご相談ください。
眼瞼下垂治療(筋膜移植)の詳細はこちら

本ブログの症例に関する情報

施術名:眼瞼下垂治療(大腿筋膜移植術) 費用:55,590円(片目・保険診療・3割負担の場合) リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、左右差、乾燥性角膜炎、乾燥性角膜潰瘍、傷跡、眼瞼下垂の再発など 施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はブログ投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。

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院長・監修者情報

みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士 医師紹介はこちら

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