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みずほクリニック院長ブログBlog

レーザーやフォトを組み合わせたしみの複合治療

2016年04月11日(月) | カテゴリ: しみ
今週は、しみ治療の症例をご紹介します。

30代以上の女性の顔のしみは、
日光性色素斑、肝斑、そばかす、ADMなどが複合的に混じり合って
存在することがほとんどです。

肝斑単独とか、日光性色素斑だけがあるなどというケースのほうが
むしろ珍しいとさえ言えます。

それゆえ一つの治療手段で対応出来るものは必ず限られており、
複数の治療手段を組み合わせるほうが、よりクォリティの高い治療となることは
間違いありません。

下は39歳の女性で、今まで紫外線対策をほとんどせずにきたとのことで、
顔中に点状、斑状のしみを多数認めます。




あまりにしみが多いと明確に分けて診断することが難しいのですが、
比較的肝斑の要素は少なく、メインは日光性色素斑とソバカス、
ところどころADMが混ざるといったところでしょうか。

まずは、フォトフェイシャル2回で
日光性色素斑とソバカスのうち取れるものを取ってしまい、
3回目の治療からレーザートーニングを合計7回行いました。

ところで、以前開業初期のころの当ブログにおいて、
「しみに対して何でもかんでも最初からフォトフェイシャルを照射し
それを漫然と継続するという手法は、いかがなものか?」という疑問を
提起したことがあり、私が今実際に行っていることとの矛盾を
指摘されることが最近ありました。

確かに、ソバカスや日光性色素斑を切れ味良く1回の治療で
確実に取ろうとすればQスイッチレーザーのほうが向いているのかもしれませんが、

光治療に比べると厚く大きなカサブタが長く続き、
剥がれるまでの時間を要してしまうため、これを受け入れられる患者さんは
決して多くないということが近年の傾向としてあります。

まして、レーザー照射後におとずれる炎症後色素沈着(いわゆる「戻りじみ」)の
説明をすると大概の患者さんは、よりダウンタイムの少ない光治療や
トーニングの方を希望されます。

そういった経緯もあり、
最近は日光性色素斑・ソバカスが多く見られるタイプの混合型のしみの治療には、
下地にある肝斑悪化の可能性を充分に警戒しつつ、思い切って最初から光治療を
1回から3回の間で少し弱めに照射するということも行っています。
(あくまでケースバイケースですが)

また、最近ではフォトフェイシャルにより
肝斑が悪化しやすい眼窩下縁(頬と下まぶたの境界)から目尻にかけてのラインだけを
部分的に照射部位から外しつつ、治療初期段階においてフォトフェイシャルを
弱くかけるなどの工夫も取り入れています。


易経に「君子豹変す」という言葉があります。

臨床家にとっても、変節することは必ずしも悪いことではないと思っています。

患者さんのニーズ、時代のニーズ、職業など社会的状況にも配慮しつつ、
しみの状態をよくふまえ、また、日常診療で蓄積された経験と治療機器の進歩の現況も
加味しつつ、改めるべき所は改め常に臨機応変に対応してゆかなくては
ならないと考えております。 

話が飛びましたが、上記症例に戻します。

今回も補助的な治療として、この治療期間中に
トランサミン、シナールの内服を継続しています。

さらに、毎回フォトフェイシャル、レーザートーニング終了直後に
ビタミンCとトラネキサム酸のイオン導入を行うといういわば、
「しみのフルコースの治療」としました。

フォトフェイシャル、レーザートーニングといった照射系のしみ治療を行えば、
ある程度皮膚にストレスが掛かります。

そして、皮膚はストレスに反応してしみの元のメラニンを産生する性質があり、
これを抑えてくれるのがトーニング後のイオン導入です。

せっかくレーザーによってメラニンが破壊されても、
皮膚に加えられた刺激により新たにメラニンが作られてしまっては
相殺されてプラマイゼロになってしまっては結局しみの色に変化は現れません。

最悪、新たに作られる方のメラニンの量が
破壊されるメラニンの量を上回ればしみが濃くなってしまう場合もあるでしょう。

そこで、トラネキサム酸やビタミンCなど抗炎症・抗酸化成分を皮膚にいれることで、
照射後の皮膚のストレスを鎮めてやる、というケアがしみ治療においては
重要な役割を果たします。

患者さんから
「イオン導入なんてエステでもやっていることだし、果たして本当に効くの?」と
よく質問を受けますが、これがなかなか侮れないのです。

皮膚に浸透させる成分が、医薬品レベルのものとエステなどで使用しているものは
グレードが違います。

また、導入に用いるマシンも医療機関でのみ使用可能な機器と
エステで用いるものでは、確実に性能に差があります。

実際、照射治療もしみ内服も一切なしでイオン導入のみを
根気よく続けることでしみが薄くなったケースがいくつもあります。

照射系の治療との相性は抜群で、相乗効果を期待出来ます。

そして、まだ途中ですが下が治療の結果です。



 

左が施術前、右が施術後の状態です。

治療開始が、去年(平成27年)の年末で、
ここまで来るのに約4ヶ月かかりましたが、まずまずの成果を上げています。

まだ、目回りにしみが残っており、
特に鼻根右側に固まってしみがあるところが目立つのが気になるということで、
ここはQスイッチルビーレーザーでの除去をご提案しています。

その他、頬にうっすらと斑状に残るのは、ADMかと思われるので
Qスイッチルビーか、カサブタを作るのが嫌ならQスイッチヤグを
強めに当てるなどしてさらに美白してゆく計画です。

レーザートーニングフォトフェイシャル内服イオン導入
4つの手段を組み合わせることで総合的治療とし、
はっきりと目に見える効果を手にすることが出来た症例です。
当院のしみ治療について詳細はこちらです

<本ブログの症例に関する情報>

治療名①:アイコンによるしみ治療 費用:22,000円/回 2回照射
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療名②:レーザートーニング 費用:22,000円/回 7回照射
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
治療内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士