「ぶた鼻」とは、鼻先が上を向いた鼻のことを言います。正面から見た際に鼻の穴が良く見える他、横から見ると鼻スジが短くて鼻先が上を向いている状態に見える点が特徴です。
ぶた鼻を治したいという相談は、開業当時から多くいただいている比較的オーソドックスな鼻の悩みですが、最近はぶた鼻を治す施術とは別で、逆に「少しだけアップノーズ(上向きの鼻)にしたい」というご相談を頂く機会も増えています。ぶた鼻を改善したい方が多数おられる半面、少しだけアップノーズ気味にしたいという方も増えているという現状についてや、この2つの違い、またぶた鼻を改善する方法についてなどを今回は解説してみたいと思います。
ぶた鼻とは
ぶた鼻とは鼻先が上を向いた状態で、医学用語では短鼻(たんび)と言います。ぶた鼻は鼻先が上を向いていることによって、相対的に鼻の穴が正面からよく見える(目立つ)という特徴もあり、特に女性の場合は「ぶた鼻を治したい」とお悩みになられているケースが多いようです。
ぶた鼻になる原因
鼻スジが一般的な状態よりも短い場合、鼻柱の付け根(鼻の穴の下)よりも鼻先が上側に位置してしまうことで、鼻先が上向きになり正面から見た際には鼻の穴が良く見える状態(ぶた鼻)になります。鼻スジが短くなる原因にはいくつかありますが、鼻先付近にある軟骨(鼻中隔軟骨もしくは大鼻翼軟骨)が引っ込んでいるケースが多いです。
- 鼻中隔軟骨
- 鼻中隔軟骨(びちゅうかくなんこつ)は鼻の穴と穴の間に壁のようにある軟骨です。鼻中隔軟骨が短いと鼻先に十分な長さを出すことができず、上向きで潰れたような低い鼻になってしまうことが多いです。ぶた鼻になってしまう原因の多くは、この鼻中隔軟骨の長さ(大きさ)が関係しています。
- 大鼻翼軟骨
- 大鼻翼軟骨(だいびよくなんこつ)は鼻先から小鼻にかけた部分にある軟骨で、小鼻の大きさや形に影響します。日本人には大鼻翼軟骨が未発達で小さいケースがしばしば見られ、このような場合も、鼻先に十分な長さが確保できず、横に潰れたような小鼻になることがあります。
ぶた鼻とアップノーズの違い
SNSや韓国女優さんなどの影響と思われますが、ここ最近の傾向として術後の鼻先を「アップノーズ気味の仕上がげたい」という希望をいただくことが増えています。
「アップノーズ」とは上向き気味の鼻先のことを指しますが、同じ「上向きの鼻」でも、「アップノーズ」と「ぶた鼻」は全く異なるものとなりますのでご注意下さい。
ぶた鼻
- 鼻スジが短い
- 鼻の穴が大きいケースもある
- 鼻先に丸みがあることもある
アップノーズ鼻
- 鼻スジに十分な長さがある
- 鼻先に高さがある
- 鼻先はシャープなライン
ぶた鼻とアップノーズの一番の違いは「鼻スジに十分な長さがあるかどうか」という点になると言えるでしょう。
ぶた鼻の場合は鼻スジが短いため、鼻先が上を向いている=鼻の穴が見える状態になってしまうのに対して、アップノーズ気味の鼻については鼻スジに十分な長さがあるため、上向きの鼻=ツンとした鼻先になります。
またアップノーズの鼻については、鼻スジに十分な長さがあることとあわせて、鼻先がツンとしたシャープな状態であることも、美しい鼻の条件になるかと思います。
ぶた鼻を自力で治す
方法
ぶた鼻を自力で治す方法としては、鼻先に変化を出すことを目的とした美容矯正器具の他、マッサージやメイクによる方法があるでしょう。とはいえ、ぶた鼻になるのは上で述べた通り軟骨や骨格などが原因ですので、これらの方法で一時的に効果を実感できる可能性もありますが、いずれも効果や持続期間は限定的となります。
- 鼻クリップ(摘まむタイプ)
- ぶた鼻を自力で治すことはかなり難しいとは思いますが、ネットでは鼻先を高くするグッズとして鼻クリップたるものが販売されているようです。自宅で30分程度装着することで鼻先に高さが生まれるとありますが、真贋のほどは実際に使ってみないと何とも言えないところではあります。またクリップで皮膚を摘まむタイプになるので、皮膚へ対する刺激による皮膚トラブルや色素沈着などが生じる可能性があります。
- 鼻プチ
- 鼻の中にシリコンを挿入して鼻先の形を変える商品もあるようです。丸い鼻や広がった鼻に挿入することで高さのある細い鼻の穴に変化させる、とありますが、こちらも鼻クリップ同様に実際に使用してみないと真贋については判断がつきませんが、鼻の穴の奥に異物が入り込まないようには注意するようにしてください。
- マッサージ
- マッサージで鼻先に溜まった老廃物の流れをよくすることで鼻先をすっきりさせるという方法です。確かにむくみなどが多少改善することで鼻先の大きさが多少変化する可能性もありますが、マッサージによって鼻スジを長くすることはできないため、ぶた鼻の根本的な改善は難しいでしょう。
- メイク
最も現実的で効果を得やすいのはメイクではないでしょうか。実際にサイズに変化を出すことはできませんが、視覚的効果はとても大事なポイントになります。
※余談ですが、美容整形においても視覚的効果を狙った施術というのは存在し、例えば人中短縮や立ち耳整形などは、実際に輪郭などには操作を加えないものの、鼻下の距離を短くしたり耳を少し目立つように前方へ立たせることで、相対的に顔を小さく見せる効果があります。
メイクでぶた鼻を目立たなくする方法にもいくつかありますが、以下のようなメイク法が多いようです。
- コンシーラーで鼻の穴の入口付近を塗り影を目立たなくする
- 鼻スジにハイライトを入れる
- 鼻スジの横にノーズシャドウを入れて鼻スジを強調する
- 鼻先(丸みのある部分)に沿うように縦にノーズシャドウを入れる
- 鼻根や鼻先にポイントとしてハイライトを入れる
ぶた鼻を改善する
美容整形
半永久的にしっかりとぶた鼻を改善したいという際には美容整形がお勧めです。当院では現在約50種類の鼻の整形術を取り扱っていますが、そのうち「ぶた鼻を治す」効果がある施術は以下になります。
※便宜的に各施術法をそれぞれ以下のようにまとめていますが、実際は一人ひとりの鼻先の状態によっては複数の施術を組み合わせたり、単独治療であっても挿入物の調整はもちろん、切開範囲や縫合方法に至るまで完全カスタマイズした形で施術を行っています。
※以下で紹介している施術はいずれも、鼻の皮膚側を切開するオープン法と鼻の穴の中を切開するクローズ法があります。クローズ法は傷跡が一切見えない・ダウンタイムを最小限に抑えることができる・施術をごく短時間で終えることができる・術後のギプス固定も不要、といったメリットがありますが、オープン法はしっかりと鼻先に変化を出すことができるというメリットがあります。
ちなみに当院で行うオープン法は、大部分を鼻孔の縁にあわせて切開を行うため、傷跡はほとんど目立たないことが多いです。術直後は赤みが生じますが、通常は2~3か月程度で次第に薄くなっていきます。気になる際には、メイクをすることでかなり隠すことも可能です。
鼻尖耳介軟骨移植
「鼻尖」とは鼻先のことを言います。鼻尖耳介軟骨移植は、耳の軟骨を鼻先に移植することで、鼻先の長さや高さに変化を出す施術です。耳の軟骨は、耳の裏もしくは耳の穴の中を切って採取するので術後に傷跡が目立つことはありません。
移植する軟骨は挿入前にサイズや形を調整した上で挿入しますので、鼻先に長さを出すだけではなく、同時に高さを出すことも可能です。
鼻中隔延長
耳の軟骨を鼻先に移植することで、鼻の穴の間にある仕切り部分にある軟骨(鼻中隔軟骨)を下方向や前方に延長して鼻先を下に向けたり、高さを出す施術です。一つ前で紹介した、鼻尖耳介軟骨移植と同じような効果を得ることができます。
鼻中隔延長術の詳細はこちら耳から採取した軟骨を鼻先に挿入するという過程は鼻尖耳介軟骨移植と同じなのですが、2つの施術では軟骨を鼻先に挿入する際の「セット方法」が異なり、どちらの施術を行うかによって多少結果にも違いが出てきます。2つの施術の違いはイラストでご覧いただくと分かりやすいかと思います。
- 鼻中隔延長術
- 移植した移植軟骨は、①鼻翼軟骨で左右を挟みつつ、②さらに鼻中隔軟骨で後方から支えることで、支持固定する手技。
- 鼻尖耳介軟骨移植
- 耳から取り出した軟骨を鼻先に横置きして、軟骨を2~4枚程度枚重ね合わせることで鼻先の向き・高さを変える手技。鼻中隔延長よりは手間がかかりません。
鼻尖耳介軟骨移植のほうはダウンタイムが短く済みますが、実はこの施術は難易度が高いため、クリニックによってはあまり行わずに鼻中隔延長術をもっぱら行っているケースもあるようです。もちろん鼻中隔延長術も良い結果を出せる術式ですが、ダウンタイムを最小限に抑えたい・傷跡をできるだけ目立たないようにしたいといった際には鼻尖耳介軟骨移植がお勧めです。
鼻尖形成
(びせんけいせい)
鼻尖形成は、両側の鼻の穴の中を切開し鼻先の余分な皮下組織を切除して、左右の軟骨(鼻翼軟骨)を糸で縫合して寄せることで鼻先に変化を出す施術です。ただしプロテーゼや軟骨などは使用せずに鼻先の既存組織のみで操作を行う施術のため、鼻スジを長くする効果は限定的となります。よってごく軽度のぶた鼻の方にのみ適応となります。
鼻尖形成の詳細はこちら鼻孔縁下降術
(びこうえんかこうじゅつ)
鼻孔縁下降術は、鼻の穴のフチを下げることでぶた鼻を治す施術です。上で紹介した施術はいずれも鼻先(鼻尖)にアプローチする手技ですが、鼻孔孔下縁術については鼻尖ではなく鼻の穴のキワにアプロ―チするという点が最大の特徴で、ぶた鼻とあわせて「鼻の穴が大きい」「鼻の穴が目立つ」という方に有効な施術です。
鼻孔縁下降術の詳細はこちらぶた鼻を治す整形の
メリット・デメリット
一度の施術でぶた鼻を半永久的に治すことができる美容整形は、ぶた鼻を治したいという際にお勧めの手法ですが、もちろんメリットもあればデメリットもあります。両方を理解した上で施術を検討されるとよいでしょう。
ぶた鼻を治す整形のメリット
- 一度の施術で変化が出る
- イメージに近いツンとしたシャープな鼻先にできる
- 効果は半永久的に持続する
ぶた鼻を治す整形のデメリット
- 手術のためダウンタイムがある
- 費用が相応にかかる
- 場合によってはイメージ通りにならないことがある
このうち、イメージ通りにならないという失敗をできるだけ防ぐためには、担当する医師選びが重要なポイントになります。仕上がりのイメージを共有できているか、さらにそのイメージ通りに仕上げるだけでの技術力があるのか、という点を、症例写真などで事前に確認すると良いでしょう。
ぶた鼻を治す整形の
症例写真
最後に、当院で行ったぶた鼻改善の症例写真をいくつかご紹介します。当院では一人ひとりの鼻の状態にあわせて術式を細かく調整した上で施術を行っているため、あくまで参考としてご覧いただければと思います。
鼻中隔延長術
(他院修正/プロテーゼ抜去併用)
鼻中隔延長術(他院修正/プロテーゼ抜去併用)
鼻中隔延長術+鼻孔縁下降術
ぶた鼻を治す鼻の整形術は上で紹介した通りかなり多岐に渡るため、一人ひとりの鼻の状態にあわせた方法で施術を行う必要があります。当院では鼻の整形術を50種類以上取り揃えており、完全カスタマイズで鼻の状態にあわせた上で調整を行いながら手術を行っています。
とは言えもちろん、上でも述べた通り美容整形にはメリット・デメリットがありますので、本格的に根本から改善するかどうかはそのあたりも鑑みた上でご判断されることをお勧めします。実際に施術を受けた場合にどの程度の変化が出るのか?など施術について気になる点があれば、お気兼ねなくご相談下さい。
※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はコラム投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。