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太田母斑として治療されていた扁平母斑の症例

2017年10月16日(月) | カテゴリ: その他の美容皮膚科
今週は、アザの症例です。

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上は生まれつき左こめかみから左上の瞼にかけて、点々が集まったような(いわゆる点状集簇性)
褐色のアザがあり、以前に近所の医皮膚科にて太田母斑と診断されてレーザー治療を受けていましたが
全く取れなかったとのことで、当院を受診された42歳の女性です。

確かにこめかみ、上瞼は太田母斑の好発部位ではありますが、
実際の確認したところ色合い的にはむしろ茶アザ(扁平母斑)ではないのかなと思いました。

通常、太田母斑と言えば、濃青色から淡青色を呈することから別名「青アザ」とも呼ばれます。

まれに色味が薄く、灰色から茶褐色などの色を呈することもあるため
しばしば扁平母斑との鑑別を要することがあります。

ただ、太田母斑であれ扁平母斑であれ、治療はQスイッチレーザーで行うことに変わりはなく、
扁平母斑であれば太田母斑よりも多少弱めの出力で当てることが多いという程度の差です。

そこで今回は、上瞼は照射せず左こめかみのみを狙って、
Qスイッチ・ルビーレーザーを6Jで照射しました。


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上の左が治療前、右が治療後1ヶ月の状態です。

1回でこれだけ色が抜けたとすると、やはり扁平母斑だったのではないかと思われます。

通常、先天性の太田母斑の場合、最低2回以上のレーザー照射が必要なことが多く、
1回の照射でこれだけクリアに色が抜けるというのは考えにくいです。

扁平母斑は表皮病変(表在性)であり、特に顔にある場合、レーザーが効く時には
一回でほぼ取れてしまうことが多いため、治療結果的には扁平母斑の可能性が高いと考えます。
(もちろん、反応がほぼないか少ししか反応しないものもありますが)

ところで、患者さんが他院で行いっていたというレーザー治療についてよくよく聞いたところ、
レーザー治療によってかさぶたが一つも生じず、全く何も反応がなく薄くもならなかったとのことでした。

おそらく、太田母斑という診断のもと
ヤグレーザーの波長1064nmを当てられていたのではないでしょうか、

それならば、かさぶたも出来ず色味もほとんど変わらなかったというのは辻褄があいます。

この病変をヤグレーザーで治療するなら、むしろ532nmの方を使うべきだったのではないでしょうか。

私はルビーを持っているので、扁平母斑をヤグレーザーで治療した経験はありませんが、
一応教科書的にはヤグレーザーを使うなら、1064nmではなく532nmの方を使うということになっています。

逆に、太田母斑ならヤグレーザーの1064nmの照射によって多少なりとも色味は薄くなるはずですが、
全く効果がなかったということはやはり、太田母斑ではなくアザの分布が太田母斑によく似た
扁平母斑だったのではないだろうか? と推測します。

今回の件はいろいろ考えさせられました。
治療結果にあわせてフレキシブルに対応することはやはり大切だと考えています。
当院のあざ治療(扁平母斑・太田母斑など)はこちらにまとめています。

<本ブログの症例に関する情報>

治療名:Qスイッチ・ルビーレーザーによるあざ治療 費用:11,000円
治療に伴う可能性のあるリスク・副作用:腫れ、内出血、水疱形成、熱傷、熱傷による色素沈着など
施術内容に関する問い合わせ先:お問い合わせフォームからどうぞ

監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士