このところ当院においては、「忘れ鼻になりたい」という相談が増えています。忘れ鼻には明確な定義はありませんが、多くの場合は「美しく整っていて後から思い出そうとしても思い出せないような、ごく自然で控えめな鼻」を指すことが多いです。鼻については「鼻スジが低い」「小鼻が大きい」「鼻先が上を向いている」などのご相談を頂くことが多いですが、忘れ鼻はこのよう部分が全てバランスよく整っている鼻、と言ってもよいでしょう。今回は忘れ鼻の条件や忘れ鼻になる方法について解説いたします。
目次
忘れ鼻とは?
忘れ鼻とは、全体的に鼻が整っていて「どんな鼻だったのか思い出せない」ような自然で控えめな鼻のことを言います。主張が強すぎず、顔の中でも目立たない存在の鼻は、昔から美人の条件とも言われており、最近は「忘れ鼻になりたい」というご相談が当院でもずいぶんと増えてきています。
ただし冒頭でも伝えた通り、忘れ鼻には明確な定義はありません。単純に「鼻が細ければいい」「小鼻が小さければいい」というわけでもなく、一人ひとりの顔全体のバランスや顔立ち、雰囲気にあった状態であることが忘れ鼻において大切な条件となります。(そのため当院でも忘れ鼻整形という具体的なメニューは用意しておらず、一人ひとりの顔立ちや雰囲気にあわせて全てカスタマイズした上で施術を行っています)
忘れ鼻とは
- 顔立ちにあった主張が少ない鼻
- 全体的に重たすぎない鼻
- 思い出したくても思い出せない鼻
忘れ鼻の条件
忘れ鼻には明確な定義はありませんが、ここでは一般的によく言われる忘れ鼻の条件についてまとめてみたいと思います。
忘れ鼻の条件
- 鼻スジが細い
- 鼻スジがスッとまっすぐに伸びている
- 鼻先が軽い
- 鼻が上・下を向いていない
- 小鼻が小さい
- 鼻の穴が見えない
ここで大事なのが、上の条件はいずれもやりすぎてしまっては、それもまた忘れ鼻ではないという点です。鼻スジはスラっとしているほうが良いですが、細すぎたり高すぎても忘れ鼻とは言えません。忘れ鼻はこの「バランス」が非常に大事で、低すぎず高すぎず、大きすぎず小さすぎず、一人ひとりの顔立ちにあった最適なバランスであることが最も大事な忘れ鼻の条件となります。
忘れ鼻を構成する要素例
自力で忘れ鼻になる
方法
自力で忘れ鼻になる方法としては、やはりメイクが一番良いでしょう。ノーズクリップなどの鼻を小さくする道具やマッサージ、ツボ押しなどもあるようですが、忘れ鼻になる場合、一部分だけではなく鼻全体を整える必要があるため、メイクで鼻全体をカバーする方法が適しているのではないかと思います。
小鼻・鼻先にお悩みがある場合
だんご鼻、にんにく鼻、あぐら鼻など、鼻先が大きくて目立つ方にお勧めの忘れ鼻メイクです。そのままですと鼻先がボッテリと大きく見えてしまうため、メイクによってできるだけ控えめにすると同時に、立体的なライン構成にして視覚的に小さく見えるようなメイクをすることがポイントになります。
- ①コンシーラーで小鼻付近にできている影を目立たなくします。影を消すと同時に小鼻の毛穴(黒ずみ)や赤みも目立たなくすることで、小鼻の存在をできるだけ薄くすることができます。
- ②鼻先横の少し窪んだ部分に、上から下に向けてノーズシャドウを引きます。鼻スジから鼻先の両サイドに向けて、スッと2本のラインが入るようなイメージに仕立てます。この時、自然なラインにするためにノーズシャドウは鼻スジ真ん中付近から自然な濃淡で鼻先まで2本のラインが伸びるように引いてください。(鼻先だけに2本のラインを引くと違和感が出るので注意が必要です)
- ③鼻スジにハイライトを入れます。さらに鼻先の一番高いところにも、ポイント的にハイライトをチョンと置いてください。
鼻スジにお悩みがある場合
鼻スジが低い、鼻スジが太い、鼻スジが曲がっているなど、鼻スジが気になる場合の忘れ鼻メイクです。鼻スジを細くスラっと見せるためにハイライトを入れるのがベストですが、鼻スジだけに入れるとそこだけ悪目立ちする可能性があるため、鼻スジ周辺にもポイントポイントにメイクを施す点がポイントです。
- ①まずは鼻スジ(鼻背)にハイライトを入れます。眉間から鼻先に一直線にスッと引く方法もありますが、より立体感を出すには額と眉間(鼻根)、鼻先の3点にチョンチョンとハイライトを入れるほうがメリハリが出てお勧めです。またハイライトが悪目立ちしないように、パウダーは粒子が細かくラメが強すぎないものをお勧めします。
- ②眉間から鼻の脇にかけたラインにシェーディングを入れます。鼻スジに立体感(影)を作るために、眉間から目頭付近まで、鼻スジの横に2本のラインを入れます。
- ③アイブロウは少し鼻スジ付近まで伸ばすようにします。ごく薄く入れることで、鼻スジに立体感を出します。
- ④最後に小鼻の横(鼻スジ横から一直線に伸びる左右のライン)にもシェーディングを追加します。小鼻が特に大きくない場合も、鼻スジをスラっと見せるために鼻先へもポイントでシェーディングを入れるとよいでしょう。
美容整形による忘れ鼻形成(症例写真)
自力で忘れ鼻になる方法としてメイクを紹介しましたが、やはりどうしても限界はあります。本格的に忘れ鼻になるのであれば、美容整形という方法もあります。美容整形によって忘れ鼻になる方法には、一人ひとりの顔立ちや各パーツのバランス、雰囲気を考慮した上で完全カスタマイズで施術を決定するため決まった手法がないのですが、まずは変化をご覧いただくのが分かりやすいかと思いますので参考までに当院で行った忘れ鼻形成の症例をご紹介します。
忘れ鼻整形の症例①
(鼻尖修正+ハンプ除去)
だんご鼻と鼻スジの突出(ハンプ)を改善して目立たない控えめな鼻にしたいとご相談に来られた方の症例です。鼻先を小さくする手術として鼻尖修正(鼻尖縮小)術を、また鼻スジのデコボコを改善するためにハンプ除去を行っています。
術前後を比較してみると、術前は全体的に鼻が重たくもっさりとした印象だったのが、術後は全体的に控えめで目立たない鼻に変化しているのがお分かりいただけるのではないかと思います。
忘れ鼻整形には決まった施術法はありませんので、お一人ひとりの鼻の状態にあわせて必要な施術を組み合わせて施術を行っています。
忘れ鼻整形の症例②
(プロテーゼ・鼻尖修正・小鼻縮小など)
鼻スジが太くて低いこと、鼻先が丸くて大きいこと、さらに小鼻が大きいことを気にしてご来院された方の症例です。忘れ鼻整形では、一人ひとりの鼻の状態にあわせて「鼻スジ」「鼻先(鼻尖)」「小鼻(鼻翼)」のいずれか・もしくは複数部位にアプローチすることが多いですが、この方は3部位(鼻スジ・鼻先・小鼻)いずれも目立たないライン・サイズに改善したいとのことでしたので、鼻スジについてはプロテーゼ挿入と鼻骨外側骨削り(鼻スジ縮小)を、鼻先には鼻尖縮小(鼻尖修正)と鼻中隔延長を、さらに小鼻については小鼻縮小を行い、それぞれの部位におけるボリュームを軽減する手術を行っています。
術後の写真では、鼻スジが細くスラっとした他、鼻先に小さくシャープなラインになり、小鼻の出っ張りも改善しているのではないでしょうか。正面から見た際はもちろん、斜め・横・下から見た角度においても、美しい鼻になっているのではないかと思います。
忘れ鼻形成で行う
鼻の整形術の一例
忘れ鼻形成には決まった術式やマニュアルがありません。お一人ひとりの顔立ちや各パーツのバランス、雰囲気などにあわせて、当院で取り扱う約50種類の鼻整形術から適した術法を選択して施術を行っています。ここでは忘れ鼻形成で行うことが多い施術をいくつか紹介します。(実際にはこれらの施術をいくつか組み合わせて行うことが多いです)
①鼻スジを細くする美容整形
鼻スジで最も多いのは「鼻スジが太い」というお悩みですが、その他には「鼻スジが出っ張っている(ハンプ=俗語ではわし鼻・かぎ鼻とも言われます)」というご相談もあります。お悩みにあわせて手技をいくつか組み合わせることもあります。
シリコンプロテーゼ
シリコンプロテーゼは、鼻スジを整える際に行うスタンダードな整形術です。目と目の間(鼻根)から鼻スジ(鼻背)にかけたラインを高くしたり細くシャープにしたりすることができます。プロテーゼは挿入前に一人ひとりの鼻の状態にあわせて形を整えた上で施術を行うため、違和感のない仕上がりにすることが可能です。半永久的に効果を持続できる点も特徴です。
鼻プロテーゼの詳細はこちら鼻スジヒアルロン酸
鼻スジにヒアルロン酸を入れることは他院ではあまり行っておりませんが、鼻スジのデコボコ(ハンプ)を目立たなくする方法としてヒアルロン酸注入も有効です。デコボコが出来ている上・下にヒアルロン酸を少量注入することで鼻スジのラインを一直線に整えます。
鼻スジヒアルロン酸の症例はこちら鼻骨骨切り
太い鼻スジ・曲がった鼻スジ・出っ張った鼻スジを根本的に変えるなら鼻骨骨切り術がお勧めです。施術は鼻の穴の中(粘膜側)を切開して行うため術後に傷跡が目立つことも基本的にはありません。(鼻先付近までの施術を希望される際には、鼻柱の皮膚切開が必要なこともあります)一度に様々な鼻スジの悩みを改善することができる鼻整形術です。
鼻骨骨切り術の詳細はこちら上で紹介した整形術の他にも、鼻スジ縮小(手術)やハンプ除去などの整形術もあります。
②鼻先の形や高さを変える美容整形
団子鼻のように、鼻先の大きさが気になる際に適応となる鼻の整形術には以下のようなものがあります。鼻先が大きいと鼻全体の印象が重たくもっさりとして見えるため、この部分の大きさや形を整えるだけでもかなり忘れ鼻に近い状態に近づけることが可能です。
鼻尖縮小(鼻尖修正)
団子鼻修正の際に行うことが多い鼻の整形術です。鼻の穴の内側(粘膜部分)を切開して、鼻先の余分な組織を切除して、左右の軟骨(鼻翼軟骨)を糸で中央に寄せて縫合することで鼻先を小さくします。当院では約50種類の鼻整形術を行っていますが、その中でも3つの指に入るくらい行っているメジャーで人気の鼻の整形です。
鼻尖縮小の詳細はこちら鼻中隔延長
鼻先中心部にある柱のような軟骨(鼻中隔軟骨)を前方もしくは下方に伸ばすことで、鼻先に変化を出す整形術です。鼻先を細くするだけではなく、鼻先を下向きにしたり、鼻先に高さを出すなど、挿入する軟骨のサイズや位置、角度などを調整することで、比較的自在に鼻先に変化を出すことができる点が特徴です。
鼻中隔延長の詳細はこちら鼻尖耳介軟骨移植
鼻中隔延長同様に、鼻先に軟骨を入れることで変化を出す施術ですが、鼻中隔延長術との違いは耳から採取した軟骨のセット方法です。耳から軟骨を採取するため傷跡が少なく、また軟骨を挿入する部分も鼻の皮下部分となるため、侵襲が少ない点が特徴です。鼻中隔延長よりも手軽な反面、出せる変化には限界があります。
鼻尖耳介軟骨移植の詳細はこちらその他にも、鼻先に高さを出す鼻尖挙上術や鼻尖下降、鼻尖拡張、箱鼻修正、矢印鼻形成など、当院独自の手術法も含めて様々な手法を取り揃えています。
③小鼻や鼻の穴を変える美容整形
鼻先ではなく、鼻翼(鼻の両わきの皮膚)に厚みがある際には小鼻や鼻の穴を目立たなくする整形術を行います。(繰り返しになりますが、鼻先が大きいか・小鼻が大きいかによって施術法が異なる点はご注意下さい)横に広がった小鼻を小さくする方法や、小鼻の皮膚の厚みを薄くする方法などがあります。
小鼻縮小(鼻翼縮小)
小鼻が横方向に広がっている(獅子鼻と言われます)際に、小鼻両わきの皮膚を切除して小鼻のサイズを小さくする鼻の整形術です。切開は小鼻外側の溝に沿った形で施術を行うため、術後に傷跡が目立つことがほとんどありません。
小鼻縮小(鼻翼詳細)の詳細はこちら鼻孔縁下降
正面から見た際に目立つ鼻の穴を改善する際に行う鼻の整形術です。鼻の穴が目立つ原因にはいくつかありますが、その中でも鼻の穴のフチ(アーチ部分)が上に大きい際に適応となる施術です。鼻の穴の上部分を切開して、耳から採取した軟骨を挿入することで鼻の穴を目立たない状態に変化させます。
鼻孔縁下降の詳細はこちら小鼻を小さくしたり鼻の穴を目立たなくする整形術については当院独自のものも多く、患者様の細かい希望やニーズにあわせて適した術法を選ぶことができる点が特徴です。鼻翼厚み除去、鼻孔縁挙上術、矢印鼻形成、鼻柱拡大、鼻柱縮小、鼻翼挙上、さらに人気の人中短縮や猫手術、Cカール形成、貴族手術、Eライン形成などから、最も適した整形術で行っています。
忘れ鼻整形のメリット・デメリット
一人ひとりの鼻の状態にあわせて完全カスタマイズで行うことができる忘れ鼻整形ですが、もちろんメリットもあればデメリットもあります。両方を理解した上で施術を検討されるとよいでしょう。
忘れ鼻形成のメリット
- 一度の施術で変化が得られる
- 一度施術を行えば半永久的に効果が持続する
- 一度の施術で鼻の複数の悩みを解決することも可能
忘れ鼻形成のデメリット
- 手術を行うには費用がかかる
- ダウンタイム(赤み・腫れ)が2週間程度ある
- 場合によってはイメージ通りにならないことがある
なおデメリット3つ目として挙げた「イメージ通りの仕上がりにならないこともある」という点については、施術を行う医師と事前にイメージをしっかりと刷り合わせることで、このような仕上がりに対する違和感や失敗を出来るだけ回避することができるでしょう。
ただし、そもそも忘れ鼻整形の手術をしたことがない医師が担当してしまうと、イメージをどれだけ共有してもそれを形にできない可能性も高いため、鼻の手術(できれば忘れ鼻整形)をどの程度実際に担当したことがあるのかも確認したほうがよいと考えています。※当院では全ての手術(鼻はもちろん、目元や輪郭、脂肪吸引、豊胸など全て)を院長が担当しています。
繰り返しになりますが、忘れ鼻整形には決まった術式はなく、一人ひとりの鼻の状態や仕上がりイメージにあわせて複数の手術を組み合わせるなどでカスタマイズしていく形が基本となります。そのため、担当する医師が鼻の整形をどれだけ経験しているのかという点は、他の鼻整形の手術以上に、とても重要なポイントになるでしょう。複数の手技を組み合わせることでどんな結果になるかを過去の経験をもとにシミュレーションできるだけの経験がある医師にご依頼することをお勧めします。
忘れ鼻整形の詳細はこちら※記載されている料金やリスク・副作用、施術内容はコラム投稿時の情報となります。最新の情報は変更となっていることもあるため、詳細は当院までお問合せ下さい。
Doctor
院長・監修者情報
みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長
札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士 医師紹介はこちら