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かさぶたの出来ないフラクショナル

2015年04月13日(月) | カテゴリ: その他の美容皮膚科, 刺青・傷跡修正など
当院には、DEKA社のSmartXide dot(スマートサイド・ドット)という
優秀なフラクショナルレーザー機
があります。

炭酸ガスレーザー・タイプです。

毛穴、ニキビ跡、目周りの引き締めなどで威力を発揮する良いレーザーなのですが、
皮膚面にかさぶたが生じてしまうことと、肌の色が地黒の人の場合
かさぶたが取れた後にしばらく皮膚面に赤みが残ったりする点が玉にキズです。

かさぶたは細かなものなのでお化粧で隠すことは全然可能なのですが、
メイクをオフした時に、鏡に映ったかさぶただらけの顔を見て
ちょっとしたショックを受けてしまう方もいるようです。

精神的にある程度強くなくては
この治療を繰り返し継続することは難しいかもしれません。

一方、以前からかさぶたを一切作らない
ノー・ダウンタイムのフラクショナルレーザーもあるとは知っていましたが、
効果についてはやはり当院にあるような炭酸ガスフラクショナルレーザーには
かなわないだろうと考えており、これまではあまり興味をもっていませんでした。

・・・そんな中、患者様からの問い合わせで、
「傷跡について見て欲しい」というリクエストがここ最近相次ぎました。

もちろん顔で無ければ炭酸ガスフラクショナルレーザーも良い適応かとは思いましたが、
額の傷跡を消したい(目立たないようにしたい)との希望があり、
そういえばかさぶたを作らずに改善効果を期待できる
フラクショナルがあったなぁと思い出し、サイノシュア社に連絡を取ったところ
これが結構評判が良いとのお話しを聞きました。

当院所有の光治療機「ICON(アイコン)」に専用パーツを取り付けるだけで、
1540nmのレーザーを発射することが可能で、
これが傷跡・妊娠線・ニキビ跡・毛穴・肌質改善などに抜群の威力を発揮するとのこと。

光治療機のくせにパーツ一つでレーザー機にも早変わりできるなんて何という器用な奴!
と感心してしまいます。(いわゆる複合機というタイプです)

↓フラクショナル用プローブ




実際にICON(アイコン)を購入した時にサイノシュアからもらったパンフレットで
上記症状が劇的に改善したという症例写真を見たことはありましたが、
疑い深い私はどうしても自分の目で実際に確かめなくては信用しないという性格もあり、
そんなに素晴らしいレーザーならうちのクリニックでデモして結果を見せて下さいと
お願いして来てもらうことになりました。

当院が既に所有する通常プローブの
MaxG(しみ、くすみ、毛穴、赤み、ゆるみに効く)を
下のXDレンズというパーツに付け替えて、光治療機をレーザー治療機として使用します。

唯のレンズですが、これがまたかなり値の張る高価な部品です。

↓XDレンズの先端部。多数のトゲ状の構造を持つ。




皮膚への接着面には、
ぎざぎざのトゲのようなものが多数付いており何とも恐ろしげな形をしていますが
針ではないので、皮膚に押し当ててもさほど痛いということはありません。

これら、一つ一つのトゲの尖端からレーザーが発射され真皮深層まで
柱状に組織を凝固させます。

↓ぎざぎざの部分で深くまで圧迫することでより深くまで凝固柱が形成される。

1540nmという波長はレーザーとしてはかなりの長波長なため
深部までしっかりとエネルギーが到達することが予想されます。
また、ギザギザの尖端を発射の瞬間にグッと皮膚面に押しつけることで
組織の深部に発射部が食い込むため、より奥までエネルギーを到達させることが
可能という理屈です。

また、自分の手でスタッフの顔に照射してみましたが
このギザギザが皮膚に食い込む独特の感覚がうまく働いて、
レーザー発射の瞬間の痛みがかなりまぎれるとのこと。

いわゆる、ゲートコントロールセオリー効果(※)が期待出来るようです。

※痛みの刺激が加わる前(最中)に、
別の刺激を与えることで神経回路がその刺激によるシグナルで占有されることで
痛み刺激のシグナルの方がブロックされ軽減される。

私自身もサイノシュアの営業の方に頼んで、顔全体に打ってもらいました。

まあ確かに打つ瞬間ビリッときますが、我慢できるレベルです。

顔脱毛でYAGレーザーを打ったときに
皮膚の深部にレーザーのエネルギーが刺さってくるような感覚がありますが
それに似ています。

YAGが1064nmに対し、XDレンズが1540nmとさらに波長が長く、
かつポイント・ポイントで皮膚にとがった部分で押しつけるようにして打つので
YAGよりいっそう奥深くまでエネルギーが入って来るのが肌感覚で実際に感じられ、
「こりぁ何だか効きそうだぞ!」という期待感がいやおうなしに高まってまいります。

クリニックによっては、目尻の小じわやほうれい線に
このレーザーをひたすら打ちまくって浅く薄くしてしまう所もあるのだとか。。
(本当に?)

照射直後は、顔全体の照射部に強い赤みが出たため、
まるで酔っぱらいのようだと見ていたスタッフの子達から笑われました。

私の場合肌の色がもともと白いので特に赤みが目立ちましたが、
デモの後業者の方と話している間に既に赤みは引いていました。

1時間以内に引きましたので、ほぼノーダウンタイムと言って良いかと思います。
(もちろんかさぶた形成・腫れ・内出血も一切なし)

さて、炭酸ガスフラクショナルでは1回照射で確実に効果が出せるのですが、
さすがにこのタイプのフラクショナルは、結果を出すまでに
3回以上の照射は必要とのこと。

インターバルは3~4週に1回の照射になります。

サイノシュアの好意で、
今後3週ごとに3回当院にXDレンズを貸し出してもらえるとのことで
実際に3回照射後の結果を見てみることとなりました。

今回は、スタッフと私の顔およびモニターの方の傷跡に照射してみましたが
3回打った後にいったいどのような変化が得られるのか。。
今から楽しみです。

結果は、後日(約2.5ヶ月後くらい)に当ブログにてご報告する予定です。

もし、ほんとに結果が良いなら導入も充分検討する価値があるかと思いました。


監修者情報
美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。
免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士