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二重切開法における失敗例・トラブルとその原因と解決法
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二重切開法における失敗例・トラブルとその原因と解決法

二重切開法における失敗例・トラブルとその原因と解決法

当院にご来院された患者さんの過去の失敗談をもとに、二重切開法における失敗例と原因、その対策方法をまとめました。
二重切開法は糸で留める埋没法と異なり、一度切開してしまったら元に戻すことができません。手術に対する不安や手術による失敗を少しでも減らすために、医師として皆さんに伝えたいことを書き留めたところ、とても長い文章になってしまったのですが、よろしければご覧になっていただけると幸いです。

目次(二重切開法における失敗例・トラブルとその原因と解決法)

ラインの問題

術後の腫れなどの問題

二重切開法の失敗例は、大きく分けて2通りに分けられます。

①ラインの問題
②術後の腫れなどの問題
このページでは、多くの患者さんから相談をいただく二重切開法の失敗について、それぞれ詳細を述べていきたいと思います。

ラインの問題

広すぎる二重(眠そうに見える)

メイク映えする幅広二重を希望した場合などで、術後の二重ラインが広すぎて眠たそうな目に見えてしまうことがあります。
事前に医師がその可能性があることを患者さんに伝えることで回避できる失敗ですが、その他、技術的な問題で眠たそうに見えてしまうこともあります。

①元々目ヂカラが強くないところへ広めの二重を造ってしまった
②瞼板を出す剥離操作によって、挙筋腱膜が切断されてしまった

それぞれについて解説します。

「元々目ヂカラが強くないところへ広めの二重を造ってしまった」について

目ヂカラ(開瞼力)は人によって様々であり、左右でも同じではない人がほとんどです。
切開の二重ラインをデザインする場合、二重ラインの高さが目ヂカラに見合ったレベルか
どうかを常に考える必要があります。つまり目ヂカラと二重の広さのバランスを考慮しなくてはなりません。
目が眠そうに見えるということは、二重の広さに目ヂカラが負けてしまって負荷が大きすぎることを意味します。埋没のトラブルの項でも既に述べましたが、例えるなら

  • 広い二重 → 負荷が大きい = 重い荷物を持っている状態
  • 狭い二重 → 負荷が小さい = 軽い荷物を持っている状態

眼瞼下垂手術により目ヂカラの筋力を強化しない状態で、負荷が増せば当然瞼が開き辛くなるため、目が術前より細くなって眼瞼下垂の状態になってしまうことがよくあります。
また、仮に眼瞼下垂状態が生じていなかったとしても単純に瞼裂の縦幅に対して、二重幅の比率が大きくなっているだけで比率上目が細く小さくなったように見えることもよくあります。(錯覚的効果)

「元々目ヂカラが強くないところへ広めの二重を造ってしまった」について

二重手術を行う方の希望の多くが「今より目を大きく見せたい」と仰います。よくある誤解が、二重手術のラインを高く設定すれば目がより大きくなる(or 見える)はずだというものです。
ラインを広くしてアイメイクを施すことで、二重ラインまでを目の縦幅と誤認するため目が大きくなったかのように見せることはできます。しかしこれは一種の錯覚効果と言えます。実際の目の大きさは、縦方向には下瞼の睫毛の生え際から上瞼の睫毛の生え際までで、この縦幅=黒目の見えている縦幅は、二重手術によっては大きくはなりません。

しかし、例外があり皮膚が生まれつき、もしくはアイプチ・アイテープなどの長期連用や加齢が原因で皮膚が伸びて余っているような場合には、二重術によって余った皮膚が頭側・上方に折り込まれ(たくし込まれ)ることで黒目の見えている面積が増すため、あたかも目ヂカラが強化されたように見えることがあります。

「切らない眼瞼下垂手術」というものの多くがこのような仕組み(トリック)で行われていることが多いです。つまり行っていることは通常の埋没法二重かその亜型なのですが、「眼瞼下垂手術が切らずに出来ます」「切らずに出来る目ヂカラを強化する方法」などと謳うことによって、患者さんのニーズを掘り起こすことの出来るある種の集客手段の1つであるということを憶えておいて頂ければと思います。

いずれにせよ、目ヂカラ(開瞼力)によっては幅広二重にしすぎると眠たそうになってしまうことをご理解ください。

「瞼板を出す剥離操作によって、挙筋腱膜が切断されてしまった」について

二重切開法の剥離操作において、深めに剥離を行いすぎて挙筋腱膜の瞼板付着部付近の腱膜が切断され目が開かなくなるという現象があります。
手術中に手術台の上で上体を起こし、開瞼を患者さんに促すことで、瞼の開き方を観察すればこれが起きたかどうかはすぐに分かることですが、仮にそうなったからと言って焦る必要は全くありません。腱膜を奥から引き出して、瞼板に縫い付けて修復(補強)すれば元の目の開きを取り戻せます。

しかし、逆に言いますと眼瞼下垂手術(切開式)の手技をもたない医師が二重切開法を作る際に腱膜を傷つけて切断してしまった場合、この修正の手技が使えないために結果的に眠そうな二重が出来上がることになります。さらに、深くまで剥離操作を加えると眼瞼下垂を作ってしまうことを経験的に知ってしまうと、今度はどうしても剥離の深さが甘くなる傾向にあります。そうすると二重の固定の糸を掛ける組織の深さが瞼板そのものではなく瞼板前組織になってしまうことがあるようです。

「瞼板を出す剥離操作によって、挙筋腱膜が切断されてしまった」について

瞼板前組織というのは、瞼板の上に乗っかっている軟組織であり瞼板ほどの強度は持ちません。そのため二重ラインが切開式で作ったのにもかかわらず時間とともに外れてきてしまうということがよくあります。ラインを硬組織である瞼板そのものに固定することが切開式二重のラインを永続させる1つのコツなのですが、眼瞼下垂を作ってしまうことを恐れて剥離の深さが甘くなるとこのように土台のしっかりとしていない層に糸を掛けることになり、時間とともにラインが外れて戻ってしまうというトラブルが必発します。

ちなみに、眼瞼下垂の腱膜前転法においても同様なトラブルがあり得ます。瞼板をしっかり剥離剖出せずに、挙筋腱膜を瞼板ではなく瞼板前組織に縫合すると数ヶ月以内に、二重ラインも取れかつ腱膜短縮法の効果もなくなってしまうという失敗で終わることがよくあります。

二重切開法を行う際には、医師が切開式の眼瞼下垂手術(腱膜短縮法)の治療手技を熟知しているかどうか見極めることで失敗をできるだけ防ぐことができるでしょう。

〇広すぎる切開二重の修正方法

クリニックによって行う方法は違いますが、オーソドックスなものとして「眼瞼下垂手術」「上方にあるラインを消す」の2つがあります。
眼瞼下垂手術(腱膜前転法)を行うことで、目ヂカラがつき上瞼のヘリの位置(睫毛の生え際)が上方まで上がるようになることで、二重ラインとヘリの距離が縮まり二重幅が狭くなります。

広すぎる切開二重の修正方法

また、「上方にあるラインを消す」場合は、既にある切開線よりも低い位置のラインをデザインし直してその位置で皮膚切開を行い、頭側の方向に向かって皮下剥離を進めます。
広い方の二重ラインの皮膚と皮下の癒着を剥がし、そのあたりに眼窩脂肪を奥から引き出してきて固定します。これにより広いラインが再び癒着して折り込まれるのをブロックします。
なお、2つ目の方法は前回の手術で眼窩脂肪が切除されてしまっていると使えません。ですのでよほど脂肪の量が多い方を除いては、1回目の切開式二重で脂肪は取らないか、取っても最小限の量に控えるように心がけるべきです。

〇目の開きが十分よいのに二重が広すぎるという例もあります

上記以外にも、二重が広く見えてしまうケースがあります。それは、上瞼に前後の傾斜の角度がある場合です。具体的には「上瞼にくぼみがある」「眼球が前に出ている」といったケースで、いずれも基本的には狭めの二重しか作れません。
ほんの少しラインを広げただけで、極端に広い二重に見えてしまうからです。もし無理に二重幅を広げようとすると、不自然に見えかつ埋没式はもちろん切開式であっても早期にラインが外れてしまうことでしょう。

狭すぎる二重

二重ラインが狭すぎたという失敗には、以下の原因が考えられます。

①そもそもデザインの段階で狭かった
②腫れが引いたら狭くなった
③眉毛の位置が時間とともに下がり狭くなった
④手術時に皮膚切除が行われなかった
「そもそもデザインの段階で狭かった」について

これは失敗というわけではありませんが、、元々は希望通りのラインだったものの、次第に目が慣れてきて物足りなくなり、広げたくなるというケースはよくあります。
なお二重切開法の場合は形や幅を簡単には変えられませんという説明をして手術を受けて頂くことが多いのですが、実際には幅を広げることは可能です。(修正方法は後述します)

「腫れが引いたら狭くなった」について

こちらは二重埋没法でも同様ですが、手術により生じた腫れ(特に二重ラインと睫毛の間の皮膚の腫れ)によって術直後は二重の幅が広く二重の折り込みもかなりクッキリとして見えます。ところが2週間から1ヶ月の間に腫れが引くと、二重幅が術直後よりも狭くなり、折り込みも浅くなったかのように見えます。
そのため術直後の広い二重を気にいっていたのに、幅が狭くなってしまったため不満や失敗したと感じる結果につながることもあり得ます。

「眉毛の位置が時間とともに下がり狭くなった」について

二重切開法により、上瞼にかぶさっていた皮膚が取り除かれると、それまで視野を確保するために眉毛を上げて(額に横しわを寄せて)、瞼を持ち上げるクセのあった方の場合、もはや眉毛を上げなくても視野の確保が容易となったことで数ヶ月の時間を経て眉毛の位置(高さ)が徐々に下がってくることがあります。
すると手術後1ヶ月目などにちょうど良い感じに仕上がっていた二重ラインが、徐々に下がって幅が狭くなってしまうということがあります。年配の方の場合は二重手術でせっかくタルミが取れたのにまた上から皮膚がかぶさってタルミが再発してしまったと感じる事もあるようです。これは切開二重の場合のみならず、眼瞼下垂手術の場合にもよく見られる現象です。

「手術時に皮膚切除が行われなかった」について

40代後半以上の年配の方の場合皮膚にゆるみ・たるみが生じ伸びてしまっている場合、二重切開法のみでライン内にたるみを吸収することが難しい場合があります。手術台の上で上体を起こして見て、明かな皮膚のかぶりがありラインが狭く見えるのなら、その時に皮膚切除を追加すべきです。
若い方であっても長年アイプチ・アイテープを使用していたり、生まれつき皮膚の余りが多く逆さまつげのあるような方の場合、切開二重が狭めの幅だと皮膚のかぶりが取りきれていないことがあるため、手術中の判断で二重が狭いと感じられた場合は、迷わず皮膚を切除して取ってしまうべきです。

この作業を行わなかったために、手術後腫れが引いた時点で思ったより二重幅が正面から見て見えないor見えづらいということがあり得ますので、手術中は御自身による鏡での確認が必須です。ゆえに、上瞼の手術において切開手術だからと言って静脈麻酔で意識レベルを落としたり、全身麻酔を用いて術中に鏡でのご自身の確認なしに二重を仕上げるということは当院では基本的には行っていません。

〇狭すぎる切開二重の修正方法

瞼のラインは、複数存在する場合に上から順に折り込まれ、上のラインが勝つというルール・原則が存在します。よって今あるラインより上に切開線をデザインして切って作れば広い二重を造り治すことは可能です。

しかし、ここで一つ問題があります。ラインを元のラインより少し上に上げる程度であれば問題ありませんが、余りに元より高く設定すると以前のラインの傷跡や皮膚面に入ったスジ状の線が目を見開いた状態で見えてしまう可能性があります。いわゆる三重と呼ばれる状態となってしまうため見た目があまり美しくありません。これを避けるためには、ラインの上の皮膚のかぶりを1-2mm幅で切除してラインを広げるという手もありですが、その際の問題点として、「眉毛に近いレベルの厚い皮膚が下方に下りてくるのでラインの上に厚みが乗っかった感じが出てしまうことがある」「余り皮膚を取り過ぎると、二重の折り込みの深みがなくなり、しわのスジのような浅いラインとなってしまう」ことがあります。

狭すぎる切開二重の修正方法

だったら狭いラインになって後悔しないよう、最初から広く作れば良いかというと、実は二重ラインは広くするよりも狭くするほうがはるかに難しいので、広すぎと狭すぎでは両者比較するとまだ狭すぎのほうがよいのかもしれません。
私のアドバイスとしては、切開二重においてはやり直しが埋没法ほど自由には効かないので、出来るだけ無難かつ標準的な幅と無難な形・カーブを選ぶことをお勧めします。
つまり、幅は睫毛の生え際から測って 4mmから8mmくらいの範囲内で、カーブは極端に内側や外側を広く取らないなどです。

平行型になっていない

術前のシュミレーションを行えば、予想に反して平行型にならないというケースは希です。ただし、日本人ならびに東洋人には目頭に蒙古ヒダがありますので、目頭切開により蒙古ヒダを除去しておかなくては、自然な幅で平行型二重を形作ることは難しいケースもあります。
予算の関係や目頭に傷跡が残るのを好まないなどで目頭切開をしない場合、二重術単独で平行型の二重にするには、蒙古ヒダを乗り越えて高い位置にラインを設定する必要があり、 多くの場合極端な広い二重のデザインとなり、不自然に目が眠そうに見えたり、上瞼の皮膚の厚みの乗っかり感が目立って来てしまいます。

このような場合は医師が術前カウンセリングの段階で、希望するような平行型二重のラインにはならないと事前に伝えることが一般的ですが、患者さんの強い願いで無理に幅広二重を作った場合はどうなるのでしょうか。
この場合、皮膚の厚い所で折り込みを作るため、切開であっても二重ラインが取れてきて浅くなります。また無理に広く作った二重のため開瞼時の負荷が増して目をしっかり見開くことが出来にくくなり、結果として二重ラインが浅くなり、やはり平行型二重にはならなくなってしまいます。
いずれにせよ、確実にかつ美しい平行型二重を希望されるなら基本的には目頭切開を合わせて行うべきです。また「いったん切開式二重で手術を行ってみて後から目頭切開ではダメですか?」という要望もよく頂きます。確かに後から付け足しで目頭切開で平行型二重に出来ることもありますが、そうならないこともありますので確約は出来ません。
本来は目頭切開のデザインと切開二重のデザインをつながるようにして、うまく目頭にラインを導き入れることで美しく自然なカーブを形作ることが可能になるため、出来れば両方同時に行うことが当院のお勧めではあります。

埋没法ではできなくても、切開法なら平行二重にできる?

この質問も外来にてよく頂きます。
針金付きの棒(プジー)を瞼に当てる術前シュミレーションで自然な平行型とならないなら、埋没であれ切開であれ、目頭切開抜きで平行型二重にすることは基本的には難しいです。
但し例外的に、切開法二重に眼瞼下垂手術をプラスし目ヂカラをつけてやることで、多少広めに二重を作っても不自然にならないかもしれないという感触が得られた時には、切開のほうが平行型二重を造るのに有利と言ってもよいです。この場合は、埋没ではなく切開式を勧めることもあるでしょう。

まとめると、平行型二重をつくる上では「目頭切開」が重要な鍵であるということはもうお分かり頂けたかと思います。もちろん、生まれつき蒙古ヒダのない方においてはこの限りではありません。この辺りは実際のカウンセリングによって判断させて頂いています。

左右差がある

二重ラインはできるだけ左右そろっていたほうがバランスがよく見た目も美しいため、二重切開法の場合は埋没法と違って、失敗した後に修正が効く範囲がかなり狭くなるため慎重にゆくべきです。

左右差の原因は、そもそも最初のデザインが間違っていたというテクニカルなものの他、目回りの構造的な左右差が関係していることが多いです。特に目元において以下のような違いがある際には、左右差が生じる可能性が高いです。

目元の構造が原因の場合
  • 目を開く力が違う(開瞼力・目ヂカラが違う)
  • 皮膚の厚さが違う
  • 上瞼の脂肪の量(厚さ)が違う
  • 上瞼のくぼみの程度が違う
  • 上瞼皮膚のたるみの程度が違う
  • 元からある二重ラインの幅・形状が左右で異なる
  • 眉毛の位置(高さ)が異なる
  • 眼窩の骨の形状が異なる
  • 元の瞼裂の形(縦方向・横方向)が違う
  • 涙腺のvolumeが異なる
  • 蒙古ヒダの形状が異なる
  • 眼球の位置が異なる(前後方向の位置、上下方向の位置)

人間の体は目に限らず左右非対称に出来ています。したがって手術を行ったからといってこの差が完全になくなるということはむしろ希でしょう。しかしながら、非常に左右差が強い目の場合手術によりその差を出来るだけ縮めるような方向に修正してやることが可能な場合がかなりあります。

どうしても左右差が気になる際の修正方法としては、左右の二重ラインの幅と形の差を調整することで整えることが多いですが、眼窩脂肪の量やくぼみ、たるみ、蒙古ヒダなどが原因の際には、それらを調整することで左右差をなくします。

テクニカルなものが原因の場合

目元の構造の他、医師の技術力が原因で左右差が生じることもあります。テクニカルな部分ではありますが、理解しておいたほうがよいと思いますので以下に詳しく記載します。

①デザインラインに左右差がそもそもある
②切開が皮膚面に対して垂直に入っていない
③筋切除が左右均等に行われていない
④脂肪切除が左右均等に行われていない
⑤剥離操作の際にどちらかの挙筋腱膜を傷つけてしまった
⑥左右で挙筋腱膜の短縮量が違う

①「デザインラインに左右差がそもそもある」について

眼球のクボミに左右差があったり、皮膚のタルミの程度が左右で違うと、定規やノギス、カリパー(デバイダー)のような専用器具を使ったとしても正確に計って幅を合わせることが難しく、実際の切開ラインに左右でデザインの時点で既にズレが生じていることがあります。また、患者さんが緊張していると瞼にギュッと力が入ったり、弛緩したりを繰り返したりするので計ったラインの幅の数字が次々に刻々と動いて変化してしまっていたりするので、いずれにせよ定規を使ったからと言って、左右を完全に合わせてデザインすることは不可能ということになります。
定規はあくまでも一つの目安であり、ベテランの美容外科医の中には専用定規など使わず、自身の経験則に基づく勘でサッとペンで線を引く強者もいます。それでもうまく左右差なくそろえて仕上げるのですから全くたいしたものです。(ちなみに私は使いますが)

②「切開が皮膚面に対して垂直に入っていない」について

これは初心者の美容外科医によくありがちな失敗の一つです。デザインが左右正確にそろっていたとしても、切開をメスで行う際の角度とその後の剥離の角度が左右で異なっていると、最終的なラインの仕上がりの左右差という結果につながってきます。
また、皮下の剥離の角度方向が左右で異なっていると筋肉を切除する際の切除量に当然差が生じるため左右差の原因となって現れることもあります。

④「脂肪切除が左右均等に行われていない」について

上瞼において、脱脂のターゲットとなるのは主に眼窩脂肪とROOFです。これも元から左右で差があることが多いため、切除量によってラインの左右差あるいは瞼の厚みの左右差を厳密にコントロールすることは難しく、経験による目分量で切除しているといってよいです。取り過ぎるとどちらかの瞼にヘコミが生じたり、予定外重瞼線がラインの上方に生じたりと様々なトラブルを招くので要注意です。
特にヘコミが生じると生じた側の二重ラインが予想デザインよりもかなり広く見えてしまうためにこれも左右差の原因となり得ます。

⑤「剥離操作の際にどちらかの挙筋腱膜を傷つけてしまった」について

瞼板ないしは、瞼板組織を剖出する剥離操作を行う際に挙筋腱膜を一部切断して傷つけてしまうと、どちらかの目の開きが悪くなり、上瞼のヘリの位置が下に下がるため二重幅が予想よりも広く見えることとなります。

⑥「左右で挙筋腱膜の短縮量が違う」について

切開式二重術においては、瞼の形を整えたり、若干の目ヂカラをつけて強化するために眼瞼下垂手技(腱膜短縮)をプラスで追加して行うこともあります。
その際に左右の腱膜の短縮量に差があると当然瞼縁の高さ、カーブ・形などに左右差が生じることがあり、これに伴って二重ラインも左右どちらかが広く見えたり逆に狭く見えたりすることはあり得ます。

切開二重を行ってラインに左右差が出た場合については、非常に複雑な話ではありますが分かり安く超簡潔にざっくりまとめると次のようになります。

  • 狭い方を広げる。
  • 広い方を狭くする。

前者(狭いほうを広げる)については単純な話で、既にある二重ラインの上に切開により二重ラインを追加すればよい話です。但しよくあるリクエストで、切開で作った上に埋没法でラインを作って欲しいと言われますが、すぐに取れてしまうのであまり意味がありません。あくまで追加の修正ラインは切開法で作られるべきです。また元のラインから見て広すぎるラインを無理に作ろうとすると厚みが出たり、元のラインが見えてしまうので、わずかな拡大にとどめるのが無難でしょう。

後者(広いほうを狭くする)については、広すぎる二重の項で述べたように眼瞼下垂手術により睫毛の生え際=ヘリの位置を持ち上げて二重幅を狭く見せるか、上のラインを消して下に切開で新たなラインを作るかの2つの方法があります。
上のラインを消す方法単独では、時にうまく行かないこともありますので、眼瞼下垂手術(腱膜短縮)と組み合わせることで二重幅が確実に狭くなるようにすることもあります。

二重ラインが眉毛に近すぎる

眉毛の位置が低く、瞼縁(瞼のフチ)と眉毛の距離が短い人に広い幅の二重を作ると、見た目が著しく不自然に見えてしまい手術結果を失敗だと感じる方もおります。

二重ラインが眉毛に近すぎる

これは、埋没法二重、切開式二重両者に共通して言えることでラインデザインの問題です。元々、眉毛の位置が低い方の場合二重ラインはあまりに広く作り過ぎないほうが無難です。瞼を開いた時の、二重幅と二重ラインから眉毛までの距離の比率が標準から著しく離れていることで不自然に見えます。
「それならば白人の目の場合は、眉毛と二重ラインは著しく近いけれども別におかしくは見えないではないか」という意見もあろうかと思いますが、白人種の二重と東洋人の二重の出来方は根本的にメカニズムが異なっているため、東洋人の眼窩・前頭骨の解剖学的構造を考慮した場合、同じように比較して作ることが出来ないのです。つまり、瞼自体は軟部組織ではありますがその構造も土台となる骨格にある程度の影響・制約を受けるため、土台が異なると土台に対してラインがマッチしているかどうかということも考えなくてはなりません。
ラインが眉毛に近すぎると見た目がおかしくなるだけでなく、眉毛の近くは皮膚が厚くなってくるため、切開二重を行ったとしても、ラインの上の肉の乗っかり感が強調されてきますし、ラインが薄くなったり消えてしまう原因となるのでむしろ通常幅から狭めの幅の二重をお勧めすることが多いです。

二重ラインと睫毛の間がふくらんでいる

切開ラインのところに二重はしっかり出来ていても、ラインと睫毛の間の皮膚がふくらんでみえると何となく目が眠そうに見えたり、腫れぼったい感じに見え、自然な仕上がりとは言えず失敗だと感じることがあります。これには、2つの原因があります。

  • 術後の腫れが長引いている
  • 二重ラインと睫毛の間の筋肉の切除が甘い

切開二重手術においては、切開ラインと睫毛の間の筋肉を一部切除しますがこのステップが、この手術において一番腫れと内出血が出やすいパートと言えます。ですから一気に切除するのではなく、切除しながら出来るだけ細かく止血しつつ切除を完了させるというのが術後におけるこの部位の腫れを抑えるコツです。

また、2つ目のようにこの部分の筋肉の取り方が甘いと、特に元から眼輪筋が発達して厚くボリュームのある方の場合、切開ラインを瞼板ないし瞼板前組織に固定した段階で既に睫毛とラインの間がふくらんで見えるため、これに術後の腫れが加わるとさらにふくらんで厚ぼったく見えます。ですからこの部分の筋肉はライン固定縫合のための縫い代の筋肉だけは最低限残しますが、私の場合はかなりしっかり切除するように心がけています。
しかし、どのくらいこの部分の筋肉を残すかは医師の考えによってかなりの差があるように感じています。

予定外重瞼線(or 三重)の問題

予定外重瞼線とは、二重切開法を行った際に切開ラインのところでうまく皮膚が折り込まれずに、予定していたよりも上の方に出来てしまったラインを言います。
多くの場合、瞼の腫れ(特に切開ラインと睫毛の間の皮膚の腫れ)によって生じます。従って、手術後2週間から1ヶ月の間に皮膚の腫れが落ち着き収まってくると予定外重瞼線が自然に消えて、切開ラインで二重が折り込まれて術前シュミレーションで見た二重ラインが完成するはずです。
術直後とはいえ、予定外重瞼線ができると患者さんは失敗したのではと不安に陥ることもありますので、出来れば生じさせたくないところです。予定外重瞼線を直後から作らないようにするにはどうすればよいのでしょう?
私の工夫としては「二重ラインと睫毛の間の筋肉をしっかり除去するが、出来るだけこの部分での腫れを最小限に抑える」ということを行っています。…と言うのは簡単ですが、実はこの2つは相反し、筋肉をしっかり取れば取るほど腫れが生じるのが通常です。この矛盾をうまく解決できるかどうかが美容外科医の腕の見せ所ということになります。

また、時間がたっても予定外重瞼線がそのまま残ってしまうこともあります。これに関してはいろいろな原因が考えられますが、以下のようなものが主です。

①上瞼脱脂で脂肪を取り過ぎて上瞼の脂肪が不足している
②元々上瞼にくぼみがある
③眼球の位置が前方に元々出ている
④皮膚にタルミがあり、複数のラインが元からある
⑤眼瞼下垂があり、切開したラインで二重の折り込みが出来ていない
「上瞼脱脂で脂肪を取り過ぎて上瞼の脂肪が不足している」・「元々上瞼にくぼみがある」について

これは明らかに手術による失敗(テクニカル・トラブル)の一つと言えるでしょう。

脂肪を取り過ぎることで、上瞼のへこみが人工的に作られてしまい、開瞼した時にへこみのある部分で皮膚が折り込まれて予定外重瞼線が生じてしまうケースです。瞼の厚み軽減を目的として、脂肪が多い時に眼窩脂肪やROOFを取るということは一般的ですが、取り過ぎにはくれぐれも注意しなくてはなりません。
もし取り過ぎて、上瞼がヘコんでしまったらどうするのか。手軽なヒアルロン酸注入も良いですが、脂肪注入を行うのもありです。要は、失われた上瞼のボリュームを注入物により補填するというのが一つの解決方法です。
手術による修正法としては、意図する二重ラインでもう一度切り直して上方に皮下剥離を行って予定外重瞼線の下の癒着を剥がし、もし眼窩脂肪が少し残されているなら奥から引き出して消したいラインの下あたりに持ってきて糸で縫合固定し、再び予定外重瞼線で折り込みが入らないようにブロックする方法もあります。

「眼球の位置が前方に元々出ている」について

眼球が前方に出ている方の場合、眼球と上瞼の相対的な位置関係が上瞼にへこみがある状態と同様となり、上瞼がフラットな平面ではなく、前後に傾斜の角度がつき予定外重瞼線が発生することがあります。この場合、手術で上瞼の脂肪を取るのは禁物です。また上瞼にヘコミがある訳ではありませんので注入物による修正が効きません。
先に述べた手術により予定外重瞼線を消すという修正手段を用いる事になりますが、もし術前評価で眼球が前方に出ていると判断した場合に、既に予定外重瞼線が生じることを予想仮定して、あらかじめ眼窩脂肪を引き出して、二重ライン上方に縫合固定しておくというのが予防策となります。

「皮膚にタルミがあり、複数のラインが元からある」について

ある程度年配の方で、上瞼皮膚にたるみ、ゆるみがあり、元々しわ状の浅い二重ラインが複数ある場合、切開二重を行って1本の深いラインを作ったとしてもその上方に予定外重瞼線が生じることがあります。皮膚の余りが原因ですから、重瞼ラインよりも上の皮膚を切除するというのが一つの解決方法ですが、それでも皮膚の余りが取り切れない時は眉下切開により皮膚を切除して二重ラインと眉毛の間の余剰皮膚の量を出来るだけ減量して伸展させます。

「眼瞼下垂があり、切開したラインで二重の折り込みが出来ていない」について

二重ラインは、目が十分に開くことが出来てはじめて生じ得るものです。目の開きが悪い状態、つまり黒目の見えている縦幅が狭い状態は「眼瞼下垂」であり、これによってしばしば三重などを伴います。
眼瞼下垂が元からあるか、切開二重手術によって腱膜を切断してしまい眼瞼下垂を作ってしまうと、目の開きが不十分となり皮膚の切開線のところで十分な折り込みが生じずに、それより上のほうに折り込みが生ずるということがよくあります。元から眼瞼下垂のある方および、切開二重の操作過程で明らかに目の開きが悪くなってきたことが術中に確認出来たケースでは、迷わず腱膜短縮法で目を開く力(開瞼力)を強化する手技をプラスで追加する必要があります。

二重ラインの下にスジ状のラインがもう一つ見える

これも二重埋没法と二重切開法における共通の問題点であり、次の2つのケースで起こり得ます。

  • 元々ある二重よりもかなり広く二重ラインを新たに作った。
  • 平行型二重とするために内側で広いラインを作った。

1つ目は、新たに作った二重が広いために元からある二重が見えてしまいいわゆる三重の状態となっているケースです。

二重ラインの下にスジ状のラインがもう一つ見える

「これの何が悪いの?」と思うかもしれませんが、三重というのは高齢者で皮膚にゆるみ・たるみががある場合によく見られる目元の特徴のため、いわゆる老けた目元のように見えてしまうことがあります。出来れば二重ラインは1本に統一されてクッキリと深く折り込まれているほうがより美しい見栄えということになります。この三重状態は、元のラインより1、2mm拡大する程度なら目立つことはまずありませんが、3mmを越えて拡大して作るとあからさまに目立ってくることがあるため要注意です。

そして、2つ目の平行型として二重ラインを作る場合も内側のライン幅を広く取るために、もし仮に元が一重であったとしても、蒙古ヒダの一部が目頭側で二重ラインの下に見えてしまい、あたかも皮膚がねじれているかのように見えることがあるため、この点をブジー(針金)を瞼に当てる術前シュミレーションでよく確認しておく必要があります。

埋没法のパートでも述べましたが、対策は3つあり、

  • 平行二重をあきらめて、内側を狭くして末広型とする。
  • 目頭切開で蒙古ヒダを取り去ってしまう。
  • 切開ラインから睫毛の側に皮下剥離を行ってスジ状のラインを消す。

が解決方法となります。なお1つ目は二重切開法を行う前の予防策になります。

解決方法

部分切開法の問題点

二重切開法には、全切開法(フル切開)と部分切開法があります。全切開というのは、目頭から目尻までの瞼裂の全幅で皮膚を切開して行う方法であり、一般的に切開式と言った場合こちらを指します。
しかし部分切開の場合は、上瞼の中央付近5mmから10mmほどの切開として筋肉and/or脂肪を切除して、瞼板に糸で創縁の皮膚を固定してラインを作る方法です。

部分切開法の問題点

部分切開法の利点は、一般的には全切開法よりも切開が少ないので腫れと内出血などのダウンタイムが少ないとされますが、果たしてこれは本当でしょうか?
答えはそうであるとも言えますし、間違っているとも言えます。
部分切開法では、皮膚切開に続いて皮下の筋肉や脂肪も切除して取り除くことで厚みを軽減したり、皮下組織の癒着を促すことでラインの耐久性を上げるというコンセプトなのですがこの組織切除のステップにおいてしばしば出血が起こることがあります。
しかし、部分切開では皮膚の切開が5mm から10mmと非常に小さな窓から中をのぞき込む形になるので、奥の方で出血が生じた場合に視野が悪いため止血が難しいことがしばしばあります。
全切開であれば、窓が大きいため直視下に止血点を一瞬にして止血することが可能なのですが部分切開では止血がしづらかったり、結局は完全に止血出来ないままの状態で手術を終了することもあるためかなりの腫れと内出血が生じてしまうことがあります。
たまたま出血がないと全切開よりもずっと少ない腫れで済むため、部分切開のメリットが生かせたという結果になりますが、出血が生じかつすぐに止められないと、全切開よりも強い腫れと内出血が出て、これではむしろ全切開にしたほうがよほど良かったとなることもあるでしょう。

それならば、筋肉や脂肪を取らないようにすれば出血しなくてよいという考え方もありますが、それだと皮下組織の癒着を十分には起こすことが出来ず、切開したのにすぐに糸が外れて元に戻ってしまったということになるかもしれません。そのため、筋肉・脂肪を切除する方法でゆくか、なしでゆくかも術前に患者さんとよく相談する必要があります。
また、ライン固定の糸のかけ方には2つの方法があり表の切開創から糸を掛ける方法と埋没二重に使う両端針を使って瞼の裏側(結膜側)から針を入れて、ラインを固定する方法があります。

糸の固定源

図に示すように、表から糸をかける方法は瞼板に糸がかからず瞼板前組織(軟組織)に糸が掛かっており外れやすいことがあります。糸の固定源は、しっかりとした硬度をもつ瞼板であるべきであり、瞼板に糸を確実に掛けるには裏面から針を入れて縫合する方法が一番確実であり、より取れづらいと言えます。
しかし、そのような方法であったとしてもこの方法は全切開ほどのライン耐久性はなく切開法の一つであるにもかかわらず、埋没法の2点法と実は大差ないラインの持続性であることが多いです。
理由は、切開して筋肉・脂肪を取ったりしているとは言え所詮中央の1点でのみ固定が行われているからです。ですから、部分切開法で通常の埋没法以上の耐久性・持続性を希望するのであれば、中央の部分切開による固定を行い、かつその両サイドを2点法で補強するというやり方がお勧めです。

中央の部分切開による固定を行い、かつその両サイドを2点法で補強するというやり方

この方法ですと実質3点法(3箇所の固定)プラス中央での皮下組織の癒着による固定効果がありますので、少なくともオーソドックスな3点法以上の持続効果が期待出来ます。既に述べたように当院ではメリット・デメリットをあわせて考えると部分切開自体患者さんにあまり推して勧めてはいないのですが、もし部分切開に強いこだわりがありどうしても行ってみたいという方は、少なくとも中央の処理だけでなく両サイドの埋没法による補強の縫合もあわせて行うことが重要ポイントであるということを憶えておくとよいです。

術後の腫れなどの問題

傷跡が目立つ

二重切開法は埋没法と異なり皮膚切開を伴う手術ですが、基本的に切開ラインの傷跡が目立つということはほぼないです。
瞼は非常に血流が良い組織であることや、伸縮性に富む薄い皮膚組織であるため、動く場所であるにもかかわらず、創縁にかかる緊張の力が弱いことなどが、最終的に傷跡を目立ちにくくしている原因と考えられます。
但し、以下のようなある意味特殊なケースの場合には傷跡が目立つということが起こり得ます。

①切開線が瞼裂の外側を越えて目尻まで伸びて見えてしまっている
②前回切開で作ったラインのかなり上に切開二重を造り直した
③縫合に用いた糸跡が残って見えている
「切開線が瞼裂の外側を越えて目尻まで伸びて見えてしまっている」について

特に40代以降の患者さんで瞼のタルミ取り目的で切開式二重を行うことで起こりうる失敗・トラブルです。これは、瞼裂の最外側を越えて目尻側つまり上瞼とコメカミの境界部(接続部)付近の皮膚のタルミを取ろうとするために生じます。
二重切開法では、通常切開ラインは瞼裂の最外側より内側までにラインをとどめるべきであり、これより外側に切開線を延ばそうとすると二重の折り込みの中に隠れるべき切開の傷跡が外側ではみ出して見えてしまいます。
医師がサービス精神で出来るだけ外側までタルミを取る場合と、患者さんから是非外側のタルミもしっかり取って欲しいと強く頼まれて、やむを得ず外側まで切開を伸ばすことがありますが、どうしても行う場合は、傷跡が見えてしまい目立つケースもあることをよくよく術前ないし術中に説明して、患者さんに納得して頂いた上で行うべきですが、基本的にはお勧めしていません。

それ以外でも、外側で傷跡が目立ってしまうケースがあります。それは、高齢者で瞼の外側のタルミがあまりに強くその部分での皮膚の切除幅が大きくなってしまった場合です。その場合、縫合すると縫合創の最後の端の部分でDog ear(犬の耳)と呼ばれる皮膚の突起状の出っ張りが生じてしまいます。これをそのままには出来ないので修正としてカットすることで、傷跡が二重ラインを越えて外側にはみ出し始める事があります。

「切開線が瞼裂の外側を越えて目尻まで伸びて見えてしまっている」について

但し、それだけ強いタルミがある方はかなり高齢者に限られるため最終的に傷跡はかなり
目立たなくなることが多いです。

「前回切開で作ったラインのかなり上に切開二重を造り直した」について

過去に二重切開法でラインを作ったけれども、幅が狭く物足りなくなったのでかなり広い二重に作りなおした場合、前回の切開の傷跡のラインが広く作った二重の下に見えてしまうということがあります。
気にする人と気にしない人がいますが、見方によっては三重の状態にも見えるため失敗と感じる方もおりますし、出来れば元のラインは見えないほうが美しい仕上がりとは言えます。
対策としては、切開の上に切開のラインを新たに作り直す時は、(埋没の上に埋没でも同じですが)あまり極端に広いラインにしなければ、元のラインのスジが見えずに済むということを憶えておきましょう。

「縫合に用いた糸跡が残って見えている」について

こちらは希ですが、他院で行った切開二重の結果として外来で見ることがあります。縫合線に直交するように、何本ものゲジゲジの足のような傷跡が入っている例です。
使用している糸は、7-0など細い糸を使っているとは思いますが、縫い跡を見る限り異様にバイト(糸が咬む皮膚の幅)が大きいものが見受けられます。また、糸跡が残ってしまう原因として通常よりも強く糸を締めこんでその部分で血流不全が起きたか、何らかの理由(患者側か病院側)により抜糸の時期が術後10日以上を経過してしまったなどの原因が考えられます。
通常形成外科医として皮膚縫合のトレーニングを積んでいればそのようなことは絶対に起こり得ないのですが、美容外科の世界には麻酔科や一般外科、脳外科などそもそも皮膚外科ではない様々な出身科のドクターが相当数入って来てしまっているため、皮膚の扱いに関してしばしば目を疑うような結果もよく見かけるというのが実際のところです。自分の手術をまかせるドクターを選ぶ基準の一つとして、形成外科の専門医資格があるかどうかは一つの判断材料となり得ると思います。

二重切開法で行ったのにラインが消えた

二重切開法は、皮膚と皮下組織を切ったり組織を切除して取り除きライン部分の皮膚と皮下組織の間に癒着を生じさせて一種の傷跡(瘢痕)を作ることで二重ラインを作ります。
一般的には切開法を行えばラインは一生取れないと言われていますが、実は二重切開法を行っても、二重ラインが消えてしまうことが失敗例としてあります。これにはいくつかの原因が考えられます。

①皮膚が厚い
②皮下組織(脂肪・筋肉)が厚い
③極端に広い二重
④極端に狭い二重
⑤眼瞼下垂状態となっている
⑥瞼板ではなく瞼板前組織にラインが固定されている。
⑦瞼をこする習慣

以下にてそれぞれについて簡単に解説します。

「皮膚が厚い」・「皮下組織(脂肪・筋肉)が厚い」について

上瞼の組織に厚みがある場合、切開式二重でもラインが外れて元に戻ってしまうことがあります。ラインは傷として癒着はしているのですが、組織には元の状態に戻ろうとする力が働くため、結果としてラインが浅くなったり、消えたりします。
皮膚が厚い場合は手術により薄くすることは出来ませんが、皮下組織(筋肉・脂肪)であれば切除してある程度ボリュームを減らすことが出来ます。切開手術の利点を生かして合わせて同時に行うと良いでしょう。

「極端に広い二重」・「極端に狭い二重」について

瞼の皮膚は、下方(睫毛側)で薄く上方(眉毛側)で厚みを増します。そのためラインを広げれば広げるほどラインの耐久性の面では不利となってゆきますので、ラインのデザインはもし効果持続性を重視するなら、睫毛の生え際から4mmから8mm 程度の標準的な幅とするのがお勧めです。

「眼瞼下垂状態となっている」について

術直後は二重ラインが深々と入っていたのに、年月が経つにつれてラインの折り込みが浅くなっていくことがあります。
この場合、ライン自体が取れてはいないのですが、ハードコンタクトレンズの長期連用や加齢によって目が開きづらくなり眼瞼下垂状態となっていると、二重ラインがしっかりと折り込まれずにあたかもラインが取れてしまっているかの様相を呈します。
本当のライン消失とはまた別原因ではありますが、気になる際にはもう一度切開をし直して、眼瞼下垂手術により目ヂカラを強化すれば再びラインの折り込みは復活します。

「瞼板ではなく瞼板前組織にラインが固定されている」について

これは二重切開法で作ったラインの消失原因として一番多いもので、テクニカルな要因の一つです。
当院の二重切開法では、二重ラインの固定を行う際に瞼縁側の眼輪筋を瞼板に直接縫い付けます。しかしクリニックによっては、瞼板を十分に露出させずに、瞼板の表面に乗っかっている瞼板前組織に瞼縁側の眼輪筋を縫い付けている所があります。考え方の違いもありますが、私的には瞼板前組織はしっかり取ってしまったほうがラインの皮膚と皮下組織を強固に癒着させることが出来るので、瞼板前組織にライン固定をするというのは美容外科をはじめて以来行ったことはありません。
大手美容外科に勤めていた時はたくさんの医師が在籍していたため、見ていると瞼板前組織にかける医師と瞼板に直接縫い付ける医師がいましたが、瞼板前組織に縫合する医師の手術ではラインがしょっちゅう取れてやり直し手術となっているのを幾度となく見てしまっていたという経験から、やはりライン固定は瞼板に直接行うべきものという考えを持っています。

「瞼をこする習慣」について

瞼を指や拳でこする・押すなどの習慣は二重ラインの寿命を著しく縮めます。これは、埋没法でも切開法でも同じことが言えます。目が疲れている時など思わず眼球を押すようにマッサージしてやりたくなりますが、二重術を行った後は行うべきではありません。
またアトピーや結膜炎、花粉症などが原因で瞼の皮膚に炎症、かゆみなどを生じついつい瞼をこすってしまうことがありますが、これらも二重ラインが早期に外れてしまう大きな原因の一つですので、手術が決まったら皮膚科・眼科などに相談して痒み留めの点眼、ローション・軟膏などを処方してもらいこれらを常に持ち歩き、万全のかゆみ対策を取っておく必要があります。また痒みなどの症状が仮になかったとしても、普段の通常の洗顔・メイクオフで上瞼に触れる時も出来るだけソフトタッチを心がけるにこしたことはないでしょう。

ラインの上の皮膚が厚く見える

二重整形は、皮膚を2枚に折って作るという原理上、術後にライン上に厚みがでるということは起こりうる話です。これは埋没法であれ切開法であれ同様です。
患者さんから「切開式なら埋没法よりもスッキリと仕上がりますか?」とよく聞かれますが、確かに切開二重のほうが筋肉や脂肪を切除出来るという点で厚みを軽減することができるため有利なわけですが、逆に不利な点は、埋没法よりもラインの折り込みが深く入るためにそれによってかえって皮膚に厚みが生じることがあります。患者さんがよく言うところの「肉がラインの上に乗っかっている」という表現がまさにそれに当てはまります。
これは、幅広い二重を作った時に、特にラインの外側つまり目尻側で顕著に表れることがあります。皮膚や脂肪の元々厚い方が、幅広の平行型のデザインを希望したり、あるいは末広型であっても外側の幅を十分広く取りたいなどの希望があった場合にも起こりうるので要注意です。

「スッキリ見せたいから広めの二重にしたい」という要望を頂くことが多いのですが、実はそこに落とし穴があります。広く作るとかえって肉厚に見えてしまい、求める方向と全くの逆効果になってしまうこともあるからです。

ラインの上の皮膚が厚く見える

イラストのように、見た目的にあまり美しくないということに加えて、二重切開法であってもラインが外れて元に戻ってしまうことがあるのでその点も考慮しなくてはなりません。
ですからテクニカルな面で言うと元々瞼の厚みが気になる方は、ラインは出来るだけ狭めの控え目なラインを作ることが肝心なポイントとなります。
逆に最初から皮膚の薄い方であれば、少々広めにラインをデザインしたとしても厚みは全く問題になりませんので、選べるデザインに幅があると言っていいでしょう。

その他手術方法・手技が原因で厚みが出るケースとして「折り込みが深すぎる」「タルミ取りを合わせて行ったことで生じる厚み」なども要注意です。目ヂカラの強い方などで、手術により二重ラインの折り込みが深く入るとクッキリとしたラインができます。それ自体は悪いことではないのですが、それとは別にラインの上に厚みが目立ってくることがあります。このような場合は、切開二重ではなく埋没式二重のほうが厚みが目立たないケースがあります。

浅いほうがむしろ厚みは目立たないというのが重要なポイントです

そして、同じ埋没法の中では複雑なかけ方をする連結式などの方法よりもシンプルなスクエアやトライアングルのループを何点か留める方法のほうが折り込みが深くなりすぎずそれがかえって厚みの軽減につながります。なぜかと言うと、ラインの耐久性を追求したより取れづらい方法ほど折り込みがしっかり入り、組織をロックすることで深い二重となるからです。つまり折り込みは、浅いほうがむしろ厚みは目立たないというのが重要なポイントです。
イメージしてみてください、折り込みがほとんど入らないアイプチやアイテープで二重にすると、ライン上の肉の乗っかり感がほとんど出ませんよね?
患者さんのイメージ的には、二重切開法のほうが瞼の厚みが出づらいというのが一般的なイメージかと思いますが、それはあくまで筋肉・脂肪を切除することで厚みが軽減できるためです。

また切開二重術を行う際に、二重ラインを固定する前に最初から皮膚を切開ではなく切除で取り除いてしまうドクターをしばしば見かけますが、これも実は善し悪しです。多少タルミがある場合には、皮膚切除を行う場合も確かにありますが、上瞼の皮膚は睫毛に近い低い位置では薄く、眉毛に近づくに従って高い位置にゆくほど厚くなりますので、皮膚切除をすることで上方にあるより厚みのある皮膚が下に降りてくることになり結果的に厚みが強調されるということがあるからです。

皮膚の厚さ

このような理由から仮にタルミ取り目的で皮膚切除を行うとしてもラインが隠れたり歪になったりしない最小限の幅にとどめるべきです。
ですから私の場合は、切開二重を行うにあたり最初の皮膚切開の段階で既に皮膚切除をしてしまうことは、余程タルミが強く皮膚がたくさん余っている場合を除いてはまず行いません。最初はあくまで皮膚切開のみにとどめ、いったん二重ライン固定のステップまで進んでから、患者さんに手術台の上で上体を起こしてもらい開眼時に、正面から見て余っている皮膚がないかを見極めた後に、上瞼の厚さも合わせて評価することで、過不足なく皮膚を切除することにしています。

以上は手技的な問題で厚みが出る場合についてですが、埋没法のセクションでも述べたように、元々の目回りの構造的に厚みが強調されて見える原因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 皮膚自体が元々厚い
  • 皮膚の下の脂肪が厚い
  • 皮膚の下の筋肉が厚い
  • 骨が出っ張っている
  • 涙腺が肥大している(これは稀です)

対策としては、皮下脂肪であれば眼窩脂肪やROOFを切除し、筋肉が厚ければ筋肉を切除することで厚みを軽減することは可能です。
しかしながら皮膚の厚み自体は手術操作によって薄くすることは出来ないため、もし上記要因が複合的にあわさって存在する場合は、対策を行ってもはっきりした効果を得ることができないこともあります。
また前頭骨が前方に出ている場合、特に外側において眼窩の骨が突出していてあたかも皮膚や脂肪が厚みをもっているかのように見えるケースがあります。実際にはそれらが乗っている土台部分の骨が前に出ているのが原因です。しかし、この骨の部分を削る手術を行うということは通常ありません。それよりは、ラインの高さを厚みが目立たないレベルまで下げるか、脂肪や筋肉を切除するなどのほうが一般的な対策となります。

眉下切開について

二重切開法、二重埋没法いずれの場合も、二重手術による上瞼の皮膚に厚みが見られる際の解決策として定番とされる施術が眉下切開です。
眉下の皮膚を縫合創が眉毛の下のフチに沿って隠れるようにデザインして切除します。これにより、上瞼の厚みを軽減しつつ奥二重の方では二重ラインが上に上がって広がり正面から見えるようになります。しかし、眉下切開には2つの問題点があります。

①眉下の傷跡が目立つ
②二重の折り込みが浅くなってしまう

①「眉下の傷跡が目立つ」について

年配の方の場合、皮膚にゆるみがあるため術後3ヶ月くらいの比較的早い時期で傷跡はかなり目立たなくなりますが、40代以下の年齢の場合は6ヶ月から1年など比較的長い時間を要することがあります。また、女性の場合メークで傷跡をカバーして隠すことも可能ですが男性の場合そうもいかずお勧めしないことが多いです。(また、女性なら傷跡にアートメイクを入れて眉と一体化させることでカモフラージュする手もあります。)
よってこの手技が向いているとされる対象者は50代以上の女性で、切開二重をある程度以上の幅で作ってしまうと上瞼に厚みが出てしまうが、狭く作るとたるみが上からかぶさって前からラインが見えづらい方ということになります。(したがって、かなり限定的な適応ということになります。)
手順としては、まず切開二重をあまり上瞼に厚みがでないように少し控え目な幅で作っておいて、その時の皮膚の瞼への被さり方を見つつこれを上方に引き上げるようにして眉下の皮膚を切除して縫合します。これにより瞼の睫毛に近い側と眉毛の下の両方で逆方向(上下方向)に皮膚を引っ張りあうようにして伸展させる効果があるので、上瞼の厚みをかなり軽減することが可能です。

「眉下の傷跡が目立つ」について

②「二重の折り込みが浅くなってしまう」について

これは二重術を行わずに、眉下切開のみを単独で行った場合に生じる問題です。上瞼のたるみはなくなるため、元からある二重ライン(自前or二重術による)は浅くなってしまいます。場合によっては二重手術を追加してラインを新たに深く折り込み直す必要が出てきます。

「二重の折り込みが浅くなってしまう」について

これらの理由から、当院で眉下切開を行うのは限定したケースになります。

糸が露出してきた

糸が露出する失敗・トラブルは埋没法に比べればはるかに少ないですが、以下のようなパターンがあります。

①二重ラインを固定した糸の一部が露出してくる
②皮膚縫合の糸が残っていて露出してくる
③結膜面から糸が出てきた
「二重ラインを固定した糸の一部が露出してくる」について

二重ラインを固定する際には眼輪筋or真皮を瞼板or瞼板前組織に縫合しますが、その糸の一部が、後々切開した傷跡から出てくるというものです。埋没法のように糸の露出によって炎症が伴うことは希ですが、まるで毛が生えているようで見栄えが悪いなどの際には、手術を受けたクリニックで糸を引っ張って抜糸してもらいましょう。
あくまで完全抜糸ではなく、皮膚面から出ている糸の一部をカットするだけなので、これによりラインが外れて元に戻ったりすることはありませんのでご安心ください。

「皮膚縫合の糸が残っていて露出してくる」について

切開創を縫合した糸が治癒の過程で皮膚の下に埋まってしまい、抜糸時に完全に取り除かれず、術後時間が経過して何かの折りに糸が表面に出てくるケースです。
これも見つけた時に手術を受けたクリニックに行き抜いてもらえば済むことです。通常二重術の抜糸は、術後5日目から7日目くらいが望ましいのですが何かの事情で抜糸の時期が遅れてしまうなどした場合に、抜糸すべき皮膚縫合の糸が皮下に徐々に埋まってゆくというケースがあります。またあまりに長く糸を残しておくと縫合の傷跡にゲジゲジのような糸跡が残ることがあるため、5日目から7日目というクリニック指定の抜糸時期からあまり遅らせないほうがいろいな意味で無難と言えます。

「結膜面から糸が出てきた」について

こちらも埋没法ほどではありませんが、二重切開法においてもありうることです。切開法のライン固定操作において、切開創縁の眼輪筋or真皮を瞼板or瞼板前組織に糸で縫い付ける際に、瞼板に針糸を貫通させてしまうことで生じます。
一通りライン固定の糸をかけ終わった後に、瞼板をひっくり返して結膜側に糸が出ていないか術者が確認することでこのようなトラブルを回避することは容易です。糸が露出していると、眼球に当たり異物感、痛み、流涙、結膜の充血などのつらい症状を引き起こします。仮に1mmなどわずかに糸が露出しているだけなら時間とともに結膜の中に糸は入ってゆきことなきを得ますが、3mm以上などの長さで露出している場合、眼球が傷ついてしまいますので早めに手術したクリニックに行き糸を抜いてもらうべきです。

腫れ・内出血が長引く

長引く腫れ・内出血は、患者さんの体質などの要因と、美容外科医の技術的要因があわさって生じる結果と言えます。

「患者さん側の要因」としては以下が考えられます。

①むくみやすい体質
②血圧が高い
③血流を良くするような薬を飲んでいる
④緊張しやすい
⑤傷みに弱い
「むくみやすい体質」について

この場合は、術後に塩分や水分の摂取を控え目にしていただき、寝る時は枕を高くするなどの対策をとります。またよく瞼を冷やすのも良いでしょう。運動、飲酒、湯船につかるなどの血流を促進してしまうような行為は控えましょう。

「血圧が高い」について

元から血圧が高く治療中の方が出血しやすいのはもちろんですが、仮に健康診断などで高血圧を一度も指摘されたことがなかったとしても、手術前・手術中の緊張感や、局所麻酔注射を打つ時の痛みなどで急激に血圧が上昇することもあり、これにより出血量が増えて腫れてしまうことがあります。
これは、若い方でも当然起こり得ますが特に中年以降の方、高齢者などで動脈硬化が進み血管が硬くなっている方でしばしば起こりうることです。手術前に一度血圧を測って、あまりに高いようなら点滴を取って注射の降圧薬を使い血圧をコントロールしながら手術を行うこともあります。

「血流を良くするような薬を飲んでいる」について

脳疾患、心臓疾患などの治療で血液を固まりにくくする薬に加え、血流・血圧をコントロールする目的の血管拡張薬、育毛剤、痛み止めなど様々なタイプの薬が全て含まれます。常用している薬がある場合は、必ず術前に医師または看護師に申し出てください。これらの薬を内服していても、もし一時的にでも止める事が出来る薬があるのなら、飲むのを止めて一定期間あけた後に手術を行うなどの対策を取ることが出来ます。

「緊張しやすい」・「傷みに弱い」について

これは患者さんの心理的・精神的な面となりますが、緊張しやすかったり痛みに弱い方では麻酔注射などの段階で既に術中に血圧が容易に上がり安く、血圧が上がると出血が通常よりも多く生じるため、どうしても術後の腫れが強く出たりそれが長引くということがあり得ます。

また腫れ・内出血を最小限にするための「手術テクニック・デザイン」としては、以下2点が重要です。

①切開ラインのデザインの幅
②止血操作
「切開ラインのデザインの幅」について

ラインを幅広く取れば取るほど腫れが目立ち、かつ長引くことが通常です。もしダウンタイムを気にされているのでしたら、二重ラインは狭めに設定されることをお勧めします。これは、埋没法であれ切開式であれ共通です。
一般的に言って切開式二重において腫れ・内出血が治まるまでの期間は、2週間から1ヶ月が目安となります。2週間で大きな腫れが引き、1ヶ月目で90%の腫れがひくイメージです。
では100%腫れが引くのはいつかと言うと厳密に言えば、それには3ヶ月前後はかかります。

「止血操作」について

二重切開法においては、術中に止血操作を細かく行えば行うほど術直後の腫れは少なく、腫れが収まるまでの期間が短く済みます。また筋肉・脂肪などの組織を取れば取るほど、腫れやすくなります。
しかし、筋肉や脂肪の切除はラインの耐久性を上げるために必須の操作のため全く行わない訳にはいきません。そこで切開法でもダウンタイムを気にされている方のためのスペシャルな術式として、脂肪切除・筋切除を最小限におさめる代わりに、ライン固定の方法を3点連結とするなどして腫れを最低レベルに抑えるなどの工夫も当院では行っています。

通常の術式で行うならば、特に腫れが大きく出るか出ないかを決定づけるのは切開ラインと睫毛の間の筋肉を切除するステップです。ここで、出血させてしまうと腫れが長引き安いので細心の注意を払ってとにかく細かくこまめに止血するように心がけています。

上睫毛が上がっていない

逆さまつ毛を改善するために二重切開式の二重を希望される方もいます。しかし下記のような理由で睫毛が十分に上がらずに失敗だと感じるケースもあります。

①二重ラインが広すぎる
②睫毛を上げるだけの開瞼力が不足
③元の睫毛の向きが極端に下向き
④皮膚にたるみがあり、上からかぶさって奥二重となっている
「二重ラインが広すぎる」について

一般的に言って、睫毛から二重ラインまでの距離とラインが睫毛を持ち上げるパワーには相関性があります。つまり、ラインまでの距離が睫毛から離れれば離れるほど睫毛を持ち上げる力は弱くなります。もし二重を造ることによって睫毛もしっかり上向きにしたいという希望をお持ちなら二重ラインは幅を狭めに設定することをお勧めします。
但し、狭すぎても皮膚が上から睫毛に対して重しのようにかぶさって睫毛が下を向いてしまいますので最低限正面から見て二重の幅が見えるくらいには幅はとるべきです。

「睫毛を上げるだけの開瞼力が不足」について

目を開く力つまり開瞼力(目ヂカラ)が不足していると睫毛はしっかりと上を向きません。
これは切開二重を行う際に、眼瞼挙筋短縮法(眼瞼下垂手術の一つ)をプラスであわせて行い開瞼力を強化することで解決可能です。

「元の睫毛の向きが極端に下向き」について

睫毛の向きが極端に下を向いていると、通常の切開二重術では睫毛が十分に持ち上がってこないこともあります。切開ラインから、瞼板上に沿って瞼縁側まで剥離して、切開ラインの真皮層を睫毛側の瞼板に縫合するなどして瞼縁を外反させる(そっくりかえる)ようにして睫毛を持ち上げるテクニックもあります。しかし、目頭側ないし目尻側のわずか数本の睫毛がこのような睫毛を上げるための専用手技によっても前向きに上がって来ず、まだ眼球の表面に当たって痒み・痛みの原因となっているケースもあります。
そのような場合手術により毛根をメスでくり抜くことで睫毛を除去するか、脱毛レーザーによって毛根を焼いて睫毛が生えてこないようにする手もあります。睫毛はもし中央付近で抜けていれば櫛の歯が抜けているように見えて見栄えが悪いですが、目頭か目尻の数本が抜けているだけならそれほど見た目上問題とはならないはずです。

「皮膚にたるみがあり、上からかぶさって奥二重となっている」について

既出ですが、切開二重を行った際に二重ラインを狭く作ると中年以降の方で皮膚にたるみ・ゆるみがあり、睫毛に上から皮膚がかぶさって睫毛が下を向いてしまうことがあります。これは、多くの場合手術直後の時点で腫れのせいで二重幅が十分確保されているように見えたとしても腫れが引くに伴って奥二重となってしまったケースです。また今まで眉毛を額の筋肉を使って上に引き上げることで上瞼の皮膚を持ち上げて視野を確保するクセがあった方の場合、切開二重術により眉毛を上に動かさずとも視野が確保されるようになると眉毛の位置が時間とともに徐々にさがってきて、皮膚が睫毛に上から重しのように乗しかかってかぶさり結局手術直後にはしっかり上を向いていたはずの睫毛がいつのまにか下向きになってしまったということが起こり得ます。
対策として、術前評価において上瞼の皮膚にたるみのある方、眉毛挙上により視野を確保するクセのある方では、切開二重をつくる時点で、あわせて上瞼のタルミ取り目的の皮膚切除を行うべきです。しかし、それでも術後しばらくして上から皮膚が降りてきて睫毛が下を向くようなら、後日切開ラインの上の皮膚を切除する手術を修正手術として追加すべきでしょう。

以上、二重切開法を行った場合に生じる、失敗やトラブル、問題点について予防策・対応策も含めた解説でした。

二重切開法は、埋没法と違って一度切ってしまうと完全には元の状態に戻すことは出来ないという点と、行ってしまった後にラインの幅・形の修正を行おうとしてもかなり限定的な範囲での変更のみが可能ということを考慮して、最初の手術においてあまりに標準から外れた極端な幅や形のデザインは選択しないのが失敗しない一番のコツです。
また確かな技術と経験をもったクリニックの医師でなくては、手術結果に何らかの不満があった場合、術後の修正術などは技術的に難しくなりますので、クリニック選びも慎重に行いたいものです。

Doctor

院長・監修者情報

みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士 医師紹介はこちら

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